音楽ナタリー Power Push - うたパス「Listen with」特集 Vol.16 THE ORAL CIGARETTES

オーラルがリスナーと共有したいこと

auの定額制音楽配信サービス「うたパス」で、アーティストやタレントがセレクトした楽曲をユーザーがリアルタイムで聴きながらチャットできるソーシャル機能「Listen with」が展開されている。「うたパス」および「KKBOX」アプリを通して「Listen with」イベントも開催されており、これまでに多数のアーティストがファンとのコミュニケーションを楽しんだ。

音楽ナタリーではイベントの実施に合わせて「Listen with」の特集連載を展開している。今回は1月26日の「Listen with」イベントに登場するTHE ORAL CIGARETTESへのインタビューを実施。過去にも「Listen with」でファンとチャットを行った経験を持つ彼らにそのときの感想を聞いたほか、今回の構想や、1月5日リリースの最新アルバム「FIXION」の聴きどころなどを語ってもらった。

取材・文 / 田中和宏 撮影 / 西槇太一

「Listen with」初体験の思い出

──皆さんは2014年に「Listen with」を実施していますが、そのときの感想からお伺いできますか?

中西雅哉(Dr) めっちゃ楽しかったなあ。大阪でライブをやったあとに「Listen with」をやったんですよ。

あきらかにあきら(B, Cho) そうだったね。なんか変なテンションになってかなりふざけてたんちゃう?(笑)

山中拓也(Vo, G) 正直、ライブが終わったあとで疲労感から眠気が襲ってきてたんです。でもいざチャットが始まったら楽しくて眠気も吹き飛びました。

中西 「Listen with」って選曲だけでなく、どのタイミングで再生するかを自分たちで調整できるんですよ。あのときは拓也が曲出しをやってて、次にかける曲を準備しつつチャットをしてたんですが、間違えて何回も同じ曲をかけちゃったよね(笑)。

山中 そうそう。シャ乱Qさんの「ズルい女」を何度も(笑)。

中西 次の日、「KKBOX」の再生ランキング上位に「ズルい女」が入ってたね。

──トラブルも含めて楽しめたと。

山中拓也(Vo, G)

山中 トラブルというか、もはや参加者もどのタイミングで「ズルい女」が流れるのかを待つような状況になって、流すとみんな一斉に「キター!」っていう感じで盛り上がってましたね。

あきらかにあきら あとは「廻りたい!」ってたくさん書き込まれたときに「♪廻る廻る」というサビから始まる「STARGET」(2014年11月発売のアルバム「The BKW Show!!」の収録曲)を流すとか、お客さんの意図を汲んで曲を選曲することもありました。

中西 でも「廻りたい!」って言ってるのにサビの手前で突然「ズルい女」のイントロを流すっていう。参加者から「廻らせろやー!」って一斉にツッコミが入ったりして、そういうやり取りも楽しかったです(笑)。

──皆さんが「Listen with」の中でどんな楽曲をかけようと思っているのか、構想を聞かせてください。

山中 まだ考え中なんですが、シャ乱Qに続くようなその日の話題をかっさらう曲は用意したいな。

あきらかにあきら 僕はこの1年で聴く音楽の幅が広がったので、純粋に最近よく聴いている曲を選曲したいですね。前は蜜みたいな男女混声でハモりが綺麗な曲や、レッチリ(Red Hot Chili Peppers)、The Beatlesの曲を入れてました。次は何を入れるのか、じっくり考えておきます。

鈴木重伸(G) 移動中の車内でスタッフがHolly Dollyの「夢見るドリー」を流してて、そのメロディがすごい頭の中に残ってたんですよ。メンバー全員Holly Dollyを知らなかったんですけどみんなハマって。「KKBOX」で探したらその曲があったんで、お客さんと一緒に聴きたいなって思ってます。

中西 僕はもともとソロシンガーの落ち着いた曲とか、弾き語りの曲が好きなんで、その中から最近の若い子が知らないような昔の曲を流したいです。

山中 昔の曲いいね。それこそ僕らが小学生の頃に「ズルい女」が出て、どストライクで聴いてたんですね。今回も自分が小学生のときに聴いてた音楽は入れたいと思います。

──オーラルがどんな音楽を聴いて育ったのかを知るいい機会になりますね。

山中 前回はファンに寄り添った選曲をしたつもりでしたけど、今回はめっちゃわかりやすい曲に加えて、「絶対知らんやろ!」っていう曲も放り込みたいです。

ファン同士の会話を眺めるのも楽しみ

──「Listen with」とほかのSNSでファンとのコミュニケーションの取り方に違いは感じますか?

山中 お客さんとの距離を特に近く感じられるのはチャットができる「Listen with」ならではですよね。例えばTwitterだと一方通行になりがちで、1つひとつに返信しようとすると正直キリがなくなっちゃうんです。いただいたリプライにはもちろん全部目は通してるんですけど。

中西 お客さん同士がやり取りしてる様子を見られるのも楽しいですね。お客さん同士のやり取りってステージに立ってる僕らにとっては“裏側”になるので、そういった部分を知る機会は刺激になります。

──「Listen with」を通してファンに伝えたいこと、聞いてみたいことはありますか?

山中 「歌詞をちゃんと見てね」っていうことですかね。

──「KKBOX」「うたパス」には歌詞表示機能があって、対応している楽曲に関してはカラオケのように歌詞が表示されますよね。

山中 僕もその機能めっちゃ使ってます。ライブ前の発声練習のときに「KKBOX」でほかのアーティストの曲を探して歌うんですよ。自分が歌いやすい曲と歌いにくい曲を選んで、スマホに表示される歌詞を見ながら声出しをしてます。声出しのために使ってるけど、「ああ、ここの部分はこんなことを歌ってたんだ」って気付かされることもありますね。

あきらかにあきら(B, Cho)

あきらかにあきら 僕は自分たちの選曲したプレイリストにチャットの参加者がどんな反応を示すのか楽しみですね。自分たちが影響を受けた音楽をかけて、「オーラルっぽい」って思う人がいたらなんか面白いなあ。

鈴木 僕はオーラルを好きでいてくれる人に、音楽を好きになるきっかけの曲がなんだったのかを聞いてみたいですね。

山中 そうだね。あ、それで思い出した。こないだ衝撃を受けたんですけど、最近雑誌で取り上げられてた新人バンドのインタビューを読んだら「KANA-BOONのコピーバンドをやってました」って書いてあったんですよ。

──ほぼ同世代のバンドのコピーバンドがいる時代になってきたと。

山中 そうです。あと自分たちの事務所のオーディション「MASH FIGHT!」の決勝戦にゲストで出たとき、オーディションバンドの人が「オーラルのコピーしてました!」って言いに来てくれて。僕らの世代だとアジカンさんのコピバンだらけだったので、「マジか、俺らコピーされる側になったんか」って正直驚きました。僕らの曲をコピーしてる人の話も今回のチャットで聞けたらいいな。

歌詞カードと向き合う機会を大切に

──先ほど山中さんは「歌詞をちゃんと見てね」とおっしゃっていましたが、「FIXION」のリリース発表時にも同様のコメントを出されていましたよね(参照:THE ORAL CIGARETTES、2ndアルバム「FIXION」発売決定)。最近は家で音楽をじっくり聴くというよりも、CDを買ったとしてもパソコンに取り込んで、スマホに転送して通勤、通学中に聴き流すみたいなケースが増えたと思うんです。

山中 ああ、確かに。どのバンドも同じだとは思いますけど、歌詞とサウンドがあってのTHE ORAL CIGARETTESなんです。僕らは暗い歌詞でも明るいサウンドだったり、歌詞とサウンドが真逆の方向を向いてることがあって。だから歌詞をしっかり読んでもらわないと作り手としては本当に伝えたいことが伝えきれてないかもって感じるんですよ。僕らのライブを踊れて楽しいものだと思ってもらえるのはありがたいことですが、正直「それだけじゃないんだよ」って。「オーラルってこういう世界観を持ってるんだ」っていうのは歌詞を通して知ってほしいな。

──より多くのファンが歌詞をじっくり読んでからライブを観るようになったら、ライブの楽しみ方が変わるかもしれないですし、楽曲の受け止め方にも変化が生まれそうですね。

あきらかにあきら 単純に歌詞にどれだけ時間をかけているかっていう部分もあるんですよ。普段の生活で感じたことを吸収しながら歌詞に落とし込んでいるから、“バンドの人間性”みたいな部分を知るには歌詞を読むのが一番早いと思う。歌詞を理解されることは人柄を知ってもらえるのと同じだと思ってるから。

──ちなみに曲と歌詞はどっちを先に作るんですか?

あきらかにあきら ほぼ曲からですね。

鈴木重伸(G)

鈴木 拓也が考えたフレーズをみんなで形にしていって、基本構成ができたら、音源データを1度パソコンに落とし込んで、歌詞を作る前にアレンジをするんです。で、歌詞を拓也に書いてもらって、プリプロの段階で歌詞と曲の世界観をすりあわせて、言葉の譜割りとかも含めてアレンジを重ねて。

──1曲完成するまでに時間がかかるほうだと思いますか?

山中 めっちゃかかってると思います。ほかのバンドだと作詞作曲する人がパソコンである程度デモを作ってからそれをメンバーに渡して、バンド全体でアレンジを練っていくっていうのが多いんじゃないかな。でもうちは僕が作った素材にみんなの意見を反映させながらデモ作りをするんです。僕が素材を持っていった時点でみんなは初めて聴くから、その場ではすぐにアレンジとか構成が浮かばなくて、1~2週間くらいかけてそれぞれの思いを反映させつつ1曲を仕上げていくっていう感じですね。

うたパス

「うたパス」はauの定額制音楽配信サービスです。月額300円(税抜)で最新のJ-POPからアニソンやカラオケ定番曲まで、500以上の多彩なチャンネルから選び、聴き放題で楽しむことができます。

うたパス「Listen with」

アーティストと一緒に聴こう
アーティストとチャットを楽しもう

「Listen with」とは、有名人やアーティストと一緒に同じ音楽を聴きながらチャットができるソーシャル機能。アーティストが自身の曲、影響を受けた曲、好きな曲などを再生し、ファンはアーティストとチャットで会話が楽しめます。

「Listen with」
THE ORAL CIGARETTES

開催日時:2016年1月26日(火)20:00~21:30[詳しくはこちら

※「うたパス」「KKBOX」アプリから参加する事が可能です。

THE ORAL CIGARETTES
(オーラルシガレッツ)
THE ORAL CIGARETTES

2010年に奈良で結成された4人組ロックバンド。メンバーは山中拓也(Vo, G)、鈴木重伸(G)、あきらかにあきら(B, Cho)、中西雅哉(Dr)。アグレッシブかつ緻密に構築されたサウンドでファンを増やしていき、2012年にオーディション「MASH FIGHT!」にて初代グランプリを獲得する。2013年8月に1stミニアルバム「オレンジの抜け殻、私が生きたアイの証」をリリース。その後、2014年7月にメジャー1stシングル「起死回生STORY」、同年11月にアルバム「The BKW Show!!」を発表。2015年4月に2ndシングル「エイミー」をリリースし、5月に対バンツアー、6~7月にワンマンツアーを実施した。9月下旬から山中の声帯ポリープ摘出手術のため、約2カ月間ライブ活動を一時休止するも、11月にアニメ「ノラガミ ARAGOTO」のオープニングテーマ「狂乱 Hey Kids!!」をシングルリリースした。2016年1月4日に東京・新木場STUDIO COASTでワンマンライブ「THE ORAL CIGARETTES 唇リベンジワンマン~復活・返上・BKW!!の巻~」を行い、その翌日に2ndアルバム「FIXION」を発表。2月からは全国対バンツアー「THE ORAL CIGARETTES 唇ツーマン TOUR 2016 ~復活・激突・BKW!!の巻~」を実施する。さらに4月にワンマンツアー「唇ワンマンツアー~奈良まで続くよ道のりはツアー!~」を行い、4月30日には地元・奈良のなら100年会館で初のホールワンマンライブ「THE ORAL CIGARETTES 唇ワンマンライブ~故郷に錦を飾りまSHOW!!~」の開催を控えている。

THE ORAL CIGARETTES「FIXION」
2016年1月5日発売 / A-Sketch
初回限定盤 [CD+DVD]
3240円 / AZZS-44
通常盤 [CD]
2700円 / AZCS-1054