ナタリー PowerPush - L'Arc-en-Ciel
バンド結成20年の歴史を振り返るメンバー4人ソロインタビュー
「この日が休みです。曲作ってください」
──では話を戻して。「TWENITY 1997-1999」。3年の間に、まぁ本当、これだけ……ねぇ……。
はははは(笑)。なんでこのアルバムだけ3年しかないんだ? と(笑)。
──いや、そんな(笑)。改めて、非常に濃い3年だったんだなぁって思いまして。
ねー。ギター練習する時間は全然なかった時期。当時のスタッフとの会話で「今度、この日が休みです。曲作ってください」って。「休みじゃないじゃん、それ!」みたいな(笑)。そうやって曲作って、レコーディングして、ライヴしてって毎日だったよね。レコーディング、レコーディング、撮影、あぁ撮影だ、テレビ、テレビだー、はい、あー、だーって感じ(笑)。そういう状況の中だと、曲を書くためにギターを練習したいって思いもなかった。たぶん、そう思う暇もなかったのかな。時間があったら、練習したものを音楽にしてっていうことに気がついて、練習の時間が欲しいって思ったかもしれない。
──このベスト盤でのkenさんの曲は、ミディアムな曲が多い印象が。
どれぐらいの速さがミディアムって言うのかはわからないけど、確かに「花葬」とか「fate」とか書いているときは、それぐらいのテンポ感が気持ちよくて仕方なかったっていうのは覚えてますね。テンポ萌えしてた。そのテンポを聴くだけで気持ちよくなってたんだよ。
──この20年の間、ほかにどんな萌えがありました?
んとね~、このアルバムとは時期が違うけど、ストリングス萌えがあったな。あと、「TWENITY 1997-1999」の中だと、「虹」の時期はアルペジオ萌えしてたね。
お気楽な感じで書き始めた「Pretty girl」
──「TWENITY 2000-2010」に来るとどんな変化が?
これはもうだいぶ最近になっちゃうんだけど、曲作りの上でハード的な変化があって。PCにシンセのソフトを入れて、それを使うようになったんですよね。それまでシンセはシンセで、保存して、それをまた一緒にしてって作業だったんだけど、それが一発で保存できるようになった。自分の頭の中で鳴っている音を、より鳴っているのに近い形で早く出せるようになった、それが自分の中では結構大きくて。よりシンセにロマンを求められるようになったっていう感じだったんだよね。「MY HEART DRAWS A DREAM」なんかは、そういう中で作った曲ですね。
──3枚のベスト盤の中で、唯一、作詞と作曲の両方にkenさんの名前がクレジットされているのが「Pretty girl」。この曲が収録されたアルバム「KISS」リリース後のツアーでも、客席がすごく盛り上がってましたね。
「Pretty girl」は「KISS」を作るにあたって、いろんな曲を作って出したけどもう1曲書いてみよっかなーって、お気楽な感じで書き始めた曲。歌詞もゲラゲラ笑いながら書いたんだよ。わざわざスタッフのいるところに行って、賑やかなところで歌詞書いてたもん。「ねぇ、この歌詞どう?」って見せて「そのフレーズすごいね。今時なかなかないよ。面白い」「面白いなら、OK!(笑)」って。歌詞についてはね、レコーディングのとき、hydeもなんか言ってたな……。「『○○だぜ』って、なんなん?」とか言いながら、『だぜ』ってちゃんと歌ってた(笑)。
──ライヴ映えする曲ですけど、ライヴで盛り上がるだろうな、とは思ってました?
あ、それは、わかってなかった(笑)。そしたらライヴでみんなノリノリで、盛り上がるから、それを観てまた面白いなぁって。お、こんなにみんなで楽しめる曲なんだって思ったんだよね。だからまぁ、そういう曲なんで……次もライヴでやった時には、盛り上がってほしいなぁっていうか(笑)。「『Pretty girl』、この間は盛り上がったけど、今はもう無理」とか、言われたくないな(笑)。「この間のライヴはたまたまだった」とかだったら、なんか、ショック(笑)。
「TWENITY 1991-1996」収録曲
- Voice
- Floods of tears
- As if in a dream
- Blurry Eyes
- In the Air
- White Feathers
- Vivid Colors
- 夏の憂鬱 [time to say good-bye]
- I'm so happy
- flower
- さようなら
- Lies and Truth ("True"Mix)
- 賽は投げられた
- Caress of Venus
- "good-morning Hide"
「TWENITY 1997-1999」収録曲
- 虹 (Album Version)
- winter fall
- LORELEY
- Shout at the Devil
- fate
- あなた
- HONEY
- 花葬
- snow drop [ray mix]
- HEAVEN'S DRIVE
- Pieces [ark mix]
- Driver's High
- 真実と幻想と
- Sell my Soul
- いばらの涙
「TWENITY 2000-2010」収録曲
- NEO UNIVERSE
- finale
- STAY AWAY
- get out from the shell
- READY STEADY GO
- 瞳の住人
- REVELATION
- New World
- 叙情詩
- AS ONE
- Link -KISS Mix-
- MY HEART DRAWS A DREAM
- DAYBREAK'S BELL
- Pretty girl
- I Love Rock'n Roll
L'Arc-en-Ciel(らるくあんしえる)
1991年にtetsuya(B)を中心に大阪で結成。インディーズシーンで絶大な人気を得て、1994年7月にビデオシングル「眠りによせて」でメジャーデビューを果たす。その後多数のヒットシングルを連発。ハイクオリティなサウンドとキャッチーなメロディ、シングル3枚やアルバム2枚の同時リリースなどでも話題を集めた。近年は各メンバーのソロ活動と並行しつつ、海外でのライヴも実施。2011年1月1日には結成20周年の幕開けを飾る、約2年半ぶりのワンマンライヴを幕張メッセで開催した。2月16日にはベストアルバム3作品を同時リリースするなど、精力的な活動を展開している。