映画ナタリー Power Push - 「バクマン。」
大根仁×佐藤健×神木隆之介 3人で作り上げた、最高と秋人の最強コンビ
描くことでしかマンガ家の姿勢は作れない(大根)
──大根さんは撮影前、いろいろなマンガ家の仕事場を取材したとおっしゃっていましたが、佐藤さんと神木さんも一緒に行かれたんですか?
佐藤 小畑(健)さんのところに連れて行ってもらいました。ちょっとした音も立てられないぐらいのすごい緊張感で。恐る恐る歩く、みたいな。
神木 心の中で、俺は叫んでました(笑)。「うわー! この人の手から生み出されていくんだー!」って。
大根 なんとなく知識としてはわかってるだろうけど、本当に地道な作業というか、1本1本の線からしか生まれないってことを見てもらいたかった。前にマンガ家の知り合いから「やっていることは地味だけど頭の中はすごいことになっている」って聞いたことがあって、そういう戦いを表現したかったんで。
神木 そうですね。1コマ1コマ、ちっちゃいコマでも手間と労力と時間がかかるっていうのは身に沁みてわかりました。
──佐藤さんは、実際にペンを使って描く練習もされたんですよね?
佐藤 撮影の2カ月前ぐらいから、Gペンの使い方を練習しました。ただ線を引くだけでも本当に難しいんですよ。アクションの訓練とかとも全然違って、練習も地味で……。
──もともと絵には自信があったんですか?
佐藤 全然、ない。
大根 はははは(笑)。
佐藤 昔、マンガを描いてみたりしたこともなくて。苦手分野です、すごく。まったくできないから本当に心配でした。
大根 でもさ、撮影現場の落書きボードに俺の似顔絵を描いてたよね。あれ、うまかったじゃん。
佐藤 練習したんですよ、かなり。だから最後は多少上達して、大根さんは描けるようになった(笑)。あれ、超似てましたよね。
大根 似てた。うまいなーって。まあ実際、プロレベルにうまく描けるようになるわけがないのはもちろんわかってたけど、でも描くことでしかマンガ家の姿勢は作れないっていうか。型だけは嘘つかないようにしようと思って、特訓してもらったんです。
「DEATH NOTE」について家族で話したこともあります(神木)
──映画の序盤から「週刊少年ジャンプとはなんたるか?」をバーンと打ち出すような演出が印象的でした。
大根 原作を読んだときに「メタとオマージュの螺旋構造」っていうことをよく言っていたんですけど、「バクマン。」は下手したら作品自体が「まんが道」へのオマージュだし、これまでのジャンプ作品へのオマージュもやっている。やっぱりジャンプを読みながらジャンプの中の内容を知るってことが、原作の一番の魅力だったと思うんです。それに、全員が原作を読んで観に来るわけじゃないので、きちんと説明しなきゃなと思って。
──世代を超えて愛されている王道誌のすごさを改めて感じました。皆さんにとっては、ジャンプマンガとはどういう存在でしたか?
大根 俺は80年代の「Dr.スランプ」や「ストップ!! ひばりくん!」とか、あの辺が黄金期ですね。
神木 僕は小学3年生のとき、ユースケ・サンタマリアさんから「ONE PIECE」の1巻から23巻までをもらい……。
大根 うざい大人だな(笑)。
神木 マンガはそこから夢中で読むようになりました。特に「DEATH NOTE」は僕の人格形成に一番影響を与えた作品です。基礎でした!
──神木さん、ちょっと目つきが変わってきてません?(笑) ちなみにどのキャラに感情移入しましたか?
神木 僕、月(ライト)です。完全に月派なんですけど。それについて家族で話したこともあります。
一同 (笑)
神木 相手の心をいい意味でも悪い意味でも考えて読んで行動するってことを学びました。そういうコミュニケーションもあるんだ、この世は心理戦なんだなって。
そろそろジャンプと業務提携したいですね(佐藤)
──佐藤さんは、少年ジャンプといえば?
佐藤 僕は「世紀末リーダー伝たけし!」、からの「ONE PIECE」。あと「HUNTER×HUNTER」。この3つは単行本も買って読んでましたね。
大根 でも健はさ、読者っていうより仕事でジャンプキャラをたくさん演じてるよね。こんな役者いないんじゃない?
佐藤 そろそろジャンプと業務提携したいですね(笑)。
大根 そうだよね。一方で、神木はこんなに「DEATH NOTE」が好きなのに、映画も舞台もドラマも出てない(笑)。
佐藤 おかしいな(笑)。
神木 いや、でも僕は大丈夫です(平然と)。
大根 何? ハリウッド版でもやるつもり?
神木 僕は、Lと月のあとの世界をがんばってやるんで。
大根・佐藤 はははは(笑)。
神木 次はLINEとかTwitterとか、ネット絡みで攻撃する設定になります(笑)。
佐藤 もはやそれ「DEATH NOTE」じゃないじゃん! ノートないじゃん!
神木 いや、ノートはある! ノートはあるけど、設定をちょっと変えて。バレるとかバレないとか、そういう心理戦を描く物語になります。
大根 どこの同人誌だよ(笑)。
──「バクマン。」に続いて、神木さんにオファーが来ることを祈ってます。
神木 がんばります(笑)。
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Contents Index
About the Movie
「バクマン。」2015年10月3日より全国東宝系にて公開
スタッフ
監督・脚本:大根仁
原作:大場つぐみ、小畑健
主題歌:サカナクション「新宝島」
キャスト
真城最高:佐藤健
高木秋人:神木隆之介
新妻エイジ:染谷将太
亜豆美保:小松菜奈
福田真太:桐谷健太
平丸一也:新井浩文
中井巧朗:皆川猿時
服部哲:山田孝之
川口たろう:宮藤官九郎
佐々木編集長:リリー・フランキー
Profile
大根仁(オオネヒトシ)
1968年12月28日、東京都生まれ。「劇団演技者。」「アキハバラ@DEEP」「湯けむりスナイパー」などの深夜ドラマを数多く手がける。2011年には自身が演出を務めたドラマ「モテキ」の劇場版で映画監督デビューを果たし、第35回日本アカデミー賞で話題賞(作品部門)に輝く。近作は「恋の渦」、ドラマ「まほろ駅前番外地」「リバースエッジ大川端探偵社」ほか。電気グルーヴの活動を追ったドキュメンタリー映画「DENKI GROOVE THE MOVIE? ~石野卓球とピエール瀧~」が12月26日より公開。
佐藤健(サトウタケル)
1989年3月21日、埼玉県生まれ。2007年、特撮ドラマ「仮面ライダー電王」で初主演を飾り、その後「Q10」「ビター・ブラッド」などのテレビドラマや、「リアル~完全なる首長竜の日~」「カノジョは嘘を愛しすぎてる」などの映画に出演。緋村剣心を演じた「るろうに剣心」シリーズの3作目「るろうに剣心 伝説の最期編」で第9回アジア・フィルム・アワード主演男優賞にノミネートを果たす。2015年春に放送されたドラマ「天皇の料理番」でも主演を務めた。2016年には「世界から猫が消えたなら」の公開が控える。
神木隆之介(カミキリュウノスケ)
1993年5月19日、埼玉県生まれ。幼少期より俳優活動をスタートし、2005年に主演作「妖怪大戦争」で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。「11人もいる!」「家族ゲーム」などテレビドラマで活躍する一方、「劇場版 SPEC~天~」「桐島、部活やめるってよ」「るろうに剣心 京都大火編 / 伝説の最期編」「脳内ポイズンベリー」などに出演。待機作は2016年2月6日公開「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」、2016年公開「太陽」ほか。書籍「神木隆之介のMaster's Café 達人たちの夢の叶えかた」が9月25日発売。
2015年10月9日更新