クリープハイプ|「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」発売から10年 バンド年表と関係者10人のメッセージで振り返るメジャーでの歩み

2017

2
「もうすぐ着くから待っててね」通常盤ジャケット

作品集「もうすぐ着くから待っててね」をリリース

4
「イト」通常盤ジャケット

映画「帝一の國」の主題歌「イト」をシングルリリース

5
「NO SWALLOWS, NO LIFE.」ジャケット

タワーレコード限定シングル「NO SWALLOWS, NO LIFE.」をリリース

尾崎がエッセイ本「苦汁100%」を発表し、ゲストにガリガリガリクソン、玉川太福(曲師:玉川みね子)を迎えて「尾崎世界観の日 特別篇2017」を上野恩賜公園水上音楽堂で開催

6

対バンツアー「ストリップ歌小屋 2017」を東名阪で開催。各地の対バン相手はUNISON SQUARE GARDEN、KANA-BOON、銀杏BOYZ

11

尾崎が相坂優歌に「ひかり、ひかり」を楽曲提供

長谷川、ポルカドットスティングレイ「レム」にバイオリンで参加

2017年当時のクリープハイプのアーティストビジュアル。

2017年2月には5曲入り作品集「もうすぐ着くから待っててね」をリリース。端正に紡がれたポップで魅惑的な楽曲が並ぶ作品で、アルバム「世界観」以降の洗練されていくバンドの音楽的発展を堪能できる。5曲目に収録された、東京メトロのキャンペーン「Find my Tokyo.」のCMソング「陽」には小林武史がプロデューサー、谷口鮪(KANA- BOON)がゲストボーカルで参加している。「ただ」や「陽」など、サウンド的にはソウルやファンクなどの要素も多分に盛り込んでいた時期とも言えるが、決して大仰な質感にはせず、なおかつ彼らが培ってきた日本語の詩情を損なわない絶妙な地点に着地させている。尾崎のソングライターとしての成熟と、バンドのサウンドメイクの緻密さを感じさせる1作である。

2018

1~2

全国ホールツアー「今からすごく話をしよう、懐かしい曲も歌うから」を開催

2

「おばけでいいからはやくきて」が、NHK「みんなのうた」で放送開始

3
「苦汁200%」書影

尾崎がエッセイ本「苦汁200%」を発表

メンバーがエレファントカシマシのトリビュートアルバム「エレファントカシマシ カヴァーアルバム3 ~A Tribute To The Elephant Kashimashi~」に「さよならパーティー」で参加

4

尾崎、高知・高知市中央公園にてゲリラで弾き語りライブを開催

FM802「FM802 × TSUTAYA ACCESS!」のキャンペーンソング「栞」を作詞作曲

5

日本武道館にてワンマンライブ「クリープハイプのすべて」を開催

9
「泣きたくなるほど嬉しい日々に」通常盤ジャケット

メジャー5thアルバム「泣きたくなるほど嬉しい日々に」をリリース

東京・池袋PARCOにて「クリープハイプのすべ展 ~歌詞貸して、可視化して~」開催

大阪・NU茶屋町のコラボレーションイベント「NU茶屋町×クリープハイプ『泣きたくなるほど嬉しいNUに』」を開催

10

尾崎、千早茜との共著「犬も食わない」を発表

10~12

全国ライブハウスツアー「今今ここに君とあたし」開催

2018年当時のクリープハイプ。

FM802のキャンペーンのために書き下ろされた「栞」のセルフカバーや「イト」も収録した2018年のフルアルバム「泣きたくなるほど嬉しい日々に」にも、2017年リリースの作品集「もうすぐ着くから待っててね」と同様に彼らの成熟を感じることができるだろう。タイアップがあり、ツアーがあり、アルバムがあり、著書の刊行があり、2度目の武道館公演があり……年表を見れば、どこにフォーカスするべきかわからなくなるくらい目まぐるしく動いている2年間だが、しかし、この時期のクリープハイプはかつてのように窮屈そうにも、居心地が悪そうにも見えない。「いい作品を作る」というポイントにフォーカスし、世間とのバランスと自らの野心を見据えながら、音楽においても活動自体においても、自分たちなりの創作の道を見つけていった期間だったのかもしれない。

2019

2

「ニガツノナミダ」がソフトバンク「SoftBank Music Project」のテレビCM「バレンタイン」編に使用される

大阪・梅田ロフトにて「クリープハイプのすべ展 春~歌詞貸して、可視化して~」を開催

尾崎がYUKIのアルバム「forme」に「百日紅」を楽曲提供

3~4

全国ツアー「こんな日が来るなら、もう幸せと言い切れるよ」を開催

4

尾崎、TBSラジオ「ACTION」の火曜パーソナリティに抜擢される

5

尾崎が「尾崎世界観の日 特別篇2019」を東京・日比谷野外大音楽堂と大阪・服部緑地野外音楽堂にて開催。東京公演のゲストは椎木知仁(My Hair is Bad)、コレサワ、大阪公演のゲストは崎山蒼志、石崎ひゅーい

7

UNISON SQUARE GARDENのトリビュートアルバム「Thank you, ROCK BANDS! ~UNISON SQUARE GARDEN 15th Anniversary Tribute Album~」に「さよなら第九惑星」で参加

尾崎がエッセイ本「泣きたくなるほど嬉しい日々に」を発表

10

「“一夜限りの” 使い捨てワンマン supported by TBSラジオ『ACTION』」を新木場STUDIO COASTにて開催

「バンド 二〇一九ジャケット

「バンド 二〇一九」を配信リリース

現メンバーでの活動10周年を記念した単行本「バンド」が発表される

11

「10周年記念ライブ」を下北沢CLUB Queにて開催

12

「愛す」(ブス)を配信リリース

2019年当時のクリープハイプ。

2019年のクリープハイプと言えば、何より暮れに投下された「愛す」の衝撃が大きかったことを記憶している。「愛す」と書いて「ブス」と読む、そんな私たちが当たり前のように使っている“言葉”に対しての挑戦的な眼差し、そして、AC部による強烈なアニメーションによるMV……とにかくチャーミングで、それでいてこちらの脳みそを引っ繰り返してくるような大胆さがあった。「クリープハイプがまたとんでもないものを出してきた!」──そんな喜びがあったが、何より、それがかつてのような感情を毒々しく吐き出す形ではなく、イリュージョン的な創作の豊かさによって生み出された魅力的なものだったからこそ、うれしかった。また、2019年はクリープハイプが現メンバーになって10周年のメモリアルイヤーであり、書籍「バンド」が刊行されるなど、この4人のクリープハイプを改めて見つめるタイミングでもあった。

2020

1
「愛す」通常盤ジャケット

「愛す」をCDシングルとしてリリース

2

クリープハイプが現メンバーになって10周年を記念した全国ツアー「僕の喜びの8割以上は僕の悲しみの8割以上は僕の苦しみの8割以上はやっぱりクリープハイプで出来てた」を開催するが、新型コロナウイルス感染拡大により2月27日の広島公演以降は開催中止に

4

尾崎がパーソナリティを務めるニッポン放送「クリープハイプ尾崎世界観の野球100% powered by ニッポン放送ショウアップナイター」配信開始

6
「およそさん」ジャケット

ショートアニメ「あはれ!名作くん」のテーマソング「およそさん」を配信リリース

尾崎世界観の対談集「身のある話と、歯に詰まるワタシ」が書籍化

7

尾崎、フジテレビ系「セブンルール」のレギュラーに就任

9
「幽霊失格」ジャケット

新曲「幽霊失格」の先行試聴イベント「幽霊の試聴機」が、大阪・Music Club JANUSと下北沢Daisy Barにて開催され、「幽霊失格」を配信リリース

クリープハイプファンのほしのディスコ(パーパー)をゲストに招いて特別番組「歌詞の学校 クリープハイプのキケンナコトバアソビ!」をスペシャアプリ、スペシャLINE LIVE、YouTubeチャンネルにて生配信

10

劇場アニメ「どうにかなる日々」の主題歌「モノマネ」を配信リリース。同作では劇伴も担当し、オリジナルサウンドトラックも発表

TikTok LIVEにて生配信イベント「クリープハイプ | TikTok 秋の歌うまチャレンジ あのバンドもいい波に乗ってTikTokでバズった瞬間にあのバンドは終わった だってあたしのこの気持ちは絶対15秒に分割できないし」を開催

12

空音の「どうせ、愛だ feat. クリープハイプ」にコラボレーションで参加

尾崎の小説「母影」(おもかげ)が第164回芥川賞候補になる

2020年当時のクリープハイプ。

現体制10周年の全国ツアーは新型コロナウイルスの影響で多くの公演が中止となってしまったが、それ以降も「およそさん」「幽霊失格」「モノマネ」と、配信シングルを立て続けにリリース、生配信の番組やTikTokを活用したライブ配信など、コロナ禍においてもバンド活動を進めていく道を模索していたことがうかがえる。そんな状況の中で生まれた尾崎の小説「母影」は芥川賞候補となり、大きな注目を浴びた。

2021

1

尾崎、文化放送の特別番組「尾崎世界観の悩みの羽」に出演

3

当初は1月に開催予定だった東阪ライブ「大丈夫、一つになれないならせめて二つだけでいよう」の振替公演を開催

尾崎、P丸様。に「ならばおさらば」を提供(アルバム「Sunny!!」収録)

4
「四季」ジャケット

フジテレビ系「奇跡体験!アンビリバボー」のエンディングテーマ「四季」を配信リリース

4~5

尾崎の弾き語りツアー「尾崎世界観の日 全国ツアー」開催

7

アナログ盤「キケンナアソビ」をリリース

テレビ東京系ドラマ「八月は夜のバッティングセンターで。」に、オープニングテーマ「しょうもな」、エンディングテーマ「こんなに悲しいのに腹が鳴る」を書き下ろし

8
「しょうもな」ジャケット

「しょうもな」を配信リリース

9

「クリープハイプの日 2021(仮)」を東京・東京ガーデンシアターで開催

10

対バンツアー「ストリップ歌小屋 2021」開催。対バン相手はMom、トム・ブラウン、崎山蒼志、女王蜂、My Hair is Bad、どぶろっく、iri

尾崎のレギュラーラジオ番組「クリープハイプ 尾崎世界観 声にしがみついて」(JFN系)放送開始

11
「ナイトオンザプラネット」ジャケット

映画「ちょっと思い出しただけ」の主題歌「ナイトオンザプラネット」を配信リリース

12
「夜にしがみついて、朝で溶かして」ジャケット

メジャー6thアルバム「夜にしがみついて、朝で溶かして」をリリース

TikTok Live「ことばのおべんきょう」を生配信

2021年当時のクリープハイプ。

小説「母影」は芥川賞を受賞することは叶わなかったが、尾崎の言葉(と音)に対しての感性に新たな覚悟と問題意識の芽生えを感じさせる作品だった。「音楽とは?」「バンドとは?」「言葉とは?」「自分とは?」「他者とは?」「幸福とは?」……常に問うことを起点に表現を深化させてきたクリープハイプにとって、世界が大きく変化したコロナ禍が創作活動に与えた影響は決して少なくなかっただろう。だからこそ、2021年の暮れにリリースされたフルアルバム「夜にしがみついて、朝で溶かして」は、バンドのクリエイティビティが一層の高まりを見せた作品となったのだと思う。このアルバムは、「世界観」の頃のように斬新な技法を取り入れた変化というよりは、1音を、1フレーズを、ひと言を、それらの化学反応を、精緻に観察しながら丹念に曲に編み込んでいくバンドの職人的な才気が光った1作だ。クリープハイプはメジャーデビューした頃から、あるいはその前と比べても、決して“言いたいこと”や“探しもの”が大きく変化しているわけではないのだと思う。しかし、ひとつの場所を掘り進めた先に、そのミクロな“問い”と“生”を突き詰めていった先に広がる広大な世界に出会ったときに、とてつもないカタルシスに襲われる。「夜にしがみついて、朝で溶かして」は、見事にそんな体験をさせてくれるアルバムだった。

2022

3

10-FEETコラボレーションアルバム「10-feat」に参加

4
「私語と」書影

歌詞集「私語と」を発売

4~6

全国ホールツアー「今夜は月が綺麗だよ」を開催

2022年のクリープハイプ。

今年2022年はメジャーデビュー10周年のメモリアルイヤーとなる。それを祝し、メジャー1stアルバム「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」の初回限定盤にボーナストラックとして弾き語りで収録されていた人気曲「ex ダーリン」を、n-buna(ヨルシカ)のリアレンジによってバンドバージョンとして新たに配信リリース。同時に弾き語りバージョンも配信する。リリース日の4月18日はメジャーデビュー10周年の記念日であり、同日には75曲の歌詞を収めた歌詞集「私語と」が発売された。本特集では大きなトピックしか書き込めておらず、ざっくりとした振り返りしかできていないので、これを期にぜひ、あなたの耳や目で改めて、この10年間のクリープハイプを振り返ってみてもらいたい。生々しく、泥臭く、それでいて幻惑的な世界を描いてきた稀有なバンドの歩みに出会うだろう。