2012年
- 4月
-
アルバム「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」でメジャーデビュー
- 5~6月
-
全国ワンマンツアー「つま先はその先へ」開催
- 7月
-
J-WAVEで尾崎のレギュラー番組「THE KINGS PLACE」放送開始
- 10月
-
シングル「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」リリース
- 11月
-
尾崎、ソロでのアコースティックライブ「尾崎世界観の日」を東京・下北沢Daisy Barで開催。共演は佐藤千明(赤い公園)、藤森元生(SAKANAMON)
- 11~12月
-
東名阪ワンマンツアー「アンコールはどうする?」開催
2012年にビクターエンタテインメントよりメジャーデビューしたクリープハイプ。“メジャーデビュー”というと華々しい印象を持ってしまいがちだが、尾崎がクリープハイプを結成したのは2001年、17歳のときで、この2012年の時点で結成からもうすでに10年以上の月日が流れていたのだ(小川、長谷川、小泉の現メンバーがバンドに合流したのは2009年)。尾崎はその年月で得た傷も疲弊も、メジャーの大舞台で隠そうとはしていなかった。この年にリリースされたメジャー1stフルアルバム「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」には、リード曲「オレンジ」をはじめとする新曲に加え、「蜂蜜と風呂場」や「イノチミジカシコイセヨオトメ」「手と手」などインディーズ時代の代表曲も収録。喪失感を抱え、傷だらけの体に悲しみと誇りを宿した主人公たちを表現した歌が並んでいる。10月にはシングル「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」をリリースし、オリコン週間チャートで初登場7位を記録するなど、急速に認知を広げていったメジャー初年だった。
2013年
- 1月
-
ゲストにフラワーカンパニーズを迎えて自主企画「ストリップ歌小屋」を開催
- 3月
-
シングル「社会の窓」リリース
- 5月
-
資生堂「アネッサ」CMソング「憂、燦々」をシングルリリース
- 5~6月
-
全国ツアー「クリープハイプの窓」開催。ツアーファイナルの東京・中野サンプラザホール公演は「クリープハイプの窓、ツアーファイナル、中野サンプラザ」としてDVD化された
- 6月
-
タワーレコード「NO MUSIC, NO LIFE」のビジュアルに起用
- 7月
-
メジャー2ndアルバム「吹き零れる程のI、哀、愛」リリース
- 8月
-
テレビ朝日系「ミュージックステーション」に出演。初の地上波テレビ番組生演奏にて「憂、燦々」を披露
- 10月
-
尾崎が原案を務めた、松居大悟監督の映画「自分の事ばかりで情けなくなるよ」公開
尾崎がソロでのアコースティックライブ「尾崎世界観の日」を下北沢Daisy Barにて開催し、長谷川カオナシ、チプルソ、タケトと共演
- 10~12月
-
全国ツアー「秋、零れる程のクリープハイプ」開催
- 12月
-
尾崎がSMAPに「ハロー」を提供。ハローキティ40周年記念オフィシャルソングでもある同曲は、SMAPの51stシングル「シャレオツ / ハロー」に収録された
2013年は「憂、燦々」が資生堂「アネッサ」のCMソングに採用され、初めての「ミュージックステーション」出演も果たし、タワーレコードの意見広告シリーズ「NO MUSIC, NO LIFE」にも登場するなど、端目にはバンドは順風満帆、勢いは増すばかりだったと言える。しかし、シングル曲「社会の窓」では前年の「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」のヒットを自ら揶揄するように、「凄く大好きだったのにあのバンドのメジャーデビューシングルがオリコン初登場7位その瞬間にあのバンドは終わった」というフレーズを歌詞に入れ込んだ。急速に変化していく自分たちの状況を冷静に客観視していたのか、あるいは、混乱していたのか。確実に人気者の道を歩みながらも、世間に馴染むというよりは、むしろ常に、世の中との間に摩擦を起こしながら、その摩擦の中で生まれる痛みも軋みもあらわにしていたところに、当時の彼らの生々しさがあったように感じる。この年はフルアルバム「吹き零れる程のI、哀、愛」もリリース。尾崎がSMAPに「ハロー」の詞曲を提供するというトピックもあった。彼らの存在が、バンドシーンの範疇を超えて伝播していることも感じさせる1年でもあった。
2014年
- 4月
-
ユニバーサルシグマにレーベル移籍
16、17日に東京・日本武道館で単独公演を2日間開催
- 7月
-
フリーマガジン「R25」とのコラボレーションで制作された「二十九、三十」を含むシングル「エロ / 二十九、三十」リリース
ゲストに千原ジュニア(千原兄弟)を迎えて自主企画「ストリップ歌小屋」開催
- 8~9月
-
全国ホールツアー「八枚目でやっと!九枚目でもっと!」開催
ゲストに千原ジュニア(千原兄弟)を迎えて自主企画「ストリップ歌小屋」開催
- 10月
-
フラワーカンパニーズのトリビュートアルバム「I♥FC MORE THAN EVER ~FLOWER COMPANYZ TRIBUTE~」に「吐きたくなるほど愛されたい」で参加
- 11月
-
映画「百円の恋」の主題歌「百八円の恋」をシングルリリース
- 12月
-
メジャー3rdアルバム「一つになれないなら、せめて二つだけでいよう」をリリース
尾崎が責任編集を務める雑誌「SHABEL Vol.1」発売
2014年に入ると3月にベストアルバム「クリープハイプ名作選」がリリースされるが、同作はバンドと事務所に知らされないまま制作された“非公認”のベスト盤だったとして騒動に。4月にユニバーサルシグマに移籍し、初の武道館公演を2DAYS開催するなど、自らを取り巻く喧騒の中にあってもバンドは一心不乱に突き進んでいく。そんな喧騒の季節に産み落とされたのが、アルバム「一つになれないなら、せめて二つだけでいよう」だ。本作について特筆したいのは、最後を飾る「二十九、三十」。「今更帰る場所もない」「やっぱりもう居場所はない」……そんな不安定な前提を受け入れたうえで、「前に進め」と繰り返し歌われるこの曲は、硬くなった体を柔らかくするように、不自由な心を解きほぐしていくように、解決されない人生を解決されないままに慈しむような歌だ。タイトルからして“続いていく”ことに対しての思いが見える。あからさまな救いが歌われているわけではないが、しかし、不安の中を揺らぎ続ける覚悟のようなものが、切なくも穏やかな表情で歌われている名曲だ。「R25」とのコラボで生まれた楽曲だが、当時の尾崎が行きついた心境が、この曲には表れていたのではないか。同曲は、のちに銀杏BOYZにもカバーされている。またこの年は、尾崎が責任編集した雑誌「SHABEL Vol.1」も発売され、尾崎の音楽以外の分野への関心も如実に出始めていた。
2015年
- 1月
-
尾崎が私立恵比寿中学に「蛍の光」を提供(私立恵比寿中学の2ndアルバム「金八」に収録)
- 1~5月
-
ライブハウスツアー「一つじゃつまらないから、せめて二つぐらいやろう 前編」、ホールツアー「一つじゃつまらないから、せめて二つぐらいやろう 後編」を開催(※ツアーファイナルは、「『一つじゃつまらないから、せめて二つくらいやろう』総集編~東京の中心で◯◯◯を叫ぶ~」として、5月16日に東京・日比谷野外大音楽堂で開催)
- 4月
-
森永乳業とのコラボレーションプロジェクト「『クリープ』×『クリープハイプ』“愛のプロジェクト”」に参加し、楽曲「クリープ」を書き下ろし
- 5月
-
ヤクルトスワローズファンを公言する尾崎、東京・神宮球場でのヤクルトスワローズ対広島東洋カープ戦の始球式に登板
映画「脳内ポイズンベリー」の主題歌「愛の点滅」をシングルリリース
- 7月
-
尾崎が東京スカパラダイスオーケストラ「爆音ラヴソング」にゲストボーカルとして参加
- 9月
-
明星「一平ちゃん 夜店の焼そば(マヨンナ篇)」のCMソング「リバーシブルー」をシングルリリース
映画「私たちのハァハァ」に主題歌「わすれもの」を書き下ろし、同作に本人役で出演
- 12月
-
見田村千晴、コレサワをゲストに招き「尾崎世界観の日」を下北沢Daisy Barにて開催
スピッツによる6thアルバム「ハチミツ」のトリビュートアルバム「JUST LIKE HONEY ~『ハチミツ』20th Anniversary Tribute~」に「あじさい通り」で参加
2015年はメジャーデビュー以降初めてフルアルバムのリリースがない1年だったが、同時にバンド活動がより拡張されたものになっていることを感じさせる1年だった。尾崎が東京スカパラダイスオーケストラの「爆音ラヴソング」にゲストボーカルとして参加したことも話題になったが、ほかにも、「本の話WEB」での連載「1分書評」のスタートや、明治神宮野球場で開催されたプロ野球・東京ヤクルトスワローズ対広島東洋カープ戦の始球式への登板、さらにバンドが本人役で登場する映画「私たちのハァハァ」の公開など、音楽の枠組みを超えた話題も多かった。
2016年
- 1月
-
全国ツアー「わすれもの~つま先はその先へ~2016」開催(初のワンマンツアーと同じ場所を回るコンセプトのツアーで、2~3月には追加公演ツアー「たぶんちょうど、そんな感じ」も開催された)
- 3月
-
「代々木ゼミナール」のCMソング「破花」をシングルリリース
- 4月
-
尾崎、J-WAVE「SPARK」の月曜レギュラー就任
- 5月
-
「尾崎世界観の日 特別篇」を上野恩賜公園水上音楽堂で開催。ゲストは椎木知仁(My Hair is Bad)、YO-KING(真心ブラザーズ)、石野田奈津代
- 6月
-
尾崎、初の小説「祐介」発売
- 7月
-
「アイニー」がアニメ「境界のRINNE」オープニングテーマに採用される
- 8月
-
ドラマ「そして、誰もいなくなった」の主題歌「鬼」をシングルリリース
- 9月
-
メジャー4thアルバム「世界観」をリリース
ワンマンライブ「クリープハイプの日」を東京・新木場STUDIO COASTにて開催
- 9~11月
-
全国ツアー「熱闘世界観」開催
- 10月
-
「校庭の隅に二人、風が吹いて今なら言えるかな」が、アニメ「亜人」のメインテーマとして使用される
- 11月
-
東京・吉祥寺PARCOにて「世界館 MADE BY DIS クリープハイプの脳内博覧会」を開催
- 12月
-
銀杏BOYZのトリビュートアルバム「きれいなひとりぼっちたち」に、「援助交際」で参加
2016年には尾崎が初の小説作品「祐介」を発表。時にバンドの外へ羽ばたき、時にバンドと自己の奥深くへ潜っていく──そんな自由で幅の広い活動があったからか、2016年9月にリリースされたフルアルバム「世界観」は、とても風通しのいい1作となった。蛇のように楽器と言葉が絡み合う、バンドアンサンブルの妙を研ぎ澄ませた「破花」があるかと思えば、チプルソをフィーチャリングに迎えた「TRUE LOVE」やメロウなR&B「5%」などの新機軸もある。バンドサウンドもあれば打ち込みもあり、弾き語りもある。そんな多様なサウンドがごった煮のように収められたこのアルバムは、雑多であるからこそ、バンドの“芯”を見事に捉えた作品だった。また、この頃は「鬼」のミュージックビデオに椎木知仁(My Hair is Bad)が出演するというニュースもあった。「私たちのハァハァ」においても若者たちに憧れられる立場として存在していたが、クリープハイプがリスナーや下の世代のバンドたちに与えた影響の大きさを実感することも増えてきた時期だ。きっとクリープハイプがいたことで、日本語で歌うことに深く向き合うようになったアーティストは多いだろう。
次のページ »
バンド年表 2017年~2022年