映画ナタリー Power Push - 「バクマン。」
大根仁×佐藤健×神木隆之介 3人で作り上げた、最高と秋人の最強コンビ
斬るだけじゃダメだ、効果がないと!って(神木)
──ほかに佐藤さんと神木さんで作っていったシーンはありますか?
神木 はい。学校で「組もうぜ」ってなったあと、秋人と最高が「じゃあ、どんなマンガにする?」って相談を始めるところはアドリブでした。
大根 そうだね。だいたいこんなことを話してっていうお題だけ伝えて。
神木 秋人の作った資料を2人で見ながら、「こんな決めゼリフがいいんじゃない?」とか、「こういう展開にしよう」とか、「剣が出てくるならこういう属性がいいよね!」とかそういうことばっかり話していました。
佐藤 属性(笑)。
──ああ、火属性とか闇属性とかそういう……。
神木 ええ。斬るだけじゃダメだ、効果がないと!って(笑)。
──神木さんらしいこだわりが(笑)。劇中には、「まんが道」にも登場するテラさん(寺田ヒロオ)の名前や、「SLAM DUNK」の安西先生のモノマネが出てきたりと、マンガへのオマージュも満載でしたね。そういったアドリブも?
佐藤 「変態仮面」(「究極!! 変態仮面」)のくだりは、リュウが自分でなんか言ってたよね。
神木 そうそう、「それは私のおいなりさんだ!」っていうセリフ。ポーズも付けてやってたら、ちょうどそこに亜豆が来ちゃって男2人で「あ!」ってなるシーン(笑)。
佐藤 いるよね、マンガが好きすぎてとりあえず名ゼリフ言っちゃうやつ。あれはリアルだったと思う(笑)。
神木 うん、それがたまたま秋人の場合、「おいなりさん」だったっていう。
──よりによって「変態仮面」ネタが神木さんのアイデアだったなんて……素敵です!
大根 ふふふふ(笑)。「変態仮面」はわざわざマンガ喫茶に行って読み返してきたって言ってたよね。
神木 はい。今回のために「SLAM DUNK」とか読破してきたんですけど、そのときに一緒に読みました。ページをめくりながら「なるほど、それは私のおいなり……これ絶対使えるな。よし、言おう!」って(笑)。
──入れ込みたいセリフを自主的にメモっていたと。なんと勉強熱心な(笑)。
マンガが近くにありすぎて、みんなマンガ読んでた(佐藤)
──主人公の2人以外にも、個性的なマンガ家たちがたくさん出てきて、そのトキワ荘さながらの雰囲気が楽しかったです。
大根 あの原作を映画化するときに、ジャンプを代表する言葉「友情・努力・勝利」の物語にしようと思ったので。男2人のバディものでもありながら、チームものの感じも出したいなと。
──中でも大根さんの思い入れが強いキャラクターはいますか?
大根 やっぱり新妻エイジかな。原作でも、主役を超えてアンケート1位になったりするキャラなので、どう映像化するかはちょっと悩みました。ただ、これはもう染谷(将太)しかいないって思っていたので、キャスティングが決まった時点で安心して、あまり役については話してないんですよ、染谷とは。「大丈夫だよね?」って聞いたら「大丈夫です」って。
──宮藤官九郎さん演じる川口たろうというキャラクターには、マンガ家の孤独と悲哀がにじみ出ていました。
大根 川口たろう役は、物を書いている人がいいなと思っていて。宮藤さんは映画版の「ゲゲゲの女房」で水木しげる先生を演じていたんですけど、その描く所作とかがすごく良かった。やっぱり物を書いている人の机に向かったときの説得力っていうか。
──ほかにも桐谷健太さん、新井浩文さん、皆川猿時さんが強烈なキャラクターのマンガ家を演じてましたが、そんなアニキたちとの共演はいかがでした?
佐藤 初めましての方が多くて、出会いが一度に来た!って感じで、俳優としてはもう最高に幸せな現場でした。大好きな人たちばかりだったので、見てるだけで楽しかったですね。
──ムードメーカーは誰だったんでしょう?
神木 健兄(桐谷健太)かな? でも健兄にしてはおとなしいほうだったかも。
佐藤 マンガ読んでましたからね、黙々と。マンガが近くにありすぎて、みんなマンガ読んでた。
大根 そうだそうだ。「4巻どこにある?」「ここの『BLEACH』丸ごと抜けてんだけど!」みたいな(笑)。
神木 「あそこの棚の何段目にあったよ」「あーじゃあ取りに行ってこよう」みたいな。
佐藤 だんだん配置に詳しくなっていく(笑)。本当、マンガ喫茶みたいな感じで1日中居られるな、って。
──「バクマン。」ならではのエピソードですね。最高と秋人の仕事場は、マンガ好きにとっては夢のような空間で。
佐藤 いや本当、たまらないですよ。お宝グッズが並んでましたから。ゆでたまご先生や江口寿史先生が描いてくれた川口たろうへのサインとか。
大根 2人にとっての夢の空間であり、部室であり、それから川口たろうのやり残したことが漂っている雰囲気を作りたかったんです。まあ、あんなに汚すつもりはなかったけどね(笑)。
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Contents Index
About the Movie
「バクマン。」2015年10月3日より全国東宝系にて公開
スタッフ
監督・脚本:大根仁
原作:大場つぐみ、小畑健
主題歌:サカナクション「新宝島」
キャスト
真城最高:佐藤健
高木秋人:神木隆之介
新妻エイジ:染谷将太
亜豆美保:小松菜奈
福田真太:桐谷健太
平丸一也:新井浩文
中井巧朗:皆川猿時
服部哲:山田孝之
川口たろう:宮藤官九郎
佐々木編集長:リリー・フランキー
Profile
大根仁(オオネヒトシ)
1968年12月28日、東京都生まれ。「劇団演技者。」「アキハバラ@DEEP」「湯けむりスナイパー」などの深夜ドラマを数多く手がける。2011年には自身が演出を務めたドラマ「モテキ」の劇場版で映画監督デビューを果たし、第35回日本アカデミー賞で話題賞(作品部門)に輝く。近作は「恋の渦」、ドラマ「まほろ駅前番外地」「リバースエッジ大川端探偵社」ほか。電気グルーヴの活動を追ったドキュメンタリー映画「DENKI GROOVE THE MOVIE? ~石野卓球とピエール瀧~」が12月26日より公開。
佐藤健(サトウタケル)
1989年3月21日、埼玉県生まれ。2007年、特撮ドラマ「仮面ライダー電王」で初主演を飾り、その後「Q10」「ビター・ブラッド」などのテレビドラマや、「リアル~完全なる首長竜の日~」「カノジョは嘘を愛しすぎてる」などの映画に出演。緋村剣心を演じた「るろうに剣心」シリーズの3作目「るろうに剣心 伝説の最期編」で第9回アジア・フィルム・アワード主演男優賞にノミネートを果たす。2015年春に放送されたドラマ「天皇の料理番」でも主演を務めた。2016年には「世界から猫が消えたなら」の公開が控える。
神木隆之介(カミキリュウノスケ)
1993年5月19日、埼玉県生まれ。幼少期より俳優活動をスタートし、2005年に主演作「妖怪大戦争」で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。「11人もいる!」「家族ゲーム」などテレビドラマで活躍する一方、「劇場版 SPEC~天~」「桐島、部活やめるってよ」「るろうに剣心 京都大火編 / 伝説の最期編」「脳内ポイズンベリー」などに出演。待機作は2016年2月6日公開「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」、2016年公開「太陽」ほか。書籍「神木隆之介のMaster's Café 達人たちの夢の叶えかた」が9月25日発売。
2015年10月9日更新