松竹・東映・フラッグが資本業務提携、顧客データを活用し映画館への来場促進目指す

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映画の製作・配給・興行を行う松竹と東映、映画のほかあらゆる分野のデジタルマーケティングを手がけるフラッグの3社が、共同で「シネマDXプロジェクト(CDX)」に取り組むことを発表。3社が資本業務提携を締結したこともわかった。

左から松竹、東映、フラッグのロゴ。

左から松竹、東映、フラッグのロゴ。

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映画マーケティングのDXを目的とする本プロジェクト。立ち上げの背景には、映画市場がコロナ禍前の水準まで回復したものの、大作映画とそれ以外の作品に大きな差がつく傾向が強まった現状がある。作品の多様性を維持するため、宣伝を担当する会社と映画館の間での情報連携の仕組みを確立し、顧客データの活用と分析を行うことで効果的な観客獲得を目指していく。

具体的な施策として、松竹・東映の両グループが運営する計45劇場をはじめ、同プロジェクトに賛同するシネコン各社の顧客データ、公式サイトやSNSなどを通して得た作品のマーケティングデータを活用した新たなデジタル広告プラットフォームが開発される。顧客データの解析および運用はフラッグが担当し、今後は3社以外の映画会社にも提供される予定だ。2027年には3億円以上の取扱高を見込んでいるという。

また映画宣伝手法自体を分析することで、映画業界におけるカスタマージャーニー(観客が作品を認知し、実際に映画を観るまでの流れ)を構築するほか、映画宣伝に従事する人材のデジタルリテラシー向上も図る。さらに、映画館のWebサイト訪問者の鑑賞動向を把握し、鑑賞意向のある作品の上映スケジュール通知などパーソナライズされた顧客サービスによって、映画館への来場促進を狙う。

なお同プロジェクトのさらなる効果を見据え、松竹・東映の両社はフラッグの株式7%ずつを保有する第三者割当増資を引き受けた。各社の代表取締役によるコメントは下記の通り。

高𣘺敏弘(松竹 / 代表取締役社長)コメント

当社は1895(明治28)年の創業以来、日本が世界に誇る伝統芸術である歌舞伎の継承と発展に努め、映画事業についても、その草創期から関わって参りました。また、日本初のトーキー映画やカラー映画の製作を手がけるなど、時代をいち早く察知し、常に新しいことに挑戦し続けて参りました。この「シネマDXプロジェクト」が、新しい時代を切り開き、エンタテインメント業界のさらなる発展に寄与できることを願っております。

※高𣘺敏弘の高は、はしごだかが正式表記

吉村文雄(東映 / 代表取締役社長)コメント

社会が変化し、映画に加え放送、パッケージ、配信などの新しいメディアが登場するたびに、当社はいち早く新しい取り組みを始めて参りました。その中でも、昨今のデジタル技術の進歩のスピードに対応することは、東映のあらゆるビジネスにおいて不可欠かつ、事業拡大の活路となるほど重要なことと考えております。この度、現代の映画業界における新しい宣伝手法「シネマDXプロジェクト」に挑戦いたしますが、映画会社として長い歴史と経験を持つ松竹、また映画のみならず広い分野でデジタルマーケティングの最先端を走るフラッグとパートナーシップを組むことで、全社的な人材のデジタルリテラシー向上を目指すとともに、映画をはじめとする日本のエンターテインメントビジネスが一層盛んになることを期待します。

久保浩章(フラッグ / 代表取締役)コメント

フラッグはエンターテインメント領域を中心に様々な業種・業界のデジタルマーケティングを手がけております。その中でも映画は我々にとって、事業の原点であり最も注力すべき分野です。
しかしこれまではエージェンシーとしての立場から保有・分析できる情報に制限があったり、顧客との最も重要なタッチポイントである映画館のデータの活用が難しいなどの課題を抱えていました。
映画の興行と配給を手がける松竹と東映というビッグプレイヤーとの協業により、これまでの課題を解決し、フラッグの持つノウハウによってイノベーションを創出することが可能になりました。
「シネマDXプロジェクト」により映画マーケティングのDXを強力に推進し、業界全体の成長に貢献してまいります。

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유키 @sahuyuki

松竹 東宝 FLUG  資本業務提携

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