ナタリー PowerPush - L'Arc-en-Ciel

バンド結成20年の歴史を振り返るメンバー4人ソロインタビュー

Part 1 / ken

ファンのみなさんと同じ気分で聴きたい

──「TWENITY」収録曲のセレクト、曲数が多くて大変だったんじゃないですか？

こういうベスト盤の曲を選ぶときって、自分の中でいくらでもパターンが出てくると思うんですね。例えば自分が聴きたいと思う曲がその日の気分で変わったりするし。だから今回は、選んだその日の気分で並べて「これだ」って言って出したまま。で、俺「FIVE LIVE ARCHIVES 2」も含めて、いつもできあがってから聴いたり観たりするのを楽しみにしてる感じなんだよね。ファンのみなさんと同じ気分で「ほぉー、新鮮だ！」と思って聴きたいと思ってる。

──なるほど。それは、オリジナルアルバムではできない楽しみ方ですよね？

そうそう。オリジナルだと、レコーディングで何回も聴くでしょ。自分のギターを録るのに何回も聴くし、歌録り、ミックスでも聴いて。さらに曲順とかも考えているときも聴く。そうやって何度も何度も聴いたものがリリースされる。そのときの聴く感触っていうのが、やっぱり、今回のようなベスト盤とは違うんですよね。だから「TWENITY」とかは、3枚ともどう聴こえるんだろうなぁ……って。発売日を楽しみにしているタイプ（笑）。

──3枚のベスト盤の収録曲を見て、ご自分の曲の書き方や、曲調に変遷を感じる部分はありますか？

そうですね……L'Arc-en-Cielに入る前は、大勢の人に聴いてもらえるとか考えずに曲を作っていたんですよね。

──「TWENITY 1991-1996」にかかってくるお話だと思うんですが、入る前の曲を作る目的は何だったんですか？

今でも根本は同じなんですけど、曲を書くのが好き、ギター弾くのが好き、以上！っていう（笑）。書いたからどうなる、書いた後にどうするっていうのはなくて、ただ単に曲を書くのが好きだから書いてたんです。「TWENITY 1991-1996」の1曲目に入っている「Voice」なんかは、そういう中で作った曲。

楽しさがあるから厳しさを感じない

──できあがった曲をバンドで演奏するという概念もなかった？

うん、なかった。だからL'Arc-en-Cielに入って初めて「あ、お客さんに自分が書いた曲が届くんだ」って体験して。入る前の曲の作り方って、弾いて、曲作って、イェーイ、楽しい、いい曲だーっっていう。そういう感じだったな。それで自分が気持ちいいから、良かったんだよね。作って自分が聴くっていう、そういう関係で完結してた。

──L'Arc-en-Cielに入って、聴くお客さんがいるっていう、新しい気持ちよさがあることを発見した？

そうそう。曲を作る人と聴いてくれる人っていう……そういう関係性があるんだ、なるほど、あぁ、すごいな～って思ったんだよね。で、ライヴをしていくと、4人で演奏するっていうことの気持ちよさにも気が付いた。そしてライヴでは聴いてくれるお客さんがいるっていう気持ちよさにも気が付いて、ライヴも気持ちよくなっていったんだよね。

──そういう“新しい気持ちよさ”を知っても、曲を書く充実感は相変わらず強かったんでしょうか？

それは変わらずにあったんだけど、自分の中でいろいろ変わっていった部分もありますね。最初は、自分の感覚をポーンと出すって感じで曲を作っていたところがあるのね。でも最近は、もう少しギターとかの練習をして、練習の上に出てくるものが見たいな、そういう曲を聴きたい、書きたいなっていう風になってきた。できることが増えていったら自然と間口が広くなって、これまで以上に感覚が出てくるんじゃないかと。ここ数年、最近特にそう思うようになったんだよね。

──お話を聞いていると、自分が曲を書くという行為に対して、いつもフレキシブルであろうとするし、だからこそ厳しい目を持っているように感じるんですよね。

そう？（笑）んー……、方法や考え方が、いろいろ変わったりしても、根本は、まずは自分が気持ちよくなりたいと思って曲を書いてるんですよ。だから周囲から見たら厳しいと思われるようなことでも、俺の中には楽しさがあるから、厳しさを感じない。楽しさがあるから、平気っていう感じかなぁ。その日その日で、自分が気持ちよく聴ける音楽って違うから、そこは大切にしていたいなと思うし、そういう音楽を作っていきたいなっていうのは変わらずありますね。

「TWENITY 1991-1996」収録曲

Voice
Floods of tears
As if in a dream
Blurry Eyes
In the Air
White Feathers
Vivid Colors
夏の憂鬱 [time to say good-bye]
I'm so happy
flower
さようなら
Lies and Truth ("True"Mix)
賽は投げられた
Caress of Venus
"good-morning Hide"

「TWENITY 1997-1999」収録曲

虹 (Album Version)
winter fall
LORELEY
Shout at the Devil
fate
あなた
HONEY
花葬
snow drop [ray mix]
HEAVEN'S DRIVE
Pieces [ark mix]
Driver's High
真実と幻想と
Sell my Soul
いばらの涙

「TWENITY 2000-2010」収録曲

NEO UNIVERSE
finale
STAY AWAY
get out from the shell
READY STEADY GO
瞳の住人
REVELATION
New World
叙情詩
AS ONE
Link -KISS Mix-
MY HEART DRAWS A DREAM
DAYBREAK'S BELL
Pretty girl
I Love Rock'n Roll

L'Arc-en-Ciel（らるくあんしえる）

1991年にtetsuya（B）を中心に大阪で結成。インディーズシーンで絶大な人気を得て、1994年7月にビデオシングル「眠りによせて」でメジャーデビューを果たす。その後多数のヒットシングルを連発。ハイクオリティなサウンドとキャッチーなメロディ、シングル3枚やアルバム2枚の同時リリースなどでも話題を集めた。近年は各メンバーのソロ活動と並行しつつ、海外でのライヴも実施。2011年1月1日には結成20周年の幕開けを飾る、約2年半ぶりのワンマンライヴを幕張メッセで開催した。2月16日にはベストアルバム3作品を同時リリースするなど、精力的な活動を展開している。