「バトルミー」キービジュアル

このマンガ、もう読んだ?

「バトルミー」ボケっとしてたら、今のままだぞ!! “世の中の理不尽”に向けて強力パンチを放つぶっ飛びマンガ

PRささきゆうちゃん、松本しげのぶ「バトルミー」

この世の中、人々は他人の足を引っ張ってばかり。ルールを押しつけ合い、閉塞感が漂っている。そんな世界に1人の少女が舞い降りた。その名はミー。彼女は殴れば殴るほど強くなっていく拳を持つ異能者だった。小学館の週刊コロコロコミックで連載されている「バトルミー」は、一見かわいい少女が理不尽な人間を殴って殴って殴りまくる、爽快感あふれるバトルマンガだ。

/ 岸野恵加

国民の血税が鉄スーツに?少女が拳で総理大臣を殴り飛ばす描写は爽快感たっぷり

“物理で殴る”描写には、どうしてこんなにも心を掻き立てられるのか。何もまとわずに、本心をそのままぶつけているように感じられるからだろうか。現実世界の自分には到底できないことだからこそ、フィクションの世界でキャラクターたちが拳でたくましく不条理を殴り飛ばしてくれると、言い表しがたい爽快感に包まれる。

「バトルミー」は、言葉を選ばずに言ってしまえば“ぶっ飛んだマンガ”だ。登場人物がバトルスーツをまとい、宙を舞い、拳でぶつかり合う。主人公は天真爛漫なかわいらしい少女・美衣(ミー)。年齢は明かされていないが、小学生くらいだろうか。ミーは大好きな優しいおばあちゃんと2人で幸せに暮らし、「一生、一緒!!」と信じて疑わなかった。

「バトルミー」第1話より。大好きなおばあちゃんと暮らすミー。

「バトルミー」第1話より。大好きなおばあちゃんと暮らすミー。

ところがそんな平和な日々に、突然終わりが訪れる。おばあちゃんが亡くなったのだ。孤独になったミーはポケットに入っていた100円玉と10円玉を握りしめ、温かい食べ物を求めてコンビニへと駆け込む。110円あれば、大好きなおでんのちくわが買えるはず。しかしミーの目に入ったのは、その日から消費税が20%に引き上げられたという告知文。ちくわが120円に値上げされた原因が必死田という総理大臣にあると知ったミーは、「こいつのせいで…おばあちゃんがくれたお金じゃ買えないんだ…」と、怒りに肩を震わせる。

「バトルミー」第1話より。

「バトルミー」第1話より。

次の瞬間、ミーの体は空を飛んでいた。そして怒りのままに、必死田総理のもとへたどり着く。ある夜、空から降り注いだ「バトルミー光線」を浴びた彼女には、特別な力が芽生えていたのだ(バトルミー光線を浴びた者はスーパーパワーを持つ「バトルミータント」となり、闘争心が上昇する)。必死田は国民から搾り取った税金130億円で作られた鉄スーツをまとい、ミーに応戦。ミーの力を侮っていた必死田だが、殴れば殴るほど強くなっていく能力を得た彼女は、驚異的なパワーで必死田にパンチを浴びせ続け、やがて総理大臣を自らの手で殴り飛ばして、勝利を収めるのだった。

「バトルミー」第1話より。

「バトルミー」第1話より。

原作を担当しているのは、「デュエル・マスターズ」シリーズで知られる松本しげのぶ。ネームも松本が手がけており、豪快な画面使いで、大迫力のバトルが展開される。「ここに見開きを使うとは!」と思わず唸ってしまうページもあり、そのコマ運びの心地よいグルーヴからも、爽快な読み味が生まれている。「デュエマ」ファンは必読だ。また松本のネームを、「フェイク・リベリオン」「異世界チートブレイカーズ」のささきゆうちゃんが、躍動感たっぷりながら美しく軽やかな筆致で描き出している。

私たちに浴びせられる「ボケっとしてたら!! てめーら今のままだぞ!!!」のパンチ力

“ぶっ飛んだマンガ”ながら、作中に描かれているのは、現代社会に生きづらさを感じている私たちそのものだ。ミーに続いてバトルミータントとして登場する青年は、ブラック企業でパワハラを受けて引きこもりとなり、「世界はクソひどいのに誰も立ち上がらない」と絶望を抱いている。強力な“声で戦う能力”を得て、やがて暴走してしまう彼にも、ミーは果敢に立ち向かっていく。自分の置かれた環境に不満を持ち、変えたいと願うならば、どう動くべきなのか。そしてもし力を得た暁には、それをどのように使うべきなのか。熱い拳のバトルに見とれつつも、ふと考えさせられる瞬間が少なくない。

「バトルミー」より。会社でパワハラを受けて、引きこもるようになった青年。彼にもまた特別な力が宿るようになり……。

「バトルミー」より。会社でパワハラを受けて、引きこもるようになった青年。彼にもまた特別な力が宿るようになり……。

コロコロコミック(小学館)編集部が運営する総合エンタメサイト・週刊コロコロコミックで連載されている本作。子供はもちろん、不条理なことばかり起こる世の中へ閉塞感を覚えている大人にこそ、ぜひ手に取ってほしい。

総理大臣に勝利を収めたミーは、マイクを握ってこう叫ぶ。「ボケっとしてたら!! てめーら今のままだぞ!!! つかみとれ そして!! 私と闘え(バトルミー)!!」。劇中、ミーの魂の言葉に、不満を溜め込んだ国民は立ち上がるが、この言葉は読者の私たちに投げかけられたものでもあるだろう。

「バトルミー」より。総理大臣に勝利を収め、国民に訴えるミー。

「バトルミー」より。総理大臣に勝利を収め、国民に訴えるミー。

物語はまだ始まったばかりで、明かされていない謎が多数ある。そもそもバトルミー光線とはなぜ、どのように生まれたものなのか。光線を浴びた人はどれくらいいるのか。ミーはどのように育ったのか。第1話の冒頭では「地球滅亡まであと3年」と謳われているが、本当に地球は終わってしまうのか……。ミーや作中の人々が、自由と平穏を手に入れられることを願いながら、今後の展開を見守りたい。

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「バトルミー」第1話を試し読み!
©松本しげのぶ/ささきゆうちゃん/小学館

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