フランス映画祭「社会の片隅で」監督、元ホームレス女性の壮絶な過去に衝撃受ける

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フランス映画祭2019 横浜にて、「社会の片隅で」が本日6月22日に神奈川・イオンシネマみなとみらいで上映され、監督のルイ=ジュリアン・プティが登壇した。

ルイ=ジュリアン・プティ

ルイ=ジュリアン・プティ

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ルイ=ジュリアン・プティ(中央)

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現代のフランスを舞台とした本作は、閉鎖が決まったホームレスシェルターで生きる女性ホームレスと、ソーシャルワーカーたちの姿を描くもの。上映後にプティは、劇中のキーアイテムであるスマイルマークのTシャツを着てステージに上がり「アジアに来るのは今回が初めて。今、最後のシーンは一緒に観させてもらいました。この作品が世界を旅して、さまざまな国の人に感動を与えられることをうれしく思います」と挨拶した。

ある女性ホームレスに関するドキュメンタリーをきっかけに本作を手がけたプティは「ホームレスとして生き続けることと、そんな中で女性として自分の身を守らねばならないこと、これには二重の苦しみがあると思う」と意見を述べる。また日本で使われている“ホームレス”という外来語について「日本語には、ホームレスを表す固有の言葉がないと知りました。日本にもホームレス問題はあるのに、それを指す言葉がないのは、まるでその問題を存在していないかのように捉えているからではないか」と問題提起した。

ルイ=ジュリアン・プティ

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本作にはソーシャルワーカー役でオドレイ・ラミーらが出演しているが、女性ホームレスたちの役は実際に同じような経験をしたアマチュア女性が務めている。シャンタル役の女性との思い出を、プティは「彼女は自分の経験について『夫に暴力をふるわれていたので、殺しました。だから11カ月刑務所にいました』と話してくれたんです。僕はそういった女性が実在することにショックを受けました。そしてその体験を、この映画の中で実際に演じてもらいました」と回想。さらにプティは、本作の撮影は1シーンにつき1テイクのみ、NGなしで進められたことも明かした。

劇中では女性たちが、自分の抱える悩みや問題を声にしてさらけ出すというセラピーを行っている。その撮影をプティは「女性たちに『本当に吐き出したいことを、なんでもいいから言ってみて』とお願いしました。皆さん心の底から思いを吐き出してくれて、なぜ自分がホームレスになったかを話した人もいたので、現場ではみんなが泣き崩れました。女性たちやスタッフの間に信頼関係ができあがっていたので、このシーンもスムーズに撮影できたのだと思います」と振り返る。そして本作がフランスでヒットしたことに触れ「成功の秘訣のような“レシピ”が存在するなら僕も次回作に生かしたいですが、そんなものはない。今回、ユーモア、愛、人間性の3つを大切にしました」と自身のモットーを語った。

フランス映画祭2019 横浜は明日6月23日まで開催される。

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