「すずめの戸締まり」に込めた3つのキーワードは?新海誠「終わらせることのほうが難しい」

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新海誠が原作・監督・脚本を務める劇場アニメ「すずめの戸締まり」が、2022年秋に全国東宝系の劇場で公開されることが決定。その制作発表記者会見が、本日12月15日に東京・帝国ホテルにて開催された。同会見には新海監督に加え、「君の名は。」のヒロイン・宮水三葉役の上白石萌音、「天気の子」のヒロイン・天野陽菜役の森七菜が登壇した。

左から森七菜、新海誠監督、上白石萌音。

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新海誠監督

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「すずめの戸締まり」は日本各地の廃墟を舞台に、災のもととなる“扉”を閉めていく少女・すずめの解放と成長を描くロードムービー。キャラクターデザインは「君の名は。」「天気の子」といった新海監督作品や、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」にも携わる田中将賀が担当し、作画監督は新海監督作品を数多く手がけてきた土屋堅一、美術監督は「君の名は。」「秒速5センチメートル」などで繊細かつドラマチックな背景を生み出した丹治匠が務める。

上白石萌音

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まずは新海監督が登場し、「日本列島各地をめぐるロードムービーであること、扉を開くのではなく閉じていく物語であること、映画館に足を運ぶ理由になるような作品を作りたいということ」と、最新作「すずめの戸締まり」に込めた“3つのキーワード”を明かした。同作をロードムービーにしようとした理由について、新海監督は「映画の舞台挨拶で全国各地に伺うと、『次は僕の街を』と言われることが多いんです。うれしいけど、全部は出せないしどうしようと思っていて。だから今回はロードムービーにすることで、各地のさまざまな風景や魅力的な人々、出会いを描けるのではと考えたんです。欲張りました(笑)」と語る。

森七菜

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また2つ目に挙げた「扉を閉じる物語」について、新海監督は何かを始めることよりも終わらせることのほうが難しいのではないかと考えたと述べ、「映画作りはもちろん、仕事にしても、恋愛や家族関係にしても終わらせるほうが難しい。だから可能性が開いていく物語でなく、散らかった可能性を見つめ直して、あるべき手段で閉じていくことで、新しい場所を見つけられるんじゃないか。そういう物語を作るべきなんじゃないか、皆さんが観たいと思っているんじゃないかと思ったんです」と思いを言葉にした。そして最後のキーワードについて、「昨今は配信が全盛で、僕自身も毎晩のように観ていますが、やっぱり劇場、映画館というのは人間の持っている特別な能力、例えば感情移入することであったり、没入する能力を発揮させてくれる場所だと思う」と持論を展開し、「そういった能力は映画館に入って暗闇でスクリーンと向き合うことで最も強く発揮されると思うんです。僕たちはそういう映画作りをしています」と自信をにじませた。

左から森七菜、新海誠監督、上白石萌音。

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そして会見場に設けられた白い扉を通して、上白石と森が姿を現す。新海監督の過去作品にヒロインとして命を吹き込んだ2人は、「すずめの戸締まり」のビデオコンテをひと足先に観たことを明かし、上白石は「めちゃくちゃ面白かったです。ビデオコンテって色がついてなくて、鉛筆とかで描かれた絵がコマ送りで動くような状態で、新海さんの場合はそこに新海さんの声が吹き込まれているんですが、その骨組みだけでも圧倒されました」と絶賛する。さらに「解決しないことはないというか、明けない夜はないというか。今も不安定な世の中で、どんなに幸せなときも明日がどうなるかわからなくて。でも明日を信じてみたいって思わせてくれるような、前から引っ張ってくれるような前向きな終わり方で、私はとても勇気をもらいました」と続けた。

上白石萌音

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「私、びっくりして。今までの新海さんの作品もそうでしたけど、ゾクゾクと迫りくる感覚が、いい意味で気持ち悪くて……」と独特の表現で作品の感想を語った森は、「新海さんの作品が公開された年は、その年が新海さんの色で染まっている気がするんですが、またやってきたぞと。これに色がついて声優さんが声を入れたらどんなものになってしまうのかとワクワクしました」とコメント。さらに「歳を重ねるにつれて悩みが増えてる感覚があって、いつも悩み事の解決の仕方もわからなくて。でもこの作品を観たときに、自分を揺るがす事態が起きても扉を開けてぶつかっていけば、自分が納得行くかはわからないけど、何か結末が待ってる、そういう扉の開け方を教えてくれる映画だなと感じました」と語った。

森七菜

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そんな2人の感想を聞いた新海監督は「観終わったあとに物語をどう閉じれば、きちんと閉じたことになるのかと悩み続けて作ってきたので、2人からいただいた言葉に励まされました」と肩をなでおろす。そして「この2年間は外に出ることなくずっと1人で脚本やビデオコンテを書いてきて。ようやく形になって、2人にすぐお送りして観てもらったんです。おふたりからその言葉を聞けたのは幸せです」と感慨深げに述べた。またすずめと上白石、森には「九州の出身」という共通点があることに話が及ぶと、森は「(すずめが)西の子で、(新海監督が)私たちのこと好きなんだろうなと(笑)」と笑顔を浮かべ、新海監督も「書き始めは、(すずめから)七菜ちゃんの声が聞こえてたし、旅を続けているうちに萌音ちゃんの声も混じってきて」と、2人の声が制作の力になったと述べる。

左から森七菜、新海誠監督、上白石萌音。

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さらに今後行われるすずめ役のオーディションについて、新海監督が「オーディションって僕自身は受けたことがないので。どこを見て欲しいんですかね? どんな子がいいですか?」と上白石と森にアドバイスを求めると、上白石は「さっき七菜ちゃんと話してたんですけど、(オーディションを一緒に)受けない?って(笑)。どっちを選ぶのか気になるよね」と裏話を披露。新海監督は「神木くんにも以前言われて、やめてほしいとお願いしたんですけど(笑)」と困った表情を浮かべながらも、「おふたりからいただいたものは大きいので、これからオーディションを通してすずめを教えてくれる人と出会えたらいいなと思います」とオーディションへの期待を述べた。

またその後行われた質疑応答で、コロナ禍の影響について問われると、新海は「コロナ禍そのものを舞台に描くことはしてません。ただロードムービーなので各地に行って書きたかったのですが、それができなかったので、公開される頃にはそれができるようになっているといいなという渇望のようなものは込められています」と明かす。また新たなチャレンジとしてアクションムービーであるとも述べ、「難しいなと思いながら作っていますが、皆さんがイメージするのとは少し違うアクションが盛りだくさんです」とアピールした。そして「映画は鋭意製作中で、今もスタジオでみんなががんばっていると思います。たくさんの人を代表してここに立たせてもらいましたが、ほかでは観られないような力のある映画を届けたいと願ってます」と語り、会見を締めくくった。

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「すずめの戸締まり」

全国東宝系にて2022年秋公開

スタッフ

原作・脚本・監督:新海誠
キャラクターデザイン:田中将賀
作画監督:土屋堅一
美術監督:丹治匠
製作:「すずめの戸締まり」製作委員会
制作プロデュース:STORY inc.
制作:コミックス・ウェーブ・フィルム
配給:東宝

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(c)2022「すずめの戸締まり」製作委員会

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