ナタリー PowerPush - L'Arc-en-Ciel
バンド結成20年の歴史を振り返るメンバー4人ソロインタビュー
メジャーデビューはメリットしかなかった
──メジャーでの1stシングル「Blurry Eyes」がリリースされたのは1994年10月でした。実際にメジャーでデビューしてみて、いかがでしたか? インディーズのように自由に活動できないことも出てくるというような話も聞きますが。
そういう話はよく先輩のアーティストから聞いてました。メジャーだとこうしろああしろって言われて、自由にできないって。でも僕はメジャーに来て「全然そんなことないじゃん」って思いました。やりたいことはできるし、あれしろこれしろって誰も僕には言いませんでしたから。もちろんやりたいことはインディーズでもメジャーでもやれるんだけど、予算が多いほうが規模の大きな展開が可能になる、やれることが増えていく。なので、僕にとってはメリットしかなかったです。
──メジャーデビュー後は順調に支持層が増えていきましたね。
まあデビュー直後はいろいろありましたが、そうですね。CDの売り上げもライヴの動員も悪くはないなと思っていました。
──ただ、1997年はしばらく活動できない時期もあったので、バンドにとっては逆境の時期だったのではないですか?
転んでもただでは起きないところがあるバンドですから。不安みたいなものは特にはなかったですね。それに、どんな世界でも仕事をやる上でのトラブルはつきものだと思うんですよ。そのトラブルをいかにしてスマートに解決していくかで、仕事のできる人とそうでない人とが分かれるので。
──その直後の12月23日の東京ドームでの「1997 REINCARNATION」の素晴らしさはライヴ映像からも伝わってきます。「虹」で始まって、「虹」で終わるという構成も見事でした。
そうですね。あのライヴは良かったと思います。翌年の1998年に「Tour'98 ハートに火をつけろ!」で56公演やったんですけど、そのときはyukihiroくんが加入した後だったので、この4人がL'Arc-en-Cielなんだというイメージを植え付けたいという意識がどこかにあったと思います。そのためにはそれまでにやった以上に数多くのライヴをやることだな、たくさんリリースすることだなって思っていましたから。
──それだけの本数のツアーをやるのはいかがでしたか?
たくさんやったから、当然、いろんなことがありました。ツアーそのものは楽しかったですよ。
2011年も階段をひとつずつ登っていく
──1999年には「1999 GRAND CROSS TOUR」もありました。ライヴ映像で見ても、あれだけの規模の野外ステージの景色はすごいですね。ステージ上から見えた光景はどうでしたか?
気持ちいいですよ、それは。
──tetsuyaさんがショッキングオレンジ、ショッキンググリーンの衣装を着ているのも印象的でした。
10万人クラスのステージになると、後方から見ると、誰が誰だかわからなくなるじゃないですか。ローディやカメラマンがステージ上にいても、メンバーと区別がつかないぐらいだったから、ステージ衣装としては派手なほうがいいな、後ろのほうから見ても誰なのかわからないといけないなって。そういう考えに基づいて、衣装を作ってもらったんですよ。
──あれだけの規模のステージをやっていくには相当、エネルギーを使ったと思うのですが、「1999 GRAND CROSS TOUR」をやり終えて、達成感はありましたか?
まだL'Arc-en-Cielのラの字も知らない人もいっぱいいるし、知ってても、メンバー4人の名前と顔が一致しない人のほうが多いと思ってましたから。まだまだやることはいくらでもあるなって。
──それにしても、tetsuyaさん、hydeさん、kenさん、yukihiroさん、この4人がひとつのバンドをやっているって、すごいことだなと思います。全員がソロ活動もやっていて、作詞・作曲もやっていて、歌も歌える。このメンバーが同じバンドをやっているって、奇跡的なことなのではないですか?
そうですね。
──2011年はさらに活動が活発化するだろうなという期待感があります。
結成したときから変わらず、やるべきことをきっちりやって、階段をひとつずつ登っていこうと思います。
──でもここまで登ってくるのはすごいことなのではないですか?
いや、それも特に何も意識してないですね。登っていて、いちいち振り返ったりしないですから。
「TWENITY 1991-1996」収録曲
- Voice
- Floods of tears
- As if in a dream
- Blurry Eyes
- In the Air
- White Feathers
- Vivid Colors
- 夏の憂鬱 [time to say good-bye]
- I'm so happy
- flower
- さようなら
- Lies and Truth ("True"Mix)
- 賽は投げられた
- Caress of Venus
- "good-morning Hide"
「TWENITY 1997-1999」収録曲
- 虹 (Album Version)
- winter fall
- LORELEY
- Shout at the Devil
- fate
- あなた
- HONEY
- 花葬
- snow drop [ray mix]
- HEAVEN'S DRIVE
- Pieces [ark mix]
- Driver's High
- 真実と幻想と
- Sell my Soul
- いばらの涙
「TWENITY 2000-2010」収録曲
- NEO UNIVERSE
- finale
- STAY AWAY
- get out from the shell
- READY STEADY GO
- 瞳の住人
- REVELATION
- New World
- 叙情詩
- AS ONE
- Link -KISS Mix-
- MY HEART DRAWS A DREAM
- DAYBREAK'S BELL
- Pretty girl
- I Love Rock'n Roll
L'Arc-en-Ciel(らるくあんしえる)
1991年にtetsuya(B)を中心に大阪で結成。インディーズシーンで絶大な人気を得て、1994年7月にビデオシングル「眠りによせて」でメジャーデビューを果たす。その後多数のヒットシングルを連発。ハイクオリティなサウンドとキャッチーなメロディ、シングル3枚やアルバム2枚の同時リリースなどでも話題を集めた。近年は各メンバーのソロ活動と並行しつつ、海外でのライヴも実施。2011年1月1日には結成20周年の幕開けを飾る、約2年半ぶりのワンマンライヴを幕張メッセで開催した。2月16日にはベストアルバム3作品を同時リリースするなど、精力的な活動を展開している。