ナタリー PowerPush - 乃木坂46

 生駒里奈が語る「センターの覚悟」

乃木坂46のニューシングル「制服のマネキン」発売を記念して、ナタリーでは特集ページを公開。このページではデビューシングル「ぐるぐるカーテン」から最新作に至るまで、センターポジションに立ち続ける生駒里奈のロングインタビューを掲載する。これまでの気持ちの変化や乃木坂46というグループの独自性、AKB48との比較など興味深い話をじっくり楽しんでほしい。

取材・文 / 西廣智一 撮影 / 笹森健一 企画 / 富樫奈緒子

すごくいい結果を出しても自分のことを褒めない

──前作「走れ!Bicycle」リリース前後はたくさんのライブやイベントがありましたね。まず7月7日に幕張メッセで行われた2ndシングル「おいでシャンプー」の全国握手会で「走れ!Bicycle」を初披露して。あのイベントのとき、生駒さんはステージに出て客席を観た瞬間に、感極まったような表情を見せましたよね。

生駒里奈

うん。今まで見たことない人数だったんで。

──確かあのときは過去最多の1万人集まったんですよね。

あんなに人が来るなんて絶対に誰も思ってなかった。ステージに出ていったら後ろのほうまでビッシリ入っていて、みんなで「どうすればいいんだろう?」って動揺して。でもすごくうれしかったです。

──だけど握手会直後のブログでは生駒さん、「すごく悔しかった」って書いてるんですよ。

本当? なんだっけ……ああ、多分振り付けを失敗したんだ。人が多すぎてビビっちゃったんだと思う。うち、いつもはあんまり緊張しないんですけど、あの日はあんなに人が来ると予想してなかった分ビビりすぎちゃって。結構あるんですよ、盛り上がったところでビビっちゃって間違えること。そこでちゃんとできなくちゃダメだな。

──そこは自分に厳しくいたいと。

「これやったからOK」とかちょっとでも思っちゃうと、成長できないんですよ。がんばってすごくいい結果を出したとしても、自分のことを褒めない。口では「わあ、 うちすげえ!」とかよく言うけど、実際にそんなこと全然思ってない。言葉は悪いけど、自分に対して「このまんまじゃダメだ、ふざけんじゃねえぞ!」って毎日言い聞かせてるみたいな。じゃないと気が緩んじゃうからね。

──その緊張感を保つのって大変なことだと思うんですが。

うーん。でもうち、多分最初からそういう性格なんだろうなって。

──それは乃木坂46に入る前からずっと?

うん、ずっと。なんか自分のことをあんまり好きになれないっていうか、心の中に「認めないよ」っていうもう1人の自分がいて。ちょっと疲れちゃったときはそんな自分が出てきて、とことん追い込むんですよ、「お前何やってるの?」って。そこでパッと切り替えて、またいつもの自分に戻るんです。

──16歳にしてその切り替えがパッとできちゃうんですね。

最初の頃は落ち込んだらすっごい落ち込んで、もう話しかけないでくださいみたいな感じだったけど、でもだんだんと「はい、終わり!」「はいはい、よし! 次!」って自分の中で切り替えが早くできるようになってきて。パルコ(劇場公演)の頃から。

──やっぱりパルコ劇場での初公演「16人のプリンシパル」はそれだけ大きな出来事だったんですね。

うん……パルコが自分の中で一番大きかったなあ。

武道館に立てたのは自分たちの力じゃない

──パルコ劇場の話の前に、6月に行われた「第一回ゆび祭り~アイドル臨時総会~」についてもちょっと訊かせてください。乃木坂46がほかのアイドルグループと競演したのは、あのときが初めてでした。しかも武道館という大舞台で。

そう。びっくりした。人も多いし会場もデカかったのでそういう面ではびっくりしたんですけど、そんなに緊張しなかった。普通にイベントの1つとして楽しんだっていう感じで。なんだろう……武道館のステージに立てたのはすごいことだけど、でも自分たちの力で立てたわけではなくて、呼んでいただいた身なので。だったらその分一生懸命踊るし、ほかのアイドルさんを観て勉強するし。とにかくほかのアイドルさんのお客さんの興味をちょっとでも引けたらいいなって気持ちでやりました。

──個人的には乃木坂46の皆さんが、あの「ゆび祭り」を境に変わってきたなという印象を受けて。しっかりしてきたというか、意識がちょっと高くなってきた気がするんです。

ほかのアイドルさんと比べたら、乃木坂は芸歴も経験も全然ないわけで。でもそういうベテランさんの中に入って戦わなきゃいけないじゃないですか。だから「ちょっとこのままじゃダメだな」って思ったんだろうな。自分ではあんまり意識してなかったけど。

──それだけ刺激になったと。

ほかのアイドルさんを観るとキャラもカラーも全然違うから、学べるところはとことん観て研究して。でも同じことをやっちゃったら面白くないわけだから、ただ参考にするだけで自分の中で変えて出せるところで出していければなと。乃木坂ちゃんはほかのアイドルさんとは全然違うわけだし。

乃木坂には型がないからいろんなものに変身できる

──生駒さんはよく「乃木坂46はほかのアイドルグループとは違う」と言ってますが、どこが違うと思ってますか?

うーん、なんか雰囲気が違うというか……口で表すの難しいけど、観ればわかるみたいな。絶対に違うんだよな……どこが違うんだろう。今までいなかった新しいタイプっていうのもあるし、これといった型がないからその分自由にやれるのもあるし。そういうところも違いなんじゃないかな。AKB48さんの公式ライバルって言ってますけど、ライバルだからといってそのまんま同じことをやってるわけじゃないし。ライバルという意味では、アイドル戦国時代だからみんなライバルなんだけどね。あとこれは……親バカみたいになっちゃうんですけど、乃木坂ちゃんってきっと、アイドルだけどアイドルじゃない気がする。

──それはどういう意味?

生駒里奈

なんていうんだろう? 今までなかったようなことができちゃうのが乃木坂ちゃんなんじゃないかって思う。例えば、「こういうカラーでやりましょう」って言ったグループはそれ以外のことができないじゃないですか。

──確かにそこに縛られてしまうし。

でしょ? だけど乃木坂ってその型がないから、いろんなものに変身できるんだよね。だけど今は、なんだかんだいってまだ1歳なんです。人間とか動物でいったらまだ赤ちゃんじゃないですか。だからまだまだって言われるんであって、これから毎日毎日、1日ずつ違うことをたくさんやっていけば周りも「乃木坂はほかとは違う」って気付いてくれると思う。

ニューシングル「制服のマネキン」/ 2012年12月19日発売 / Sony Music Records
Type-A [CD+DVD] / 1600円 / SRCL-8201~2
Type-B [CD+DVD] / 1600円 / SRCL-8203~4
Type-C [CD+DVD] / 1600円 / SRCL-8205~6
通常盤 [CD] / 1000円 / SRCL-8207
アニメ盤 [CD] / 1300円 / SRCL-8208
Type-A CD収録曲
  1. 制服のマネキン
  2. 指望遠鏡
  3. やさしさなら間に合ってる
  4. 制服のマネキン(off vocal ver.)
  5. 指望遠鏡(off vocal ver.)
  6. やさしさなら間に合ってる(off vocal ver.)
Type-B CD収録曲
  1. 制服のマネキン
  2. 指望遠鏡
  3. ここじゃないどこか
  4. 制服のマネキン(off vocal ver.)
  5. 指望遠鏡(off vocal ver.)
  6. ここじゃないどこか(off vocal ver.)
Type-C CD収録曲
  1. 制服のマネキン
  2. 指望遠鏡
  3. 春のメロディー
  4. 制服のマネキン(off vocal ver.)
  5. 指望遠鏡(off vocal ver.)
  6. 春のメロディー(off vocal ver.)
通常盤 CD収録曲
  1. 制服のマネキン
  2. 指望遠鏡
  3. 渋谷ブルース
  4. 制服のマネキン(off vocal ver.)
  5. 指望遠鏡(off vocal ver.)
  6. 渋谷ブルース(off vocal ver.)
アニメ盤 CD収録曲
  1. 制服のマネキン
  2. 指望遠鏡
  3. 指望遠鏡~アニメ版~
  4. 制服のマネキン(off vocal ver.)
  5. 指望遠鏡(off vocal ver.)

乃木坂46 (のぎざかふぉーてぃしっくす)

2011年8月に「AKB48の公式ライバル」として誕生したアイドルグループ。グループ名の「乃木坂」は最終オーディション会場の「SME乃木坂ビル」、「46」は「AKB48より人数が少なくても負けないという意気込み」に由来する。総合プロデュースはAKB48同様、秋元康が担当。全国規模のオーディションにより、3万8934人の応募の中からスターティングメンバーとして33人が選出された。2012年2月にシングル「ぐるぐるカーテン」で待望のメジャーデビュー。オリコンウィークリーチャートで初登場2位を記録し、20万枚を超えるセールスを記録した。同年5月には2ndシングル「おいでシャンプー」、8月には3rdシングル「走れ!Bicycle」を発売し、ともにオリコンウィークリーチャート1位を獲得。12月に待望の4thシングル「制服のマネキン」をリリースする。


2012年12月18日更新