ナタリー PowerPush - L'Arc-en-Ciel
バンド結成20年の歴史を振り返るメンバー4人ソロインタビュー
岡野さんは5人目のメンバーって感じ
そして「HEART」ってアルバムから岡野(ハジメ)さんがプロデューサーとして参加するんですけど、岡野さんの功績ってのはすごいでかくて。僕的にはちょっとプロデューサーって馬が合わなくって毛嫌いするぐらいのところがあったんだけど。しかも岡野さんは前評判がすごく怖くて(笑)。
──(笑)。怖い人だと。
めちゃめちゃ怖いって聞いてたから、ちょっと不安だったんだけど、でもみんなDEAD ENDが大好きだから、試してみたいって言って。まあでも怖いところは確かにあったんだけど、やっぱりすごい人だなと思うし、俺たちと人としても音楽的にも合った。今となっては岡野さんなしのレコーディングは考えられないくらいに5人目のメンバーって感じですね。
──「HEART」に続いて3枚同時にシングル「花葬」「浸食-lose control-」「HONEY」をリリースします。
その時期は時代が寄り添ってきてすごく俺らの味方をしてくれたんで、メディアを使って遊ぶことができたんですよね。おちょくってるっていうか、調子に乗ってますよね、完全に(笑)。シングル3枚一緒に出すって、世の中的にはもうあり得ないんじゃないかな。あと、よく「今までの歴史のなかで、どのコンサートが一番記憶にありますか」って訊かれるけど、まさにこのときの「1999 GRAND CROSS TOUR」ですね。このコンサートはホントにいまだに夢のように思いますね。人の地平線に向かって歌えたという。なかなかそんな人はいないだろうと思うから。この時期の集大成ですね。
ソロ活動からL'Arc-en-Cielへの還元
──「1999 GRAND CROSS TOUR」あたりから、ベスト盤でいうと「TWENITY 2000-2010」に入っていきますね。
そうですね、このへんから今につながっている。あと、この頃からソロが徐々にスタートし始めたんだけど。ソロをやっていろいろな世界観を知ることによって、L'Arc-en-Cielに還元することが逆に多くなったんですよね。歌い方がやっと変わった。だからその頃L'Arc-en-Cielに戻ったときに、L'Arc-en-Cielの歌がすごく歌いやすくなって。歌いやすいっていうか、うまく感情を込められる。今までも感情を込めてたんだけど、それが声になってなかった。ただの精神であって、声でその精神を伝えられてなかったんじゃないかなと思うんですよね。ソロをやることによって、ちょっと自分を見つめることが多くなったのかな? 歌うことの喜びが少しずつ見え始めて、歌い方も、歌手っぽくなったというか。普通のプロの人っぽくなったというかね(笑)。いまだに僕、ボイトレとか実際3日しか行ったことないんで、基礎がまったくできてないと自分では思ってる。でも今、基礎的なことをどっかで意識して歌ってる。やっぱソロやってないと、そこは気づかなかったんじゃないかなと思う。ヴォーカリストとしての幅もガッと広がったと思う。L'Arc-en-Cielだとシャウトしなかったりするから。シャウトもきれいになってきたし。
──シャウトも含めて、声の種類がすごく増えましたよね。
自分のヴォーカルスタイルっていうのは、正直あってないようなもんだと思ってた。逆に、それがないからこそバリエーションが多いと思ってたんですよね。でも、まさに「REAL」ぐらいから、それが俺の武器だなと思い始めて。1曲のなかにいっぱい声の種類が出てくるのもありだなっていうか。今にして思うと、海外のアーティストでは当たり前なんだけど、日本は1種類の声で全部歌ってしまう人が多いんですよ。すっげえ歌うまいけど1本で終わってしまう人が多いなって、よくテレビを見てて思う。で、自分はちゃんとひずんだ声も出るし、ファルセットも出るし。だから最近は、それは自分の武器だなと思ってる。ただ、今まで歌に対して軽く見てたところがあるから、そこが自分の弱点っていうのにも気づいて。だから少し、ちゃんと歌おうっていうか。前は適当だったんで、歌えばいいんだろぐらいだったんで、ちょっと最近は真面目に練習したりとかして(笑)。
──20年目にして言うことなんですか(笑)。
20年目にしてたどり着いたの、ちゃんと歌おうって(笑)。
──それはすごい(笑)。
20年目にしてやっとわかったんでしょうね。僕はあんまり研究するタイプの人じゃないんですよ。
「TWENITY 1991-1996」収録曲
- Voice
- Floods of tears
- As if in a dream
- Blurry Eyes
- In the Air
- White Feathers
- Vivid Colors
- 夏の憂鬱 [time to say good-bye]
- I'm so happy
- flower
- さようなら
- Lies and Truth ("True"Mix)
- 賽は投げられた
- Caress of Venus
- "good-morning Hide"
「TWENITY 1997-1999」収録曲
- 虹 (Album Version)
- winter fall
- LORELEY
- Shout at the Devil
- fate
- あなた
- HONEY
- 花葬
- snow drop [ray mix]
- HEAVEN'S DRIVE
- Pieces [ark mix]
- Driver's High
- 真実と幻想と
- Sell my Soul
- いばらの涙
「TWENITY 2000-2010」収録曲
- NEO UNIVERSE
- finale
- STAY AWAY
- get out from the shell
- READY STEADY GO
- 瞳の住人
- REVELATION
- New World
- 叙情詩
- AS ONE
- Link -KISS Mix-
- MY HEART DRAWS A DREAM
- DAYBREAK'S BELL
- Pretty girl
- I Love Rock'n Roll
L'Arc-en-Ciel(らるくあんしえる)
1991年にtetsuya(B)を中心に大阪で結成。インディーズシーンで絶大な人気を得て、1994年7月にビデオシングル「眠りによせて」でメジャーデビューを果たす。その後多数のヒットシングルを連発。ハイクオリティなサウンドとキャッチーなメロディ、シングル3枚やアルバム2枚の同時リリースなどでも話題を集めた。近年は各メンバーのソロ活動と並行しつつ、海外でのライヴも実施。2011年1月1日には結成20周年の幕開けを飾る、約2年半ぶりのワンマンライヴを幕張メッセで開催した。2月16日にはベストアルバム3作品を同時リリースするなど、精力的な活動を展開している。