ナタリー PowerPush - L'Arc-en-Ciel
バンド結成20年の歴史を振り返るメンバー4人ソロインタビュー
今年バンド結成20周年を迎えるL'Arc-en-Cielが、アニバーサリーイヤーを記念したベストアルバム3作品「TWENITY 1991-1996」「TWENITY 1997-1999」「TWENITY 2000-2010」を同時リリース。この作品にはインディーズ期の貴重な音源から時代を彩った大ヒット曲、彼らの現在のモードを伝える最新曲まで、幅広いナンバーが収録されている。
結成からの20年間、彼らがたどってきた道のりはどんなものだったのか。華やかな歴史の裏側で起きた出来事、楽曲に対する思い、長い活動を経ての自身の変化などについて、メンバーそれぞれが語った。
みんなで一生懸命作った「虹」
──「TWENITY 1991-1996」にはメジャーデビュー当時の楽曲が多数収録されていますが、その当時のバンドの状況はどんな感じだったんでしょうか。
メジャーデビューが決まって、レーベルに任せていろいろスタートしたんだけど「ちょっとおかしくない?」っていう感じのところと、自分たちの実力が伴ってないところがポロポロ見え始めて、実際にツアーファイナルの東京ベイNKホールも埋まらなかったんですよ。それまでは順調にソールドアウトしてたのに。だから、これはちょっと違うなって思い始めた。「Tierra」ってアルバムは最終的には良くなったけど、かなり試行錯誤して時間をかけましたね。で、2ndアルバム「heavenly」から、結構L'Arc-en-Ciel主体になっていって、そこから、やっと全国プロモーションとかやり始めたんです。ライヴも「このままじゃ良くない」って言って、もう1回ライヴハウスからやろうって言って、ゼロからスタートしたの。それで2回目の東京ベイNKホールは埋まったんですよね。リベンジっていうタイトルで(笑)。
──この時期のアルバムはどんな作品だと思っていますか?
「heavenly」は軽快に作った印象。軽々とというか、「Tierra」はレコーディングに時間がすごくかかったから、「heavenly」はもうちょっとスピード感を上げて作ったような記憶がありますね。で、次の「True」はすごくバランスの良い、できたアルバムだなと思う。L'Arc-en-Cielの前期の集大成というか、歌ものになった感じがあるんだけど、曲によってプロデューサーを変えたりしてクオリティが高い感じがする。
──その後、1997年には活動再開後初のシングル「虹」がリリースされましたね。
僕、普段からイメージ先行で曲を作る人で、もともと目標の下絵を描いて、そこに曲を合わせていくという作り方をするんです。だけど、この1曲目がどうしてもうまくできなくて。そうしたら、kenちゃんが僕のイメージどおりの力強くて美しい曲を作ってきたのがすごいうれしかった。この曲はみんなで一生懸命作ったような印象。みんなすごく重要に思ってたんじゃないかな。
──危機感みたいなものはありましたか?
危機感というよりも、やっぱメンバーがいない“空白”はあったかなとは思う。心の空白というか。レコーディング中は、ユッキーが正式メンバーになるとは決まってなかったからね。空白はありながら、一生懸命作ったっていう感じかな。
時代の中でいかにカッコよく表現できるか
──そして東京ドームで初のワンマンライヴを敢行しました。
その頃俺、正直言うと、そんなに売れっ子アーティストになりたかったわけでもなくて。
──そうなんですか(笑)。
むしろGASTUNKとか、DEAD ENDに憧れてたんで。
──(笑)。
まさかテレビで歌うとかそこまで思ってなかったんですね。でも、いざこの世界に入って、自分の芸術を表現したいときって、売れてないとできないことが多くて。例えばコンサートでこういうことがしたい、こんなミュージッククリップを作りたいと思っても、お金がないというか動員がないとできなかったりする。それで「どういう曲を作ればみんなに受け入れられるか」を意識するようになった。「flower」はまさにそうでした。僕的にアコースティックな曲が新鮮に感じていたころで、今ここでちょっと幻想的な、でもアコースティックな曲を作ると売れるんじゃないかなとか思った。もちろん売れるって言ったらちょっと語弊あるかもしんないけど。僕ね、セールスという視点を離れてる作品、時代と噛み合わない作品は少し逃げてるように取れるなとも思うんですよね。やっぱり時代の中でいかにカッコよく表現できるかっていうのが、プロとして自分たちの目指すべきところかなと思う。
──なるほど。
「TWENITY 1991-1996」収録曲
- Voice
- Floods of tears
- As if in a dream
- Blurry Eyes
- In the Air
- White Feathers
- Vivid Colors
- 夏の憂鬱 [time to say good-bye]
- I'm so happy
- flower
- さようなら
- Lies and Truth ("True"Mix)
- 賽は投げられた
- Caress of Venus
- "good-morning Hide"
「TWENITY 1997-1999」収録曲
- 虹 (Album Version)
- winter fall
- LORELEY
- Shout at the Devil
- fate
- あなた
- HONEY
- 花葬
- snow drop [ray mix]
- HEAVEN'S DRIVE
- Pieces [ark mix]
- Driver's High
- 真実と幻想と
- Sell my Soul
- いばらの涙
「TWENITY 2000-2010」収録曲
- NEO UNIVERSE
- finale
- STAY AWAY
- get out from the shell
- READY STEADY GO
- 瞳の住人
- REVELATION
- New World
- 叙情詩
- AS ONE
- Link -KISS Mix-
- MY HEART DRAWS A DREAM
- DAYBREAK'S BELL
- Pretty girl
- I Love Rock'n Roll
L'Arc-en-Ciel(らるくあんしえる)
1991年にtetsuya(B)を中心に大阪で結成。インディーズシーンで絶大な人気を得て、1994年7月にビデオシングル「眠りによせて」でメジャーデビューを果たす。その後多数のヒットシングルを連発。ハイクオリティなサウンドとキャッチーなメロディ、シングル3枚やアルバム2枚の同時リリースなどでも話題を集めた。近年は各メンバーのソロ活動と並行しつつ、海外でのライヴも実施。2011年1月1日には結成20周年の幕開けを飾る、約2年半ぶりのワンマンライヴを幕張メッセで開催した。2月16日にはベストアルバム3作品を同時リリースするなど、精力的な活動を展開している。