映画ナタリー Power Push - 「X-ミッション」

世界トップアスリートが生身で挑む狂気の極限アクション

宮崎アニメのような構図。10年前だったら撮れなかった映画

スノーボードのシーンもそうだし、ウイングスーツもそうなんですけど、カメラマンがヘルメットにカメラを付けたりして一緒にやってますよね。一緒に飛んでないと、あんな宮崎駿のアニメみたいな飛行シーンは撮れないと思うんです。

アクションには閉じた構図と開いた構図の両方が必要で、引いた画でアクション、寄った画で人物を見せる。その組み合わせで構成していくんですけど、エクストリームの専門家がカメラを付けて一緒にやっているからあれだけ寄った画が撮れるわけです。そういう意味では、カメラの小型化も「X-ミッション」においてものすごく重要な役割を果たしていると言えますね。10年前だったら撮れなかったと思います。

トム・クルーズ、ジャッキー・チェン以上の危険スタント

クライミングは、「M:I-2」を観たときに衝撃を受けましたけど、今回はトム・クルーズ以上のことをやってるじゃないですか。画で観てもドキドキしますけど、実際にやってる人たちはそれ以上に怖いはず。命綱があったとしてもむちゃくちゃ怖いですよ。

「香港国際警察/NEW POLICE STORY」でジャッキー・チェンが47階建てのビルの側面を降りるシーンがありますけど、この作品の山は47階どころじゃないですからね(笑)。日本の映画でやってもいいと言われて、役者もやりたいと言ったとして、それでもやろうと思わないぐらい危険なシーンだと思います。

結論:CG全盛時代だからこそ、生身のアクションのスゴさを感じる

サーフィンの波、ウイングスーツの風、スノーボードの雪、クライミングの天候、どれも僕らがコントロールできないものです。自然の条件が整って初めて撮影できる、そういうシーンを劇映画の中に収めるというのは至難の業です。僕らはいつでもコンスタントにシーンを作ることを求められるんで。あと数時間で何カット撮らないといけないというような状況だとこの映画のようなことは絶対できないです。ウイングスーツなんて60回以上飛んだってメイキングで言ってましたけど、とてもその土俵で勝負する気にはなれないなと。

CG全盛の時代になって、かえって生のものが見直されていると思うんです。なんでもCGでできちゃうけど、だからこそ今僕らは「ポリス・ストーリー 香港国際警察」を観るとすごさを感じる。「X-ミッション」は、生のものというか、そっくりそのまま真剣を出してきたような映画だと思いました。

Contents Index
第1回 キャラクター紹介&相関図 谷垣健治が語る「X-ミッション」
第2回 佐野岳が語る「X-ミッション」
第3回 Jean-Ken Johnny(MAN WITH A MISSION)が語る「X-ミッション」

「X-ミッション」2016年2月20日より2D&3Dで公開

「X-ミッション」

若きFBI捜査官ジョニー・ユタに下されたミッションは、超一流アスリートの犯罪集団への潜入捜査。エクストリームスポーツのカリスマ、ボーディが率いるこの集団は、その天才的なスポーツスキルを駆使し、前代未聞の方法で次々と犯罪に手を染めているというのだ。自らも元アスリートであるユタは、ボーディに度胸と才能を認められ、チームに招き入れられる。命を危険に晒しながらともに行動するうちに、ボーディとの友情と捜査官としての正義に引き裂かれるユタ。果たして、決定的な証拠を掴み、彼らを捕えることができるのか? そして明かされる、彼らの本当の目的とは──!?

※映倫区分:PG12

スタッフ

監督・撮影:エリクソン・コア
脚本・製作:カート・ウィマー
音楽:トム・ホーケンバーグ

キャスト

ボーディ:エドガー・ラミレス
ジョニー・ユタ:ルーク・ブレイシー
サムサラ:テリーサ・パーマー
ホール教官:デルロイ・リンドー
パパス:レイ・ウィンストン

イメージソング

MAN WITH A MISSION「Give it Away」(ソニー・ミュージックレコーズ)

谷垣健治(タニガキケンジ)
谷垣健治

1970年10月13日、奈良県生まれ。映画監督、アクション監督、スタントコーディネーター。香港スタントマン協会に所属する唯一の日本人で、日俳連アクション部会委員長でもある。香港のアクションスター、ドニー・イェンのもとで数々の作品のスタントコーディネーターを務めたほか、ジャッキー・チェンやジェット・リーとも現場をともにしてきた。日本では「るろうに剣心」シリーズのアクション監督として数々の賞に輝く。


2016年2月19日更新