「劇場版 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ― オリオンの矢 ―」 PR

劇場版 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ― オリオンの矢 ―|原作&脚本の大森藤ノが描いた“未知の世界”

シリーズ累計発行部数1000万部を越える人気ライトノベル「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」がついに劇場アニメ化。「劇場版 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ― オリオンの矢 ―」のタイトルで、2月15日に公開された。

これを記念してコミックナタリーでは特集を展開。完全オリジナルストーリーの本作で自ら脚本を担当した原作者の大森藤ノにインタビューを実施し、初めてアニメの脚本に挑戦した理由や、本作のヒロインである女神アルテミス誕生の経緯などを語ってもらった。

また大森からの質問に声優陣が答えるコーナーも用意。アルテミス役の坂本真綾、ヘスティア役の水瀬いのり、ベル役の松岡禎丞が登場している。「ダンまち」ファンである最上もがからのコメントもあわせて楽しんでほしい。

なお大森へのインタビュー後編には、映画の結末に関する内容も含まれているので、鑑賞前にネタバレを見たくない方はご注意を。

取材・文 / 丸本大輔(大森藤ノ)、粕谷太智(坂本真綾・水瀬いのり・松岡禎丞) 撮影 / 佐藤類

大森藤ノ(原作者)インタビュー
前編 ネタバレなしインタビュー

「主人公がヒロインを救う話」にしようと決めた

──「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」の第1巻が発売されたのは2013年1月15日。先日6周年を迎えたところですが、大森さんにとって「ダンまち」はどのような存在となっていますか?

「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」原作小説1巻
「劇場版 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ― オリオンの矢 ―」キービジュアル

すごく身も蓋もない話をしてしまうと、自分の生計を支えているものです(笑)。でも、もちろんそれ以上に大切な作品でもあって。たぶん今後、新作にもチャレンジさせていただくとは思うのですが、もし叶うなら、本編と外伝の話が終わっても、さまざまな形で「ダンまち」の世界を続けていけたらいいなと思っています。今後、どんなに売れても売れなかったりしても、「ダンまち」は自分の中で一番特別な作品であり続けるだろうという、ある種の確信はあります。

──それだけ特別な作品がTVアニメに続き、劇場アニメにもなると決まったときは率直にどう思われましたか。

お話をいただく前、名だたるライトノベル作品がどんどん劇場アニメになっていました。自分も映画館へ足を運び、すごく感化されていたので、いつかそういう話が来てもいいように、映画のためのネタを頭の中で考えたりはしていたんです。だから、実際に映画化のお話をいただいたときはすごくうれしくて、「やった! がんばるぞ!」みたいな感じでした。

──本作が完全なオリジナルストーリーで、脚本を大森さんご自身が担当することになった経緯を教えてください。

実は最初はOVAを作ろうという話だったんです。でも今お話ししたような時流もある中、映画の企画に変わって。しかも、「オリジナルストーリーで」というお話だったので、自分のほうからGA文庫さんを通して「脚本をやらせていただきたい」とお願いしました。もし原作ありきの作品であれば、テレビと同じく脚本家さんにお任せする形でよかったと思うのですが、オリジナルとなると、キャラクターの口調ひとつとっても、ニュアンスがつかみづらいだろうというところもあって……。というのは言い訳かもしれません。とにかく、自分がやりたかったんです(笑)。ですが、以前から考えていたプロットを提案したら、「大森先生、この話だとどう考えても尺的にオーバーするので不可能です」と言われてしまって。満を持して提出したネタが、即座にボツになるという悲劇から始まった映画化でした(笑)。

──では、最初に考えていたプロットと、完成した作品はまったく異なるものなのですか?

まったく違うものですね。最初に自分がやろうとしていたのは、(主人公のベル・クラネルが所属する)「ヘスティア・ファミリア」と、(外伝の主人公アイズ・ヴァレンシュタインが所属する)「ロキ・ファミリア」が手を組んで、ダンジョンの強大な敵を倒すというプロットだったんです。でも、「メインで出るキャラクターが多いし、このストーリーラインだと絶対に尺に収まらない」と指摘されてしまいました。自分でもそれを悟ったので、尺に収めるためにはもっとシンプルな構成にしないと無理だと割り切って考え、“主人公がヒロインを救うためにがんばる話”にしようと決めました。そして、主人公が助けてあげる女の子は最後にどんな顔をするのか考えていたら、そのシーンの絵がパッと浮かんできたんです。そこから逆算していく形で今回の話はできあがっています。それ以外にも、自分のやりたいことを詰め込んでいますが、その骨子は2週間ぐらいで作りました。割と突貫作業の印象でした。

ヘスティアと新ヒロインのどちらも立つように

──監督やスタッフからはどのようなオーダーがあったのか教えてください。

最初に言われたのが、ヘスティアを前面に打ち出してほしいというオーダーでした。「ダンまち」のTVアニメが放送されたのは2015年の4~6月で、4年が過ぎているんですね。外伝やOVAも挟んでいるのですが、お客さんもヘスティアに飢えているというか……。やはり、本編の顔はベルとヘスティアなので、ヘスティアをメインヒロインとして打ち出してほしいと言われたんです。でも自分は、それを断ってしまって……。

──女神のヘスティアはTVアニメでも特に人気と話題を集めたヒロインですが、なぜ断ったのですか?

オリジナルストーリーで劇場版をやるからには、オリジナルキャラクターを出そう、ということも決まっていました。それで、せっかく出すのであれば、そのオリジナルの新ヒロインをメインにしたかったんです。

──確かに、映画オリジナルの新ヒロインという存在は、新しい物語を生み出す発端などにはなるけれど、最終的に少し影が薄くなることもありますね。

そうなんです。それで、そういう気持ちをスタッフさんに伝えたところ納得してもらえたのですが、結果的に「ヘスティアと新ヒロインのどちらも立つようにしましょう」ということになりました。すごく難しいオーダーではあったのですが、100点を120点にするという作業だったので、やっていてすごくやりがいがありました。苦しみつつも楽しみながら作業できていたんだと思います。自分では、そのオリジナルの新ヒロイン・アルテミスと、ベル、ヘスティアのトライアングルがうまく機能している作品になったのでは、と。「ダンまち」の中では外伝も含めてこういう構成の物語はなかったので、すごく新鮮というか、自分にとって未知の世界でした。

主人公・ベルの所属する「ヘスティア・ファミリア」の主神・ヘスティア。“ロリ巨乳”なその見た目と、“例の紐”と呼ばれる独特な衣装で話題と人気を集めた。

──とはいえ、2人のヒロインを同時に立てるのは難しいことなのでは? 原作でも新たなヒロインが登場する巻では、ヘスティアの存在感が少し薄くなる印象もあります。

おっしゃるとおり、原作では新ヒロインが出るたびにヘスティアの出番がすごく減ってしまいますね。女神だからダンジョンにも付いてこられないので……。でも、この劇場版に関してはそれを払拭できたというか。ヘスティアと新ヒロインのアルテミスはもちろん、いろいろなキャラクターが活躍し、多くのファンの皆さんに喜んでもらえるフィルムになったと思います。