物語の軸に据えられたのは、清掃の仕事に就き、周囲のサポートを受けながら自立した生活を送っている兄の大貴(だいき)と、カウンセラーとして働きながら兄を支える妹の希(のぞみ)。幼い頃に母を亡くした2人は、ネグレクト気味の父親から距離を置いて懸命に生きてきた。その生活は変わることなく続くと思っていたが、希の結婚話をきっかけとして、お互いのこれからに向き合うことに。それは、2人の“これまで”に向き合うことでもあった。
安田が演じたのは、几帳面でこだわりが強く、机に並ぶ食器も丁寧にそろえる大貴。週に一度の希との食事の時間は決まって19時で、1分でも過ぎると落ち着かなくなる。のんは恋人からプロポーズを受ける希に扮した。彼女は一抹の不安を抱えながら、兄とともに婚約者の両親に会いに東京へ向かう。加えて
本作の企画は、山野の脚本に感銘を受けた安田が旧知のプロデューサー・佐藤現に話を持ち込んだことから始動。ASDの専門家に監修を仰ぎつつ、約2年をかけて映画化が実現した。安田はASDの役を演じるにあたり、レクチャーを受けたほか、ASDなどの特性を持つ人が通う教育機関を訪問。生徒と交流を持つなど理解を深め、真摯に役作りに向き合った。一方でのんも、実際に障害のある家族を持つカウンセラーから話を聞くなど、準備に取り組んだという。
安田は「今日、日が明けてまた今日また日が明けてまたしても今日。僕たちは毎日微々たる成長しかないかもしれないけれど 誰かが誰かにおもいやりを持って生きてくれるだけで どれだけ心強くあったかくて、泣けてくるか。忘れないでください。『味方だよ。』“平行と垂直”から少しでも伝播することの願いを込めて」とコメント。のんは「大貴と希の一生懸命に生きる姿が思い浮かんで、胸が締め付けられました」と脚本を読んだ感想をつづり、安田との共演を「感謝の気持ちでいっぱいです。大貴が素晴らしくて、毎日感動していました。安田さんのおかげで、希としてカメラの前に立てた気がします」と振り返った。小林のメッセージは後掲の通り。
安田章大 コメント
この映画、“平行と垂直”は
自閉症の大貴と定型発達の希、
そんな兄妹の微々たる成長物語であり
その2人と関わる人々が心に棲まわせる寛大、辛辣、
はたまた無関心というあらゆる本音たちと共に生きていく物語です。
人は必死に生きていこうとすればする程
沢山の否定と肯定、そして無視に出逢います。
僕は日々生きていてこう思うことが多々あります。
ただ病名が付いていて診断されただけで、
定型発達の方の中には変わった表現者もいて、
自閉症の方の中にも何ら変わりない表現者もいる。
どんな人も伝えたいことをしっかり思考を巡らせ持っていて
何より気持ちが動いている。
ただ、表現することや伝達することが不得手なだけ。
少し時間がかかってしまったりするだけ。
街中では誰かがこんなことを口にします。
“普通は~...”
いったい誰が定めた普通なのでしょうか。
僕が感じるにこうです。
“誰かが言う普通は、とある誰かにとっては異常”
“誰かが言う異常は、とある誰かにとっては普通”
意見を持つことも時に大事、
しかし、
それ以上に大事にする必要があることは
“自分の中にはまだ存在してくれてなかった言動に対する受動力”
です。
すると、新たな存在の種が芽生えます。
そして繋がり合えた同志は確実に世界が和みます。
その1つ1つが大きな気付きを世界に産み落とします。
僕たちって急な成長を望みたがるし、望まれます。
誰だってアゴあげ息切らして必死に息吸って吐いて懸命に生きてます。
だけど生きる速度は“人、それぞれ”。
生まれ落ち方が少しずつ違っただけで。
なのに、偏見という名の“安心材料になる普通”で判断しがちに感じています。
今日、日が明けてまた今日
また日が明けてまたしても今日。
僕たちは毎日微々たる成長しかないかもしれないけれど
誰かが誰かにおもいやりを持って生きてくれるだけで
どれだけ心強くあったかくて、泣けてくるか。
忘れないでください。
「味方だよ。」
“平行と垂直”から少しでも伝播することの願いを込めて
安田章大
のん コメント
脚本を読んだ時、大貴と希の一生懸命に生きる姿が思い浮かんで、胸が締め付けられました。
参加できて、本当に嬉しく思います。
社会に溶け込んで生きていく上で何を頼りに自分を支えるのか。希は、何を支えにしているのか。
安田さんには感謝の気持ちでいっぱいです。大貴が素晴らしくて、毎日感動していました。安田さんのおかげで、希としてカメラの前に立てた気がします。
たくさんの方にこの物語が届きますように。
小林聖太郎 コメント
山野海さんによるオリジナルシナリオ
「平行と垂直」と出会ったのは2年前のことでした。
企画を立ち上げた安田章大さんと原案・脚本の山野海さん、
プロデューサーの佐藤現さんとの4人で初顔合わせの日、
いつの間にか其々の生い立ちや心の内を吐き出しあったあの時間が、
その後のホン作りの核になったと思います。
人生にめったに訪れない不思議で豊かな時間でした。
世界はますます余裕をなくし相互扶助から遠ざかっていくばかりですが、
人の善性を「偽善」だと大声で糾弾する「ホンネ」の荒波に呑まれるがままに
「(経済的に)役立つものにしか存在意義はない」と嘯(うそぶ)くのはもう沢山です。
様々な困難を抱えた人と人とが、
葛藤を抱えたり小競り合いを繰り返しながらも共に歩むことができるよう、
この作品がその一助となればこの上ない幸せです。
「行く先を 海とさだめし しづくかな(成石平四郎)」
安田章大の映画作品
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