「夏の終わりのクラシック」監督ユン・ソクホ、ドラマと映画における作業の違い語る

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韓国映画「夏の終わりのクラシック」で監督を務めたユン・ソクホのインタビューと、新場面写真が到着した。

「夏の終わりのクラシック」新場面写真

「夏の終わりのクラシック」新場面写真

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夏が終わりに近付く頃、毎年済州島へやって来るヨンヒが、母の遺品を片付けるため島に来ていたジュヌと出会うことから展開する本作。ジュヌの家で膨大なクラシックアルバムのコレクションを目にしたヨンヒは「どうしてもクラシック音楽を教えてほしい」と懇願し、庭の片付けと引き換えにクラシックを教えてもらうことに。そして2人は次第に思いを寄せ合っていくようになる。ヨンヒを「EXIT」「シングル・イン・ソウル」のキム・ジヨン、ジュヌをドラマ「天使の誘惑」「優雅な友達」のペ・スビンが演じた。原作は伊吹有喜の小説「風待ちのひと」。

「夏の終わりのクラシック」新場面写真

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ユン・ソクホはドラマ「冬のソナタ」でよく知られているが、韓国映画の長編を手がけるのは今回が初めて。「今回映画の作業をしてみて、ドラマの作業よりもよかったなと思っています。自分が撮りたいものを積極的に表現できると思ったからです。ドラマとなりますとシリーズものが多くて予算も大きかったり、あとは放送の回数も多いものなので、どうしても妥協しなければいけない点も多々ある」とし、低予算映画の場合は企画段階から自身の好みを反映させられる利点があったと語る。

「夏の終わりのクラシック」の監督を務めたユン・ソクホ

「夏の終わりのクラシック」の監督を務めたユン・ソクホ [拡大]

ヨンヒとジュヌの気持ちが通じ合うシーンは原作の描写と少し変えたそうで「あのシーンというのはあからさまに表現しているわけではないんですが、2人の愛の気持ちを表現した非常に印象的なシーンになりましたので気に入っています」とコメント。また「人生の暑い夏が過ぎて、季節が変わって中年になり、人生に疲れている人たち、そして心に傷を抱えている人たちがいらっしゃったとしたら、肩の力を抜いて気楽な気持ちでこの作品を観て、ヒーリング、癒やしになってくれたらいいなと思っています」と述べた。インタビューコメント詳細は下部に掲載した。

「夏の終わりのクラシック」新場面写真

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「夏の終わりのクラシック」新場面写真

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「夏の終わりのクラシック」は、明日10月3日より東京のシネ・リーブル池袋ほか全国で順次公開される。YouTubeではユン・ソクホのメッセージ付き予告が公開中。

韓国映画「夏の終わりのクラシック」ユン・ソクホ監督メッセージ付き予告

ユン・ソクホ コメント

韓国映画の長編作品は本作が初。このタイミングで撮ろうと思った理由は?

この作品を作ることになった経緯のまず非常に大きな理由は、時期的なものですね。つまりコロナ禍の時期に、私としては個人的にも、両親の体調が悪かったり、自分が病気になってしまったこともありますし、人々がお互いにコロナ禍で会うことができないような状況でしたので、非常にもどかしさがありました。そんな時期に、原作となった小説を思い出しました。この小説はかなり前に映画化するのによさそうだと紹介された小説だったのですが、今人々は気持ち的に疲れている状況なので、癒やしになるような映画を作りたいと思うようになりました。もともとそういったタイプの映画が好きだということもありましたので、映画の中には音楽が登場し、そして人々の心温まる交流があるような、そんな作品を作りたいという思いがいくつも重なって、総合的にそれが原動力になりました。ですから、こういった作品を映画にして作ろうと、そのときに決心して準備を始めて、3年掛かりで完成させました。

ドラマ撮影とは違った点は?

私は今回映画の作業をしてみて、ドラマの作業よりもよかったなと思っています。自分が撮りたいものを積極的に表現できると思ったからです。ドラマとなりますとシリーズものが多くて予算も大きかったり、あとは放送の回数も多いものなので、どうしても妥協しなければいけない点も多々あります。映画のほうは企画の段階から私が撮りたいと思う、私の好みを反映させて、そしてまた作家主義的な作品も撮れるという利点があると思います。もちろんこれは商業映画ではなくて、低予算の映画にのみ可能なことだと思うのですが、そういう点がドラマよりも長所だなと思いました。でもドラマにも長所はありますよね。テレビで放映されるものですので、観ている方たちのリアクションをとても強く感じることができます。多くの方のリアクションを肌で感じることができるので、それも長所だなと思います。映画のほうはやはり映画館に足を運んで観ていただくものなので、リアクションもやはり映画とドラマでは違うものがあると感じます。

クラシック音楽が物語を牽引していく本作。自身にとってクラシック音楽とは?

音楽というものは人間にとって非常に大きな存在であって、いつもそばに寄り添ってくれる友達のようなものだと思っています。私たちは常に音楽を通して感動を味わっていますよね。そして音楽を聴くという行為は、自分の体を移動させてどこか遠くに行かなくても、身近に聴けるものですよね。そんなふうにして音楽は日常の幸せの機能の1つだと思っています。音楽が存在してくれていて幸せだな、よかったなとちょうど思っていた矢先だったのですが、この原作小説を改めて読んで、映画の中でも音楽をたくさん表現したいと思いました。観客の方にとっては大きな画面でスピーカーを通してその音楽に浸ってほしい、そして映画の中に流れる音楽を鑑賞してほしいという気持ちで作りました。音楽というものが長所になる映画を作りたいという気持ちもあったんですね。ですので、なおさらこの映画においてはクラシック音楽というものは非常に大切なものでした。

特に気に入っているシーンは?

撮影前に、映画に出てくる家を全部作り直したんですが、全面窓ガラスも取り替えることにしました。そしてカーテンにもこだわりました。大きな窓でカーテンが少しずつ開いていくということは、男性主人公が心をそんなふうに少しずつ開いているということに例えられると思ったからです。そしてその窓辺に佇む彼の後ろ姿をカーテンと窓と一緒に見せたいと思って、家も全部手入れをし直して作り変えることになりました。ペ・スビンさん演じるジュヌがキム・ジヨンさん演じるヨンヒを訪ねて、ヨンヒのことを慰めているときにお互い抱き合うんですけれども、あそこで少し2人の間にラブの感情が見えたというふうに思います。でも撮るときにはお互い見つめ合うというところで留めました。あのシーンは実はかなり長い時間撮ったんですけれど、編集の段階ではあのぐらいにしておきました。確か原作の小説にはお互い愛し合っている2人がキスをするというシーンもあったと思うのですが、私としてはこれくらい見せれば十分だし、観客の皆さんには2人の気持ちは感じてもらえると思っていました。あのシーンというのはあからさまに表現しているわけではないんですが、2人の愛の気持ちを表現した非常に印象的なシーンになりましたので気に入っています。

本作を特にどんな観客に届けたいか

この映画の中には中年の主人公が登場するのですが、映画の中でも触れられているように人生の暑い夏が過ぎて、季節が変わって中年になり、人生に疲れている人たち、そして心に傷を抱えている人たちがいらっしゃったとしたら、肩の力を抜いて気楽な気持ちでこの作品を観て、ヒーリング、癒やしになってくれたらいいなと思っています。また劇中にも出てきますが、今、会いたくても会えない恋しい人というのは誰にでもいると思うんですね。例えば、亡くなってしまった両親だったり、もう今は会えない知人などもいると思います。そんなふうに心の中に虚しさを感じている人たちにとっても、これが癒やしになればと思います。韓国でもそういう方たちが観てくださって、たくさんのリアクションを見せてくれました。そんなふうにして皆さんにとって癒やしになったらうれしいと思っています。

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