映画ナタリー Power Push - 「X-ミッション」

世界トップアスリートが生身で挑む狂気の極限アクション

「るろうに剣心」アクション監督・谷垣健治が解説!「X-ミッション」のココがヤバい5連発!
谷垣健治

映画「るろうに剣心」シリーズで数々の映画賞を獲得したアクション監督・谷垣健治が、いち早く「X-ミッション」を鑑賞。いったい何がすごいのか、どこがすごいのか、アクションのスペシャリストが自身の体験を踏まえてアツく解説する。

スリリングなシーン。クレバーで素晴らしいオープニング

オープニングは、いきなりモトクロスのバイクで山の尾根を走って崖からジャンプするところから始まるんですけど、素晴らしいシーンでした。ほとんどの人が自転車には乗るでしょうから、バイクの感覚ってちょっと共有できるじゃないですか。そういうものでお客さんの興味の入り口を作るのはすごくクレバーなやり方ですよね。

そして、「どこを走るか」。これも重要です。「007 スカイフォール」でボンドが屋根の上をバイクで走ったように、普通にできることを普通じゃないところでやるのが大事。「るろうに剣心」のとき、主人公の緋村剣心に馬で屋根を走らせようという計画があったんですけど、結局馬が屋根を走る理由が見つからなくて、剣心を走らせました(笑)。走ることは誰でもできるけど、屋根を走ることは難しい。今回も走る場所がよかったから、あれだけスリリングなシーンになったんだと思いますね。

死んでも不思議じゃない。頭おかしいんじゃないか(笑)

次のサーフィンもすごかった。メイキングを観ると1回失敗してるんですよね。大けがしてもおかしくないし、死んでも不思議じゃない。しかも1人だけじゃなくて、2人でクロスするシーンまであって、頭おかしいんじゃないかと思います(笑)。

カメラもよく撮れるなと思いますね。水の上は難しいんです。地上だったら1回失敗してもすぐにやり直せますけど、水の上だとカメラを載せた船も流されるからすぐにポジションを戻すことができない。もっともこの映画のアクションは記録映画みたいなものなので、ポジションも何もあったもんじゃないですけど(笑)。準備にも撮影にもたっぷりと時間をかけて撮ったということが伝わってきました。

この生っぽさは出せない。アクションに作為や嘘がない

ウイングスーツは、僕自身もYouTubeなどを通してここ数年で知りました。「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」で使われたりして広まりましたけど。「X-ミッション」は、もちろん劇映画なんですけど実際にやっているので、アクションに作為や嘘がない。僕らもワイヤーやCGなどのあの手この手を使って、それに近い画面を作ることはできるけど、この生っぽさは出ないですよ。作れるけど、作ったからどうなんだという気がしてしまうでしょうね。

僕らは作劇する側の人間なんで、ウイングスーツで銃撃戦とか、そこにドラマ要素が入ってくれば作り込んでも違和感がなくなるんですけど、この記録映画のようなテイストは真似ができないです。アクションをどうドラマチックに見せられるかというところで勝負するしかないですよね。

Contents Index
第1回 キャラクター紹介&相関図 谷垣健治が語る「X-ミッション」
第2回 佐野岳が語る「X-ミッション」
第3回 Jean-Ken Johnny(MAN WITH A MISSION)が語る「X-ミッション」

「X-ミッション」2016年2月20日より2D&3Dで公開

「X-ミッション」

若きFBI捜査官ジョニー・ユタに下されたミッションは、超一流アスリートの犯罪集団への潜入捜査。エクストリームスポーツのカリスマ、ボーディが率いるこの集団は、その天才的なスポーツスキルを駆使し、前代未聞の方法で次々と犯罪に手を染めているというのだ。自らも元アスリートであるユタは、ボーディに度胸と才能を認められ、チームに招き入れられる。命を危険に晒しながらともに行動するうちに、ボーディとの友情と捜査官としての正義に引き裂かれるユタ。果たして、決定的な証拠を掴み、彼らを捕えることができるのか? そして明かされる、彼らの本当の目的とは──!?

※映倫区分:PG12

スタッフ

監督・撮影:エリクソン・コア
脚本・製作:カート・ウィマー
音楽:トム・ホーケンバーグ

キャスト

ボーディ:エドガー・ラミレス
ジョニー・ユタ:ルーク・ブレイシー
サムサラ:テリーサ・パーマー
ホール教官:デルロイ・リンドー
パパス:レイ・ウィンストン

イメージソング

MAN WITH A MISSION「Give it Away」(ソニー・ミュージックレコーズ)

谷垣健治(タニガキケンジ)
谷垣健治

1970年10月13日、奈良県生まれ。映画監督、アクション監督、スタントコーディネーター。香港スタントマン協会に所属する唯一の日本人で、日俳連アクション部会委員長でもある。香港のアクションスター、ドニー・イェンのもとで数々の作品のスタントコーディネーターを務めたほか、ジャッキー・チェンやジェット・リーとも現場をともにしてきた。日本では「るろうに剣心」シリーズのアクション監督として数々の賞に輝く。