松岡禎丞さん、日本に生まれて、声優になってくれてありがとう
──「ハイスコアガール」以外の近作だと、「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」や「食戟のソーマ」もシリーズを重ねて根強い人気があります。
松澤 どちらも私や吉田さんがお会いする機会の多い松岡禎丞さんが主演ですね。
吉田 確かに。
松澤 松岡さんは以前、「アニメとかキャラクターという言葉を使ってまとめられがちだけど、作品内には作品側の現実があって、自分はその人物として生きて表現するようにしている」というような、すみません、そのままではないかもしれませんが、そんなお話をされていて。「ダンまち」も「ソーマ」もそうですが、そういう心意気によって成り立っている部分がありますよね。例えば「ソーマ」だとあくまで料理を通じての対決だけど、作中世界のリアリティを追及する松岡さんの情熱によって、命がけでやっているのが伝わってきますよね。
吉田 松岡くんって、ほかにも「ソードアート・オンライン」や「冴えない彼女の育てかた」みたいに女性キャラクターが多く登場する、いわゆるハーレムものの真ん中にいることが多いんですが、松岡くんが演じる登場人物には、変な下心が本当にない。
──「ダンまち」「ソーマ」もかわいい女の子がたくさん出てくるアニメですが、松岡さんの熱演もあって冒険や料理対決というメインの要素をしっかり楽しめるようになっていますよね。
松澤 本当に松岡さんが日本に生まれて、声優になってくれてありがとうという感じです。
──ここまで触れた以外に観てほしいワーナー作品はありますか?
吉田 選出時にアニメプロダクションの公式サイトでラインナップを確認したんですけど、けっこう振れ幅が大きいですね。「ひそまそ」や「SHIROBAKO」みたいなすごく地に足の着いた作品がある一方で、「競女!!!!!!!!」というすごい作品もあって。
松澤 「競女!!!!!!!!」。ああいうぶっ飛んだ作品が1クールに1本あると、ホッとするというか日本が平和だと安心するというか(笑)。
吉田 「競女!!!!!!!!」は完全に面白さが勝っていて、逆にエロを感じにくかったですが、その分、むちゃくちゃ面白がらせてもらいました。友達と観ると最高でしょう。
松澤 確かにオンライン飲み会しながらみんなで観るのに最適な作品かもしれません。ほかにも私は「WIXOSS」シリーズが好きでした。特に「selector」シリーズ。
──小湊るう子や“アキラッキー”こと蒼井晶などが出る最初のシリーズですね。
松澤 “アキラッキー”というキャラクターに象徴されるようなキャッチーな部分もありつつ、生々しいシリアスさもあって。ぬるい体温が伝わってくるところが好きでした。「WIXOSS」のカードゲームのシステムをまだよく理解できていないのが申し訳ないですが、女の子同士のいざこざをたっぷり楽しめました。
ワーナーアニメ作品は色遣いが特徴なのかも
──「WIXOSS」シリーズは、アニメが放送されるたびにカードゲーム版の公式サイトでルールや展開の解説(参照:WIXOSSコラム 第05回アニメ第1話の紐解き – WIXOSS-ウィクロス-|タカラトミー)が掲載されていたんですよ。
松澤 見てみます。
──ほかにも「ハイスコアガール」も公式サイトで登場するゲームの解説(参照:各話数登場ゲーム紹介 -TVアニメ『ハイスコアガール』公式サイト-)をしていて。そういった親切さがいいなと放送当時思っていました。
吉田 ワーナーさんのアニメプロダクション作品の特徴としてそういった親切さ、丁寧さはあるかもしれません。勢いで作っているメーカーも別のよさがあるけど、ワーナーさんは丁寧な印象があります。
松澤 アニメプロダクションで働かれている方も真人間が多い、というか。
吉田 真人間(笑)。確かにイベントの司会とかでアニメプロダクションのスタッフの皆さんと仕事をすると、社会人って感じがしますね。
松澤 そうそう。皆さん、きちんと、はっちゃけている。地に足を着けて爆発されてるイメージがあります。
吉田 ここまでいろんなアニメを振り返っていて、「もしかしたらこれもワーナーのアニメプロダクション作品の特徴かな」と思いついたのが、色彩センスのすごさ。色の組み合わせでイメージできることってあるじゃないですか。黒とオレンジの組み合わせで読売巨人軍、みたいな。同様にネオンっぽい色遣いだと「モブサイコ100」、航空自衛隊っぽいカラーだと「ひそまそ」みたいにイメージできる。「テラフォーマーズ」や「監獄学園」もそう。
松澤 「赤髪の白雪姫」も色彩がよかったですし、「放課後のプレアデス」だと夜空がすごくきれいだったり。
吉田 作品ごとに色彩のパレットをちゃんと作っていて、デザインコンセプトがブレない印象があります。誰がそういう判断を下しているかはわかりませんけど。
──アニメプロダクションさんのカラーなんでしょうか。
松澤 どちらかというと、色遣いなどはアニメスタジオによるものという気がしますよね。でも、そうした作品を作るのに長けているスタジオさんとの巡り合わせがいいのかもしれません。叶姉妹のおふたりも「ジョジョ」と「モブサイコ100」がすごくお好きなんですよ。もしかしたら、そうした色彩感覚の美しさにも惹かれているのかなと話を聞いていて思いました。
──そういった部分に注目してアニメを視聴するのも面白いかもしれませんね。本日はありがとうございました!
作品紹介
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「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズ
荒木飛呂彦原作による「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズは、「ファントムブラッド」の主人公であるジョナサン・ジョースターに始まり、その血統を継ぐ“ジョジョ”たちの数奇な運命と戦いを描いた作品。TVアニメは、2012年から2013年にかけて放送され原作の第1部・第2部を描いた1stシーズンから、2018年から2019年までオンエアされた4thシーズン「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」まで展開されている。そのほかスピンオフ作品としてOVA「岸辺露伴は動かない」が制作された。
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「映像研には手を出すな!」
アニメは“設定が命”という考えを持つ浅草みどりとお金を生み出す行動が大好きな金森さやか、カリスマ読者モデルでありアニメーター志望の水崎ツバメという3人の女子高生が、アニメ制作に打ち込む姿を描いた物語。大童澄瞳の同名マンガを原作とし、湯浅政明が監督を務めている。NHK総合で2020年1月から3月にかけて放送され、放送のたびTwitterでトレンド入りを果たすなど、話題になった。
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「ひそねとまそたん」
航空自衛隊の岐阜基地で働く新米自衛官・甘粕ひそねと、戦闘機に擬態するドラゴン・まそたんの交流を描くオリジナルアニメ。ひそねは思ったことをつい口にしてしまい、人を傷つけてしまう自身の性格に悩んでいた。そんな彼女は基地に着任早々、とあるきっかけからまそたんのパイロットに指名されるのだが……。原作・制作をボンズ、総監督を樋口真嗣、シリーズ構成を岡田麿里が手がけ、2018年に放送。
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「モブサイコ100」シリーズ
強力な超能力者である中学2年生の少年・モブこと影山茂夫の周りに起こる出来事を描いた“サイキック青春グラフィティ”。普通に暮らしたいと願うモブだが、その能力ゆえ、宗教団体や不良番長、謎の秘密組織などに次々と目をつけられてしまう。ONEによるWebマンガが原作で、アニメは2016年に1期、2019年に2期が放送され、OVAも制作された。
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「ハイスコアガール」シリーズ
格ゲーが盛り上がっていた1990年代を舞台に、ゲーム好きの少年・矢口春雄と、お嬢様で格ゲーが強い大野晶、ハルオに思いを寄せる日高小春の関係を軸に展開されるラブコメディ。押切蓮介によるマンガを原作とした3DCGアニメで、2018年に1期、2019年に2期がオンエアされた。2期では原作ラストまでの展開が描かれている。
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「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」シリーズ
“ダンジョン”と通称される地下迷宮を保有し、神と人とがともに暮らす都市オラリオを舞台に、神ヘスティアの眷属にして新米冒険者ベル・クラネルの活躍を描く物語。原作は大森藤ノのライトノベルで、イラストはヤスダスズヒトが手がけている。第2期まで制作されており、劇場版や外伝作品も展開。2020年7月には第3期が放送される予定だ。
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「食戟のソーマ」シリーズ
日本屈指の料理学校である遠月茶寮料理學園を舞台に、定食屋の息子・幸平創真がさまざまな料理人たちと料理バトル“食戟”を繰り広げ成長していく物語。第1期は2015年に放送開始し、最新シリーズとなる第5期「食戟のソーマ 豪ノ皿」が2020年にオンエア。
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