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本作は、主人公の田所サキが崩壊していく家庭の中で、がむしゃらに未来を見つけていくさまを描く物語。松本穂香がサキ、渋川清彦がアルコールに溺れる父トシフミを演じた。映画化するにあたり、菊池は「きれいな家族愛の話にはしないでください」と片桐らにリクエストしたという。片桐は、菊池のコメントを受けて「菊池先生がお父さんに言ってほしかった言葉を物語の結論とすることと、『家族なんだからいいよね』という話にしないということを考えました」と話す。
松本と渋川を親子役でキャスティングした経緯を問われると、片桐はまず渋川について「家族の物語を自分なりに父親の目線でも描ければいいなと思っていた」と前置きしたうえで、「やっていることは許されることではないのですが、なんとなくユーモラスに見えるほうがいいなと思っていました。そこで笑顔がチャーミングで、お付き合いも長い渋川さんにお願いしました」と語る。松本に関しては「昔、ほかの監督のオーディションでお会いしたときから印象に残っていました」と振り返り、配役の決め手としては「困っている顔があまりにも悲惨にならないということが重要だと思いましたし、お芝居の点でも松本さんがいいのではとプロデューサーに話しました」と述べた。
本作を初めて観たときのことを振り返り、菊池は「(主人公は)マンガでは私の名前ですけど、映画ではサキちゃんという別の女の子。冷静に観られるかなと思っていたんですが、無理でした。ちょっと早い走馬灯を見た気分で、号泣しました」と述懐。その後のエピソードとして、菊池は「ありがとうございますとお伝えしようとしたんですけど、監督が逃げちゃったんですよ!」と片桐が試写後に走り去ろうとしていたことを暴露する。片桐は恥ずかしそうに「原作の先生に観てもらうのは、やっぱり緊張しちゃうんですよ。そもそも人付き合いもうまいほうじゃないですし、菊池先生が泣いていたので『(作品の出来は)いいのか? ダメなのか?』と自分の中でごちゃごちゃしてしまいましたし……」と理由を話す。菊池は笑いながら「それにしても逃げなくてもいいじゃないですか。みんなに取り押さえられてましたよね」と述べ、観客を笑わせた。
最後に片桐は「家族というのは親密になればなるほど、やらなければならないことをどんどんやらなくなっていくものだと思うんです。必ずどこの家庭もどこからか水が漏れているんだ、ということを考えるきっかけになればと思ってこの作品を作りました。鑑賞後にちょっと家族のことを考えてみようかなと思っていだたければ」と本作に込めた思いを述べる。菊池は「原作者なので映画にあんまり茶々を入れるのはよくないと思いつつ、実はすごく口を出してしまいました。私のわがままを全部聞いてくれてありがとうございます!」と片桐やスタッフに感謝した。
「酔うと化け物になる父がつらい」は、3月6日より東京・新宿武蔵野館ほか全国ロードショー。
映画ナタリー @eiga_natalie
「酔う化け」片桐健滋が原作者から逃亡?試写後の秘話明かされ「緊張しちゃう」
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