Nikoんの夏がクアトロで完成、磨き抜いた音で示したバンドの今とその先

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Nikoんが8月27日にライブツアー「RE:place public tour 2025」のファイナル公演を開催。7月から行ってきた30公演のツアーを東京・渋谷CLUB QUATTROで締めくくった。

Nikoん(撮影:雨宮透貴)

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Nikoんとはどんなバンドなのか?

Nikoん

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Nikoんは、オオスカ(G, Vo)とマナミオーガキ(B, Vo)により2023年に結成されたバンド。結成翌年の2024年に「FUJI ROCK FESTIVAL」の登竜門ステージ「ROOKIE A GO-GO」に出演し、同年リリースした1stアルバム「public melodies」は後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)主宰の音楽賞「APPLE VINEGAR -Music Award-」で特別賞を受賞した。勢いに乗るNikoんは、FACTなどを輩出したmaximum10と契約。9月24日にリリースする2ndアルバム「fragile Report」でメジャーデビューを果たす。

Nikoん「fragile Report」ジャケット

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話題を集め続けるNikoんだが、最近のバンドとしては珍しく楽曲がサブスクで一切配信されておらず、CDを買ったり、ライブに足を運んだりしなければ、その全貌を知ることはできない。それはバンドが売れるためには不利な条件かもしれないが、Nikoんは精力的なライブ活動や口コミなどをベースに着実に支持を増やしており、ライブ前の唐突なビラ配り企画も功を奏してか、ツアーファイナルには会場を埋め尽くすほどの観客が集まった。

ライブ漬けの日々で研ぎ澄まされた鋭い音

No Buses(撮影:雨宮透貴)

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ツアーファイナルは盟友No Busesとのツーマンライブとして行われ、中にはNikoんをほとんど知らないNo Busesのファンもいたかもしれない。しかし、前知識のあるなしは関係なかった。ライブを観れば、彼らがどんなバンドか一発で伝わる。7月から福岡や大阪に移住しながらライブ漬けの日々を送ってきたNikoんには、そう言い切れるほど磨き抜かれたライブ力があった。

オオスカ(G, Vo)(撮影:雨宮透貴)

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No Busesがトリプルギター編成で轟音のライブを繰り広げたのち、サポートの東克幸(Dr)を加えた3人でステージに登場したNikoん。1曲目は1stアルバム収録の「Vision-2」で、始まりこそ静かだったが、徐々に蓄積した熱が爆発するようにして、咆哮するオオスカの切れ味鋭いギターソロが炸裂する。続く「bend」では、オーガキが生き生きと体を躍動させながらベースラインを鳴らし、力強い歌声で熱唱。開演前にはフロアの真ん中でピアノの弾き語りライブを行い、繊細で美しい歌声で観客を魅了していた彼女だが、バンドセットではまったく別の魅力を放っていた。

Nikoんのライブの様子。(撮影:雨宮透貴)

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こうしてNikoんは、代表曲の1つである「step by step」をはじめとして、オオスカが歪んだギターを鳴らしながら歌うソリッドな1stアルバム収録曲と、オーガキがボーカルを担当してポップさを増した「とぅ~ばっど」などの2ndアルバム収録曲を織り交ぜ、爆音で観客を圧倒。ライブ中盤には、サプライズでNo Busesの人気曲「Tic」をカバーしたのち、Cwondoこと近藤大彗(No Buses)をゲストに迎えた1stアルバム表題曲「public melodies」を披露し、フロアに熱狂を巻き起こした。

トリブルギターで披露した新曲

Nikoん(撮影:雨宮透貴)

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マナミオーガキ(B, Vo)(撮影:雨宮透貴)

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故郷である鹿児島にも凱旋したツアーを振り返り、「これからも種いっぱい蒔いていくし、水やりにも行こうと思うので、ちゃんとやってんのかいなって見守ってくれたらうれしいです」と語りかけたオーガキが「今年の夏、Nikoんが完成させます!」と宣言すると、ミュージックビデオも公開されている2ndアルバムのリード曲「さまpake」へ突入。オーガキが歌うキャッチーなメロディと、オオスカが刻むエネルギッシュなギターリフが交錯し、フロアに高揚感が広がっていく。

Nikoんのライブの様子。(撮影:雨宮透貴)

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そこへ「(^。^)// ハイ」「グバマイ!!」と飛び切り爽快な2ndアルバム収録曲を畳みかけてライブ本編を終えたNikoん。アンコールには、サポートドラマーとしてツアーを一緒に回った有島コレスケ(arko lemming)とItsuki Kun(Fallsheeps)をギタリストとして迎えた5人で登場した。奇しくもNo Busesと同じトリブルギター編成だ。ここで5人が演奏したのは、オオスカ曰く1stアルバムで最も演奏が難しいという「mouton」、そして打ち込みも駆使したサウンドに乗せてオオスカとオーガキが声を重ねる新曲。オオスカによれば、この曲は2ndアルバムの先の3rdアルバムに収録される予定なのだという。

「自分はロックスターでもなければ、優れた人間でもない」

オオスカ(G, Vo)(撮影:雨宮透貴)

オオスカ(G, Vo)(撮影:雨宮透貴)[拡大]

研ぎ澄まされたライブを観客に浴びせ続けたNikoんだが、アンコールを始める前に、オオスカが語ったのは自らの弱さだった。レコーディング中、外界との接触がSNS以外になくなる中で、「自分の言葉で喋れなくなっている」と感じたというオオスカ。そうした中でスタートした今回のツアーについて「知らしめてやるぞって気持ちで始めたんですよ。俺たちのバンドは日本で一番カッコいいって言うツアーだったんですけど、別にそんなことなくて。自分の弱さをやっと自覚させられた」と告白する。

オオスカ(G, Vo)(撮影:雨宮透貴)

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「自分はロックスターでもなければ、優れた人間でもないんだなって。声も潰れて、直して、またひどく潰れて、それを何十カ所もやって、納得のできないライブもありましたけど、でも不思議と恥ずかしくはなかったんですよね。今の俺はこういう人間で、こういう素晴らしい人たちとバンドをやっていますと言えるようになれたんです」と言葉を続けたオオスカ。「自分の弱さがわかってるのに、認めたくないみたいな人もいると思うんですよ。そいつが少しでもギャーギャー騒ぎ立てられるように場所を作りたいなと思ってここにいます。そういうバンドになれたら幸せです」とNikoんというバンドに込めた思いを伝えた。

オオスカは問いかける「お前らはどうなんだ」

Nikoんのライブの様子。(撮影:雨宮透貴)

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さらにオオスカは、「俺は自分の言葉で俺は弱い人間だって言えるようになったんですけど、お前らはどうなんだっていう」と続け、「俺はお前らを壇上に引きずりあげたい。対等になりたい」と観客に呼びかける。この日、物販では1週間以内に400字以上のレビューを提出することを条件として、2ndアルバムの試聴盤がアルバムの予約者に配布されていた。この企画について、オオスカは「どんな文でも載せますんで。俺らに対する罵詈雑言だっていい」と語り、「あなたの言葉が聞きたいんです」と求めた。

Nikoんのライブの様子。(撮影:雨宮透貴)

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約2カ月のライブツアーを終えたNikoんは、2ndアルバムリリース後の10月から47都道府県ツアー「アウトストアで47」を開催。このツアーはアルバムのアウトストアライブとして行われるもので、購入者は各日程のうち1公演を無料で鑑賞できる。来年2月までの5カ月で約100本というライブをこなし、その音に一層磨きをかけていくNikoん。ツアーファイナルを迎える頃、いったいどんなバンドに進化しているのか。

セットリスト

マナミオーガキ

01. なんてな
02. bend
03. step by step
04. Ghost In My Room(宇多田ヒカル「In My Room」とNikoん「ghost」のミックス)
05. とおり雨
06. public melodies

No Buses

01. imagine siblings(1番のみ)
02. sunbeetle
03. in peace
04. slip fall sleep
05. uni(obpアレンジ)
06. Our Broken Promises
07. hope nope hope
08. eyes+
09. Tic
10. girl
11. rubbish
12. kaze
13. home
14. imagine siblings(2番から)

Nikoん

01. Vision-2
02. bend
03. step by step
04. とぅ~ばっど
05. ghost
06. Tic
07. public melodies
08. fly
09. さまpake
10. (^o^)// ハイ
11. グバマイ
<アンコール>
12. mouton
13. 新曲

2nd Album「fragile Report」購入者特典LIVEツアー「アウトストアで47」

関東 / 甲信シリーズ

2025年10月15日(水)東京都
2025年10月16日(木)神奈川県
2025年10月18日(土)栃木県
2025年10月19日(日)長野県
2025年10月20日(月)山梨県
2025年10月24日(金)群馬県
2025年10月26日(日)茨城県
2025年10月27日(月)千葉県
2025年10月31日(金)埼玉県

東北シリーズ

2025年11月1日(土)宮城県
2025年11月3日(月・祝)山形県
2025年11月5日(水)岩手県
2025年11月6日(木)福島県
2025年11月11日(火)秋田県
2025年11月12日(水)青森県

北海道シリーズ

2025年11月14日(金)北海道
2025年11月20日(木)北海道

北陸シリーズ

2025年12月2日(火)石川県
2025年12月3日(水)福井県
2025年12月4日(木)新潟県
2025年12月5日(金)富山県

関西・東海シリーズ

2025年12月7日(日)滋賀県
2025年12月12日(金)三重県
2025年12月13日(土)愛知県
2025年12月14日(日)静岡県
2025年12月17日(水)岐阜県
2025年12月18日(木)大阪府
2025年12月19日(金)京都府
2025年12月23日(火)和歌山県
2025年12月24日(水)奈良県
2025年12月25日(木)兵庫県

四国シリーズ

2026年1月15日(木)徳島県
2026年1月16日(金)高知県
2026年1月17日(土)愛媛県
2026年1月18日(日)香川県

中国シリーズ

2026年1月19日(月)岡山県
2026年1月21日(水)広島県
2026年1月22日(木)鳥取県
2026年1月23日(金)島根県
2026年1月24日(土)山口県

九州シリーズ

2026年1月25日(日)長崎県
2026年1月26日(月)佐賀県
2026年1月28日(水)福岡県
2026年1月29日(木)熊本県
2026年1月30日(金)大分県
2026年1月31日(土)宮崎県
2026年2月1日(日)鹿児島県

東京ファイナル&沖縄公演

2026年2月15日(日)東京都
2026年2月20日(金)沖縄県

Nikoん × Apes presents「Risorgimento」Nikoん Re:TOUR -チッタ360 -

2025年10月30日(木)神奈川県 CLUB CITTA'
<出演者>
Nikoん / Apes

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Bass Gorilla @slap_love

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