映画ナタリー Power Push - 「バクマン。」
大根仁×佐藤健×神木隆之介 3人で作り上げた、最高と秋人の最強コンビ
大根さんは、ひたすら亜豆を撮ってましたね(佐藤)
──佐藤さん、神木さんは大根さんの演出はいかがでしたか?
佐藤 そうですね……ひたすら亜豆(小松菜奈)を撮ってましたね(笑)。
大根 はははは(笑)。
佐藤 カメラ、なかなかこっち向かなかったですから。
大根 いやいや、亜豆が出てるシーン自体少ないでしょ? なんでそればっかり覚えてるの?
佐藤 亜豆が出るときは、確実に大根さんがDカメ(ディレクターカメラ)を持って自ら撮るんですけど、そのときは顔が生き生きしてました。
──そんなにわかりやすく、やる気を出してたんですか?
大根 うん、まあそうやね。そうなるかな。
──あっさり認めた(笑)。神木さんはいかがでしたか?
神木 同じく、亜豆をずっと撮っていたっていうイメージがあります(笑)。だけど、すごいこだわりのある方だなって。何か物を渡すときの渡し方とか、そういう細かいところまで、いろんなところを見てくださっているなと思いました。
佐藤 うん、すごい細かく演出してくれるところもあったし、いい意味で放置される瞬間も両方ありました。
大根 今回は物語の構造上、最高と秋人がどんどん追い込まれていく話なので、この2人に対してはちょっと距離をもって接していたっていうのがあるかもしれないですね。
──亜豆には寄るけど、2人からは距離を置くと。
大根 そう。2人で世界観を作って、という思いを込めて。同じ事務所でプライベートでも仲がいいんだろうけど、そんなにガッツリ仕事では組んだことないっていうのは知ってたので。最高と秋人も同じクラスではあるけど、あまり関わりがなかったっていう部分が重なるなと。2人そろったときにフレッシュさもありつつ、だんだん2ショット感ができあがっていくっていうのが狙いでもあった。
体育館のシーンでは、神木の目がとろーんとしてた(大根)
──昨年「るろうに剣心」2部作(「るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編」)で緋村剣心と瀬田宗次郎としてぶつかり合った2人が、今度は一蓮托生のコンビとして共演されたのが面白かったです。
佐藤 全然違う設定とキャラクターだったので、今回も新鮮な気持ちで楽しめました。むしろ「るろうに」やってて本当よかったです。やってなかったらもっとこう……。
神木 距離。
佐藤 そう。もっと距離があったと思うし、アクションのシーンなんか大変でしたね、たぶん。
──劇中、「るろうに剣心」さながらのアクションシーンがありましたね。
佐藤 ジャンプの読者アンケート1位を争って、最高と秋人がエイジ(染谷将太)とバトルするシーン。大きなペンと鉛筆を刀みたいに振り回すから、呼吸をあわせないといけなくて。
神木 「るろうに剣心」で一緒にやっていたので、こっちも最初から気を遣わずに思いっきり振り抜けました。あそこで容赦してしまうと、全然迫力が出なかったと思います。
佐藤 お互い信頼しているからこそ、思いっきりやれました。
大根 まあ、俺はうっすらBL感を狙ってたんで。
佐藤 言ってましたね(笑)。「BL意識して」って。
──実際取り入れた部分はあるんですか?
佐藤 いや、まあ……ところどころ。
神木 うん、ところどころ。
大根 匂う程度にね。俺が指示してないところで言うと、体育館で最高から「もっとお前と早く組めばよかった」みたいなことを言われるシーンでは、神木の目がとろーんとしてた(笑)。
神木 えー! 俺、わかんないです。そんなにとろーんとしてました!?
大根 してたしてた(笑)。
神木 無意識だったんですかね(笑)。普通にやってたつもりだったんだけどな……。
佐藤 自然と出ちゃってたんだ(笑)。
大根 後半、連載が始まった2人がテンパって喧嘩するところとかは、そういう関係を経て気持ちをぶつけ合ってるんです。
──ある種、痴話喧嘩のような。
大根 あそこは勝手に2人でセリフを直してたし、やりやすいようにやってる感じがよかった。そうやって2人だけで作ってもらった部分はけっこうあって、最高が倒れる前に立ち上がってトイレに行くとき、秋人の肩に手を置いてくところとか。地味だけど、すげー効いてるなと思った。
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Contents Index
About the Movie
「バクマン。」2015年10月3日より全国東宝系にて公開
スタッフ
監督・脚本:大根仁
原作:大場つぐみ、小畑健
主題歌:サカナクション「新宝島」
キャスト
真城最高:佐藤健
高木秋人:神木隆之介
新妻エイジ:染谷将太
亜豆美保:小松菜奈
福田真太:桐谷健太
平丸一也:新井浩文
中井巧朗:皆川猿時
服部哲:山田孝之
川口たろう:宮藤官九郎
佐々木編集長:リリー・フランキー
Profile
大根仁(オオネヒトシ)
1968年12月28日、東京都生まれ。「劇団演技者。」「アキハバラ@DEEP」「湯けむりスナイパー」などの深夜ドラマを数多く手がける。2011年には自身が演出を務めたドラマ「モテキ」の劇場版で映画監督デビューを果たし、第35回日本アカデミー賞で話題賞(作品部門)に輝く。近作は「恋の渦」、ドラマ「まほろ駅前番外地」「リバースエッジ大川端探偵社」ほか。電気グルーヴの活動を追ったドキュメンタリー映画「DENKI GROOVE THE MOVIE? ~石野卓球とピエール瀧~」が12月26日より公開。
佐藤健(サトウタケル)
1989年3月21日、埼玉県生まれ。2007年、特撮ドラマ「仮面ライダー電王」で初主演を飾り、その後「Q10」「ビター・ブラッド」などのテレビドラマや、「リアル~完全なる首長竜の日~」「カノジョは嘘を愛しすぎてる」などの映画に出演。緋村剣心を演じた「るろうに剣心」シリーズの3作目「るろうに剣心 伝説の最期編」で第9回アジア・フィルム・アワード主演男優賞にノミネートを果たす。2015年春に放送されたドラマ「天皇の料理番」でも主演を務めた。2016年には「世界から猫が消えたなら」の公開が控える。
神木隆之介(カミキリュウノスケ)
1993年5月19日、埼玉県生まれ。幼少期より俳優活動をスタートし、2005年に主演作「妖怪大戦争」で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。「11人もいる!」「家族ゲーム」などテレビドラマで活躍する一方、「劇場版 SPEC~天~」「桐島、部活やめるってよ」「るろうに剣心 京都大火編 / 伝説の最期編」「脳内ポイズンベリー」などに出演。待機作は2016年2月6日公開「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」、2016年公開「太陽」ほか。書籍「神木隆之介のMaster's Café 達人たちの夢の叶えかた」が9月25日発売。
2015年10月9日更新