映画「デジモン」ルイを悩んで演じた緒方恵美「希望をお渡しできる作品」と胸を張る

映画「デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING」の公開記念舞台挨拶が、本日10月28日に東京・新宿バルト9で行われ、本宮大輔役の片山福十郎、ブイモン役の野田順子、一乗寺賢役のランズベリー・アーサー、ワームモン役の高橋直純、大和田ルイ役の緒方恵美、ウッコモン役の釘宮理恵、田口智久監督が登壇した。

「デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING」の舞台は、冒険の日々から10年が過ぎた2012年。年月が経っても、選ばれし子どもたちとパートナーデジモンは変わらぬ絆で結ばれており、子供たちはそれぞれの夢に向かって歩み始めていた。そんなある日、巨大なデジタマが東京タワー上空に出現。世界がその動向を注目する中、大輔たちの前に欠けたデジヴァイスを持った青年・大和田ルイが現れ……。「デジモン」史上最大の危機が大輔たちに訪れる。

映画が公開された今の気持ちを聞かれた片山は、収録が2年近く前だったことに触れ「皆様の反応を生で見れるこの日が本当に心から楽しみでした」と笑顔を見せる。続く野田が「楽しんでいただけましたか？」と観客に問いかけると、大きな拍手が返ってきた。

「『02』ならではの魅力」というトークテーマでは、これまで「02」を「明るい」と言い続けてきた片山が「思っていたより暗くない？」とまさかの発言。この日に向けて改めて作品を観返したという片山は「（全部）観た後は『明るい』で終わるんですけど、観ているときはけっこう暗いシーンが多くて。『02』は心の闇と戦う・向き合うシーンが多い、だから今作は『02』じゃないと導けないんだなと、改めて見直して納得しました」と「暗い」の真意を説明しつつ、映画の魅力を伝える。また緒方が「闇です」と挙手して、笑わせると、片山が「闇が強ければ強いほど、相乗して光も強くなる。だから物語が強く輝くんじゃないかと思いました」と緒方演じるルイの闇の深さも物語における重要な要素だと語った。

一乗寺賢がTVシリーズでは心の闇と戦っていたことから、高橋に「元闇です」と紹介されたランズベリーは「バラバラでまとまりがないように見えて、実は団結していてつながっているのが魅力」だと、「02」のキャラクターの関係性を伝える。成長してもその魅力は変わっていないと映画の感想を話し「いいなこの関係性」とうらやんでいた。高橋も成長した子供たちの関係性に言及。オープニングで大輔の呼びかけに応じて集合するシーンを引き合いに出し「『集合』って言ったらすぐに集まれるそんな関係性をつないできたんだって、オープニングを観て1人でうわーってなりました」とジェスチャーを交えて感動したことを明かした。

ルイの複雑な家庭環境など、大輔たちの明るさとは対になる要素を描いた理由について、田口監督は「『02』は実はキャラクターの精神面だったり、暗いものを描いている」と自身の考えを明かす。続けて「その要素をアップコンバートして、作品に落としこんだ」と自身の考える「『02』らしさ」を伝えた。

イベントの中では2回目の鑑賞で観てほしいシーンを登壇者が紹介する場面も。高橋がワームモンのジト目、田口監督が目がしょぼしょぼしたホークモンなどイラスト付きのフリップでも観客を楽しませる。そんな中、釘宮と緒方は「落ち着いて全てを!!」「全体をリラックスして観て下さい」とほぼ同じ回答で驚かせる。釘宮は1回目の鑑賞は作品を受け止めるのに精一杯だったのでは？と想像し「2回目以降はちょこちょこ観てほしい」と独特の言い回しで細かいシーンまで観てほしいとお願いした。

一方、野田は具体的なシーンを挙げ「ウッコモンの超スローハッピーバースデー」と紹介。同シーンの収録にも見学に行ったそうで、「ウッコモンのかわいらしさとともに理恵ちゃんの努力も見ていただければ」とアピールする。さらに緒方が「どこでブレスを取っているかも注目ポイント」と付け加え笑わせた。

最後の挨拶では緒方が「この役をリアリティを持って芝居をしていいんだろうか」と、家庭環境が複雑なルイを演じるにあたって、子供やその親がどう思うのだろうと悩んだことを明かす。続けて「映像になったものを観ると、つらい状況の中から希望が見えてくるというテーマを丁寧に描いている作品として必要だったんじゃないかなと今は思っています」と胸を張った。さらに「つらい状況を抱えている人に希望をお渡しできるような作品になっています」と緒方が熱く語ると、会場は大きな拍手に包まれた。

映画「デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING」キャスト、監督が考える「『02』らしさ」