ナタリー PowerPush - L'Arc-en-Ciel
バンド結成20年の歴史を振り返るメンバー4人ソロインタビュー
不思議と成功する自信はあった
──L'Arc-en-Ciel結成20年ということになります。バンドの創始者であるtetsuyaさんが最もその重みを感じているのではないかと思うのですが、いかがです?
20年っていうのは自分でもびっくりですね(笑)。
──やっと20年という感じですか? それとももう20年?
もう20年ですね。早かったです。
──それだけ密度の濃い活動を展開してきたということだと思うのですが、20年やってきて、なおかつ今も音楽シーンの最前線で走り続けているというのはとてつもないことだと思います。
おそらく世界的に見ても20年続いてるバンドは少ないと思うので、それだけでもすごいことですよね。ファンとメンバーに感謝しないといけないなと思ってます。
──tetsuyaさんのソロアルバム「COME ON!」の中の「In My HEART」という曲はL'Arc-en-Cielへのオマージュソングですが、その中の「僕らが進む未来 輝き増して行く」というフレーズがとても印象的でした。L'Arc-en-Ciel結成当時、バンドの未来図を描いていましたか?
基本的にL'Arc-en-Cielを作った時から、僕の考え方は変わっていないと思います。さすがに20年後のことまでは考えてなかったですけれど、不思議と成功する自信はありましたね。
何もやれてない段階で先に行きたくなかった
──L'Arc-en-Cielでの最初のライヴは1991年5月30日の難波ロケッツということになりますが、そのときのことは覚えていますか?
はい、対バン形式ではあったんですけど、僕らだけで120~30人は集まったんですよ。自信はあったけれど、まわりからは「ファーストライヴでそれだけ動員するのはすごいことだ」と言われました。
──動員数を増やす努力は?
もちろんしましたよ。いくらいいライヴをやったとしても、観に来る人がいなければ広がらないわけだから。1人でも多くのお客さんに集まってもらうために、考えつくことはすべてやりました。
──具体的にはどういうことをやったのですか?
それは企業秘密ですよ(笑)。まずちゃんとしたアー写を撮って、チラシやフライヤーを作りました。ただし、メンバーが直接配ったことは一度もないです。よくアマチュアの子が自分達でチラシ配ったりしますが、L'Arc-en-Cielはそういうことを一度もしたことがないんですよ。最初からそういうブランディングを考えてましたね。
──その後、動員数は着実に増えていったんですか?
まあそうですね。半年後の初ワンマンでは300人動員しましたから。
──音源の制作に関しては、どんな方針だったのですか?
当時、デモテープやデモ音源を作ってライヴ会場で売っていくということをやるアーティストが周りにたくさんいたんですけど、僕たちはそういうことも一切やってないんですよ。デモを売ったことは一度もない。L'Arc-en-Cielにとっての初の音源は「GIMMICK」っていうオムニバスアルバムに収録されている「Voice」という曲なんですが、そのアルバムもメジャーのレーベルからリリースされていますし。あと、インディーズバンドに群がる大人っていっぱいいるんですよ、今も昔も。ライヴハウスでちょっと動員があると聞くと、すぐ飛んできて「うちでやらないか」って声をかけてくる、金儲けを考える大人たちがたくさんいる。俺らのとこにもいっぱい来ました。自分たち的にはタイミングとしてまだ何も出したくなかったので、メジャーから話が来ても断っていました。
──それはまだ世の中に出るには早すぎると思ったのですか?
自分たちが納得できるタイミングでしたいということですよね。バンドを結成して間もないし、ツアーも回ってない、何もやれてないという段階で先に行きたくなかった。やるべきことを1個1個つぶしていきたかった。階段を1段ずつ上がってるときに、いきなりエレベーターで飛び越えて行こうよという話には乗らなかったということですね。
「TWENITY 1991-1996」収録曲
- Voice
- Floods of tears
- As if in a dream
- Blurry Eyes
- In the Air
- White Feathers
- Vivid Colors
- 夏の憂鬱 [time to say good-bye]
- I'm so happy
- flower
- さようなら
- Lies and Truth ("True"Mix)
- 賽は投げられた
- Caress of Venus
- "good-morning Hide"
「TWENITY 1997-1999」収録曲
- 虹 (Album Version)
- winter fall
- LORELEY
- Shout at the Devil
- fate
- あなた
- HONEY
- 花葬
- snow drop [ray mix]
- HEAVEN'S DRIVE
- Pieces [ark mix]
- Driver's High
- 真実と幻想と
- Sell my Soul
- いばらの涙
「TWENITY 2000-2010」収録曲
- NEO UNIVERSE
- finale
- STAY AWAY
- get out from the shell
- READY STEADY GO
- 瞳の住人
- REVELATION
- New World
- 叙情詩
- AS ONE
- Link -KISS Mix-
- MY HEART DRAWS A DREAM
- DAYBREAK'S BELL
- Pretty girl
- I Love Rock'n Roll
L'Arc-en-Ciel(らるくあんしえる)
1991年にtetsuya(B)を中心に大阪で結成。インディーズシーンで絶大な人気を得て、1994年7月にビデオシングル「眠りによせて」でメジャーデビューを果たす。その後多数のヒットシングルを連発。ハイクオリティなサウンドとキャッチーなメロディ、シングル3枚やアルバム2枚の同時リリースなどでも話題を集めた。近年は各メンバーのソロ活動と並行しつつ、海外でのライヴも実施。2011年1月1日には結成20周年の幕開けを飾る、約2年半ぶりのワンマンライヴを幕張メッセで開催した。2月16日にはベストアルバム3作品を同時リリースするなど、精力的な活動を展開している。