描き始めてからも、理解が追いつかなかった(笑)
──本題に移り、冨士原先生から学芸大青春(以下、ジュネス)とはどんなグループか簡単にご説明いただいてもよろしいでしょうか。
今までの自分がやってきた仕事って、シナリオがあって、絵に声優さんが命を吹き込んで初めてキャラクターができあがってたんです。でもジュネスは本人たちが現実世界に存在して、彼らをもとに絵が描き起こされる。そして彼ら自身が、その絵に動きや声をあてるという。……私のこの説明で伝わるでしょうか?(笑)
──私には伝わりました(笑)。ジュネスは“2次元と3次元を行き来する”というキャッチコピーがつけられていますが、実際に映像を見てもらわないと説明しにくいですよね。
2次元も3次元も本人、そして最先端の技術で動く、まさに令和!という感じのボーイズグループです。
──最初にキャラクターデザインのオファーがあったときは、この企画についてどう思われましたか?
もう全然理解できなかったです(笑)。普段お仕事をいただくときはだいたいメールで概要をいただくんですけど、ジュネスに関しては何も知らされずに会社(VOYZ ENTERTAINMENT)に呼ばれて。そこでプロデューサーさん直々に説明していただいたんですけど、「なーにを言ってるんだ?」みたいな(笑)。デザインに着手し始めてからも自分ではどうなるのかがわかっていなくて、彼らが3Dモデルの姿で動いているのを見てようやく、すごい企画の中に放り込まれたんだなと実感しました。
──でもコンセプトは異色でありながら、やっていることはド直球のグループのように思います。
そう、ダンスも歌も演技も本格的。一歩踏み込んでみるとわかるんですよね。
──冨士原先生はキャラクターデザインを手がけるにあたり、最初にジュネスの皆さんと直接お会いされたんですよね。
はい、彼らがスカウトされたばかりの頃に。人の顔を覚えるのはあまり得意ではないのですが、こういうタイプなんだろうなっていうキャラクター性はパッと掴めました。デザインするにあたり本人たちのお写真と簡単なプロフィールもいただいていたんですけど、あまりそれに引っ張られないように自分が直接お会いして感じたイメージを大事にしようと。デザインも割と苦労せずに浮かびましたね。
0.5頭身の差が肝
──勝手な解釈かもしれないのですが、これまでの冨士原先生の絵柄と比べてよりリアルな印象を受けました。
そうですね。やはり本人たちが実在するということで、あまりに現実的じゃない髪色とかは避けました。いずれ2次元だけじゃなく3次元でも活動するともお伺いしていたので、リアルとかけ離れすぎてもダメだなと思ったんです。それでもボーイズグループとしての派手さというか、華は保っておくように意識しました。頭身も「A3!」とか今までの絵より若干下げていて、ジュネスはだいたい6.5等身ぐらいにしてるかな?
──普段だとどれくらいなんですか?
7~7.5頭身です。
──そんな微差で変わるんですね。
変わります。自分が描く顔立ちだと、6.5頭身っていうのがバランスを取れるギリギリのラインですね。
──ちなみに音楽ナタリーのインタビューでジュネスのメンバーにインタビューした際(参照:学芸大青春「JUST」インタビュー)、蓮くん、優輝くん、陽介くんが、2次元の自分にも同じところにホクロがあるとおっしゃっていて……。
そうそう。まず最初、本人に寄せるために全員のホクロの位置を聞いたんです。全員そのまま絵に反映しようと思ったんですけど、顔にホクロのあるメンバーが多すぎると却下されて(笑)。
──今回、初期のキャラクターデザイン案を持ってきていただきましたが、それを見ると勇仁くんと将綺くんにもホクロがありますね。
そのまま活かされたメンバーもいれば、あえて活かさなかったメンバーもいるという。ちなみに同時期に描いたメンバー全員が並んでいる立ち絵は、最初に資料としていただいた写真の服装をほぼ反映しているんです。
──それはファンにはうれしい情報ですね。
でも最近久々にお会いしたら、みんなこの当時よりグッと垢抜けてオシャレになっていました(笑)。将綺くんなんかはデザイン時はカジュアルにチェックシャツを着てますけど、今はもっときれいめな感じだったり。
次のページ »
学芸大青春のメンバー5人を冨士原良が解説
2020年4月1日更新