塚本晋也 × Xperia 1|“1人映画部隊”や活劇で、映画作りがもっと自由になる最新スマートフォン

ソニーのスマートフォン最新機種Xperia 1が、6月14日に発売された。

Xperiaシリーズの最新作にあたるこのスマホには、世界初(※1)の4K(※2)HDR有機ELディスプレイが搭載。画面比率21:9のワイドなディスプレイは高い映像再現力を持っており、映像作品やゲームを臨場感たっぷりに楽しむことができる。また、映画のような質の高い映像が手軽に撮れる機能「Cinema Pro」も新たに登場した。

映画ナタリーでは、監督作で長きにわたってソニーのカメラを使っている映画監督・塚本晋也に、Xperia 1の「Cinema Pro」機能で映像を撮影してもらった。ロケ地として、新潟にある日本最古級の映画館・高田世界館を選んだ塚本。ソニーの技術力が結集した最新スマホを使って彼が捉えた映像とは?

取材・文 / 秋葉萌実 スチール撮影 / 須田卓馬
インタビュー動画撮影・編集 / 佐々木優、佐藤里砂(OUNCE)

※1 スマートフォンにおいて。2019年5月16日現在、各メーカーからの公式発表にもとづく。ソニーモバイルコミュニケーションズ調べ。
※2 水平3840画素×垂直1644画素(SID規格にもとづく)

Xperia 1で日本最古級の映画館を撮影!

※HDRで撮影したものをSDRフォーマットに変換

※本映像は、Xperia 1の「Cinema Pro」機能で撮影した素材を、
編集ソフトDaVinci Resolve Studio 15(バージョン:15.3.1.003)を用いて編集したものです。

編集ソフトによってはCinema Proで撮影した素材の編集ができない場合があります。

詳しくはソニーモバイルコミュニケーションズまでお問い合わせください。

高田世界館とは?
高田世界館

Xperia 1

Xperia 1

「好きを極めたい人々に、想像を超えたエクスペリエンスを」がコンセプトのスマートフォン。ソニーのプロ向け映画撮影用デジタルビデオカメラ開発チームが監修した機能「Cinema Pro」が搭載されており、映画の質感や色表現で映像撮影を楽しめる。さらに動画を見ながらSNSを見たり、ショッピングサイトを見比べるなど、1つの画面で2つのアプリを同時に操作することも可能。スマートフォンでは初めて、瞳オートフォーカスに対応する「標準」「望遠」「超広角」のトリプルレンズカメラが採用された。

大切な映画はEX3で撮った

ソニーのPMW-EX3を抱える塚本晋也。

──まずはソニー製品との関わりから教えてください。塚本さんはソニーのPMW-EX3(以下EX3)で4本の映画を制作されたそうですね。以前「できるだけ現場を小さくしたい」とお話されてましたが、カメラを選ぶ際にEX3に感じた魅力は?

10年前に「鉄男 THE BULLET MAN」を撮るタイミングで、PMW-EX3(以下EX3)を購入して使い始めました。いろんなカメラで撮った映像を大きなスクリーンに映してみて質を確かめるテストをして、その中からEX3を選びました。僕の映画では少人数でいろんな場所に行くので機動力も大事なんですが、これはコンパクトだし、自分の手の感覚と機械の反応がシャープに連動して操作性もいい。ストレスを感じずに撮影できるので、「鉄男」の最終形である「鉄男 THE BULLET MAN」や「野火」など、自分にとって大切な映画はEX3で撮りましたね。スタッフも愛着を込めながら使ってくれました。

──「鉄男 THE BULLET MAN」のほかに、「葉桜と魔笛」「KOTOKO」「野火」の撮影も同じEX3だったと伺いました。

「葉桜と魔笛」は、海外の映画祭でIMAXのスクリーンで上映されても画面が遜色なかったのですごいなと思いました。そのあと作った「KOTOKO」も沖縄の海やCoccoさんによるかわいい美術の色合いの再現度が素晴らしかったし、「野火」ではフィリピンの大自然の美しさを表現できました。最新作の「斬、」では4Kのカメラで撮影してみたかったので、操作性と画質の点から選んだPXW-FS7を使っています。

これで映画が1本できないか

──Xperia 1を使って撮影した映像に関しても伺いたいです。撮影場所は塚本さんが「どこを切り取っても絵になる」と話していた、現存する日本最古級の映画館・高田世界館でした。

映写室の窓から手を伸ばして撮影する塚本晋也。

「野火」を上映したときに多くの劇場で舞台挨拶をし、たくさんの魅力的な映画館を見ることができました。今回は、古いものを一番新しい技術で撮影して残す試みをしてみたいと思い、高田世界館を撮影させていただくことにしました。いろいろなものがかなり古いまま残っている素晴らしい劇場なんです。入り口から入って天井の素晴らしい装飾を見て、そのまま客席をワンカットのイメージで抜けていき、映写室まで行ってみる。そんなふうに劇場がどういう構造になっていて、こんな“秘密基地”的な場所でフィルムが回っていることがわかる1本にしたら興味深いかなと思いました。

──映写室の窓からXperia 1を持った手を伸ばすところなど、スマートフォンだからこそ撮れる映像もあったように思います。

塚本晋也

あれは本当にスマートフォンでしか撮れないですね。カメラの重さを心配する必要がなく、階段の手すりをくぐり抜けたり映写機のギリギリ横に行ったりと自由に動ける軽やかさがいいなと思いました。僕はカメラが小さくなっていくことに一種の希望や憧れを抱いているんです。できるだけ現場を小さくすることを主題の1つとしているので、これで映画が1本できないかという期待が生まれました。

──今回はXperia 1の「Cinema Pro」を使っていただきましたが、使用感はいかがでした?

「Look」では色合いが変えられて、フィルムに近い質感で映画のようにしっとりとした柔らかい画も撮ることができる。標準、望遠、超広角と3種類のレンズがありますが、「ここはこう撮りたいな」と思ったときにすぐ変えられるのも手軽でありがたい。カメラを動かしたときの体に付いてくる感じも、今までの映画撮影で使ったソニーのカメラと同じようにピタッときました。Cinema Proで撮影した映像は、DaVinci Resolve Studio 15(バージョン:15.3.1.003)を使って編集しました(※)