「海辺へ行く道」は、ある町の点景を独特なファンタジーの世界観で描いた作品。月刊コミックビーム(KADOKAWA)で読切が複数回にわたり掲載され、単行本は「海辺へ行く道 夏」「海辺へ行く道 冬」「海辺へ行く道 そしてまた、夏」の全3巻が刊行された。映画ではアーティスト移住支援を謳い、怪しげな“アーティスト”たちが行き来するある海辺の街が舞台。そこでのんきに暮らす14歳の美術部員・奏介と仲間たちが、大好きなモノづくりをしながら縦横無尽のイマジネーションで世界を愉快にしていく様が描かれる。
監督・脚本は「ジャーマン+雨」「ウルトラミラクルラブストーリー」の
横浜聡子監督コメント
2010年に「海辺へ行く道」に出会った時、もし映像化されることがあるとしたら他の誰にも撮られたくない、と思った(と同時に映像化はいかにも困難な作品だと怖れた)。三好銀さんの描く世界では、種々雑多な人や出来事がごく当たり前に、超然とそこにある。それを多様性と呼ぶまでもなく、世界はそもそもが多様なものなんだと気付く。存在して大丈夫なのだと、いつも励まされる。2024年、幸いにしてこの映画を作ることができたが、まだゴールじゃない。とめどない想像力をたずさえて道を行く三好さんの軌跡を、私はずっと追い続けるだろう。
三好風太コメント
原作をなぞるわけでも、かといって蔑ろにするわけでもない、横浜監督の不思議な手つきによって、気づいた時には異界へと誘われていました。その手つきは、ときに軽やかでときに不穏な、劇中のアーティストたちの不定形な振る舞いとも、重なっているのかもしれません。父の遺した物語から出発しつつ、全く違った景色へ連れ去ってくれたことを、とても嬉しく思います。
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