映画ナタリー Power Push - 「バクマン。」
大根仁×佐藤健×神木隆之介 3人で作り上げた、最高と秋人の最強コンビ
大場つぐみ、小畑健によるコミックを実写化した「バクマン。」は、2人の高校生がマンガを共作し、週刊少年ジャンプでの連載を目指して突っ走る文化系青春映画。「モテキ」の大根仁が監督を務め、佐藤健と神木隆之介が主人公の最高と秋人を抜群のコンビネーションで演じた。
ナタリーでは、キャストや原作、音楽などさまざまな角度から「バクマン。」の魅力を紐解く特集を展開する。第1弾には主演2人と監督がそろって登場。「るろうに剣心」シリーズでの共演から培われてきた佐藤と神木の信頼関係、そして「うっすらBL感を狙っていた」という大根の演出により、いかにして最高と秋人の最強コンビが生まれたのかを明かしてもらった。
取材・文 / 黛木綿子 撮影 / 高岡弘
「僕がメガネのほうですか!?」って何回も確認しました(神木)
──今日は久々に3人で顔をあわせたそうですが、いつぶりなんですか?
佐藤 撮影ぶりですね。去年の夏にクランクアップしたんで、もう1年ぐらい前かな。
大根 俺は恥ずかしいんですよ。4月ぐらいまでずっと編集してたから、画面の中のこの2人がずっと脳内にこびりついてて。だから面と向かって会うのは、ちょっと恥ずかしいっていう。あと、ほかの監督といっぱい浮気してきたんだろうなって。
佐藤・神木 いやいやいや(笑)。
佐藤 3回くらいですよ。
大根 めっちゃ、やってんじゃん。ちょっと寂しいわ(笑)。
──(笑)。今日まずお伺いしたいのは、キャスト発表時に「逆じゃないか?」という声が吹き荒れた配役についてです。渦中の皆さんはどう思われていたんでしょう?
大根 世間の反応は意外でしたね。言う人はいるだろうなとは思っていたけれど、自分の中では自然なキャスティングだったので、なんであんなに「逆、逆」って言われるのか不思議でしょうがなかった。
佐藤 僕はオファーを受けたとき、「ええー!?」ってびっくりしましたよ。どういうことなんだろうって思ったけど、説明を聞いて「なるほど、いいな」と。
神木 僕も同じで、最初は「いや、逆じゃないかな」って。「僕がメガネのほうですか!?」ってマネージャーに何回も確認しました(笑)。だけど、性格を考えたら配役はあっているという話を聞いて、確かにそうかもしれないって。
──佐藤さんと神木さんはお互いのプライベートの顔も知っていた上で納得できたと。
佐藤・神木 そうですね。
神木 台本を読んだときに、秋人の性格は確実に僕だなと(笑)。もう言ってることも、テンションの上がり方も自分だなって思ったので。
──大根さんは脚本の段階から、あて書きされていたそうですね。
大根 うん。俺は最初のイメージから1回もぶれてないんだけどね。見た目じゃなくて内面を考えると、マンガオタクの神木隆之介が物語を考えそうだし、言葉数は少ないけれども心に確固たるものがあって、それを実直に表現していく男って考えると健がぴったりだと。……って、こんな感じのことを最初に2人に言ったんだっけ?
佐藤 それもあったし、そのあと実際現場に入ってリュウ(神木)がやる秋人を見たら、「俺は絶対、秋人はできなかったな」って思った(笑)。それほどハマってました。
佐藤健が童貞に見えるかが一番心配だった(大根)
──大根さんも撮影が始まってから、自信が確信に変わった感じですか?
大根 俺はクランクインっていうより、役者のイメージは衣装あわせでつかんでいくんですよ。伊賀(大介)くんに衣装を発注するときに、「そんなにカッコよくなくて、でもすっげえダサいわけじゃなくて、半端なものにして」って言って、それでいろんなパターンを試して2人が並んだバランスを見た段階で、すでに「大丈夫だ」って思ってた。
──以前、お話を伺ったときには(参照:ジャンプ編集部を完全再現!大根仁監督「バクマン。」制作現場レポート)、佐藤さんが童貞に見えるか心配だったっておっしゃってましたよね。
大根 そうですね。それが一番心配だったんですけど。
佐藤 ずっと言ってましたよね。こっちも「見えるから大丈夫、絶対童貞に見えますから!」って言い続けて。
大根 童貞感っていう点では、神木隆之介に関しては心配なかったんだけど、健はね。
──それはある意味、神木さんに失礼というか……。
大根 (笑)。でもそんなふうに自分の中では「いける!」って感じだったから、クランクインのときに配役が発表されて「逆!」って言われたことで、すげー火がつきましたね。脚本は大変だったんだけど、準備、キャスティングはわりとスムーズに進んでたんで、現場に入るときに何か物足りないなって思ってたら、ちょうどいいのがきたぞって。
──軽めの炎上が(笑)。
大根 それを受けて、2人に「ギャフンと言わせてやろうぜ」的なことを言いました。
──いや、でも完成した映画を観たら本当にギャフンと言わされました。
次のページ » 大根さんは、ひたすら亜豆を撮ってましたね(佐藤)
Contents Index
About the Movie
「バクマン。」2015年10月3日より全国東宝系にて公開
スタッフ
監督・脚本:大根仁
原作:大場つぐみ、小畑健
主題歌:サカナクション「新宝島」
キャスト
真城最高:佐藤健
高木秋人:神木隆之介
新妻エイジ:染谷将太
亜豆美保:小松菜奈
福田真太:桐谷健太
平丸一也:新井浩文
中井巧朗:皆川猿時
服部哲:山田孝之
川口たろう:宮藤官九郎
佐々木編集長:リリー・フランキー
Profile
大根仁(オオネヒトシ)
1968年12月28日、東京都生まれ。「劇団演技者。」「アキハバラ@DEEP」「湯けむりスナイパー」などの深夜ドラマを数多く手がける。2011年には自身が演出を務めたドラマ「モテキ」の劇場版で映画監督デビューを果たし、第35回日本アカデミー賞で話題賞(作品部門)に輝く。近作は「恋の渦」、ドラマ「まほろ駅前番外地」「リバースエッジ大川端探偵社」ほか。電気グルーヴの活動を追ったドキュメンタリー映画「DENKI GROOVE THE MOVIE? ~石野卓球とピエール瀧~」が12月26日より公開。
佐藤健(サトウタケル)
1989年3月21日、埼玉県生まれ。2007年、特撮ドラマ「仮面ライダー電王」で初主演を飾り、その後「Q10」「ビター・ブラッド」などのテレビドラマや、「リアル~完全なる首長竜の日~」「カノジョは嘘を愛しすぎてる」などの映画に出演。緋村剣心を演じた「るろうに剣心」シリーズの3作目「るろうに剣心 伝説の最期編」で第9回アジア・フィルム・アワード主演男優賞にノミネートを果たす。2015年春に放送されたドラマ「天皇の料理番」でも主演を務めた。2016年には「世界から猫が消えたなら」の公開が控える。
神木隆之介(カミキリュウノスケ)
1993年5月19日、埼玉県生まれ。幼少期より俳優活動をスタートし、2005年に主演作「妖怪大戦争」で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。「11人もいる!」「家族ゲーム」などテレビドラマで活躍する一方、「劇場版 SPEC~天~」「桐島、部活やめるってよ」「るろうに剣心 京都大火編 / 伝説の最期編」「脳内ポイズンベリー」などに出演。待機作は2016年2月6日公開「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」、2016年公開「太陽」ほか。書籍「神木隆之介のMaster's Café 達人たちの夢の叶えかた」が9月25日発売。
2015年10月9日更新