ベルリン金熊賞は仏のデイケア捉えたドキュメンタリー、名誉賞にスピルバーグ

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第73回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門にて、「音のない世界で」「ぼくの好きな先生」で知られるニコラ・フィリベールの5年ぶりの新作「On the Adamant(英題)」が金熊賞を獲得した。

「On the Adamant(英題)」場面写真

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俳優のクリステン・スチュワートが審査委員長を務めた今年のコンペティション。日本からは新海誠の劇場アニメ「すずめの戸締まり」が正式出品されたが、受賞には至らなかった。なお斬新な視点を提示する新進監督を紹介するフォーラム部門には、太田達成の「石がある」、清原惟の「すべての夜を思いだす」が出品されていた。

「On the Adamant(英題)」で第73回ベルリン国際映画祭の金熊賞を獲得したニコラ・フィリベール。(写真提供:Annette Riedl / dpa / picture-alliance / Newscom / ゼータ イメージ)

「On the Adamant(英題)」で第73回ベルリン国際映画祭の金熊賞を獲得したニコラ・フィリベール。(写真提供:Annette Riedl / dpa / picture-alliance / Newscom / ゼータ イメージ)[拡大]

日仏共同製作の「On the Adamant」は、精神に障害を持つ人々を受け入れるパリのデイケアセンターのドキュメンタリー。患者の自主性を重んじ、絵画や音楽、詩などで自らを表現することで癒やしを見出していく人々、そして彼らに寄り添って働く看護師・職員らのまなざしが記録されている。スチュワートは、同作がアートを構成するものに対する審査員の理解を広げたと称賛した。「On the Adamant」は、「ぼくの好きな先生」以降フィリベールと21年にわたって交流している配給会社ロングライドが共同製作として参加。このたび2024年春に東京・ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国で公開されることが発表された。

次点となる銀熊賞の審査員グランプリは「東ベルリンから来た女」「水を抱く女」のクリスティアン・ペッツォルトによる「Afire(英題)」。監督賞は「The Plough(英題)」のフィリップ・ガレル、主演俳優賞は「20,000 Species of Bees(英題)」に出演した子役ソフィア・オテロに授与された。

第73回ベルリン国際映画祭で名誉金熊賞を受賞したスティーヴン・スピルバーグ。(写真提供:Jens Kalaene / dpa / picture-alliance / Newscom / ゼータ イメージ)

第73回ベルリン国際映画祭で名誉金熊賞を受賞したスティーヴン・スピルバーグ。(写真提供:Jens Kalaene / dpa / picture-alliance / Newscom / ゼータ イメージ)[拡大]

「フェイブルマンズ」場面写真 (c) 2022 Universal Pictures. ALL RIGHTS RESERVED.

「フェイブルマンズ」場面写真 (c) 2022 Universal Pictures. ALL RIGHTS RESERVED.[拡大]

またキャリアの集大成とも言うべき自伝的映画「フェイブルマンズ」の公開を3月3日に控えるスティーヴン・スピルバーグが名誉金熊賞を受賞。スピーチではドイツの観客とのユニークな関係を振り返りながら、すぐに引退する予定がないことを明らかにした。Varietyなどの報道によると「この栄誉は、私がユダヤ人監督であることから、特別な意味をもっています。これは、ユダヤ人が『ティックーン・オーラム』(世界の修復・復元)と呼ぶ、歴史の傷付いた場所を癒やす、より大きな、継続的な努力の中の小さな瞬間だと信じたいのです」とコメントしている。

そのほかの受賞結果は下記の通り。

第73回ベルリン国際映画祭 主要部門受賞結果

金熊賞

「On the Adamant」(監督:ニコラ・フィリベール)

銀熊賞 審査員グランプリ

「Afire」(監督:クリスティアン・ペッツォルト)

銀熊賞 審査員賞

「Bad Living(英題)」(監督:ジョアン・カニージョ)

銀熊賞 監督賞

フィリップ・ガレル「The Plough」

銀熊賞 主演俳優賞

ソフィア・オテロ「20,000 Species of Bees」

銀熊賞 助演俳優賞

テア・エラ「Till the End of the Night(英題)」

銀熊賞 脚本賞

アンゲラ・シャーネレク「Music(英題)」

銀熊賞 芸術貢献賞

エレーヌ・ルヴァール(撮影)「Disco Boy(原題)」

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(情報提供:IndieWire / VM / ゼータ イメージ)

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