9月19日にはデビューからの15年を振り返る初のベストアルバム「Best of GRAPEVINE 1997-2012」をリリースし、記念ライブの大阪公演も開催した彼ら。今回の東京公演ではメジャーデビュー前の楽曲から最新のナンバーまで、バンドの歴史をたどるセットリストでオーディエンスを楽しませた。
ステージにメンバー全員が現れ、田中和将(Vo, G)が「こんばんは!」と挨拶した後、始まったのは今年2月にリリースされた最新ミニアルバムからタイトル曲「MISOGI」そして「YOROI」。「MISOGI」のゆったりとした雰囲気が「YOROI」でダークなムードへと変貌し、その後の「スレドニ・ヴァシュター」で観客の心を一気にステージに引き込んでいく。場内の緊張を柔らかな音色でほぐした「This Town」が終わると、田中のMCへ。「3階! 2階! アリーナ!(笑)」と客席に呼びかけて笑いを誘い、「今日は特別な仕掛けがあると思ったでしょ? どシンプルにやります(笑)。みなさんのために心を込めて演奏しますので」と、このステージに込めた思いを語った。
金戸覚(B)と高野勲(Key, G)がパーカッションを叩き、田中がアコギを奏でた「Darlin' from hell」では、後半で金戸のベースを中心に深みのある音像が作り上げられる。会場全体を徐々にディープな世界へいざなうように、「smalltown, superhero」から「豚の皿」へ。壮絶な演奏が終わると田中はほっとしたように軽く客席に向けて頭を下げ、息を呑んで聴き入っていたオーディエンスも一斉に大きな拍手を送っていた。
田中はここで「さかのぼってんの気づきましたか?」と、この日のセットリストが最新のナンバーから昔の楽曲へと歴史を遡る順番になっていることを語る。「まだまだ行きますよ。次も懐かしいやつ」という言葉に続いては、「(All the young) Yellow」。西川弘剛(G)の印象的なギターイントロに、客席から大歓声が起こる。間奏では高野と西川がファンキーなソロ合戦を繰り広げ、会場をさらに盛り上げた。そして「スロウ」「涙と身体」と往年のファンにはたまらないスローなナンバーを連発。ここで初めてステージ全体が明るく照らし出され、彼らのメジャーデビュー作のリード曲「覚醒」が始まる。骨太なサウンドの中にもバインならではの自由さが感じられる演奏で、15年のキャリアを改めて感じさせた。
ここで“さかのぼり”のセットリストは一段落し、その後はさまざまな時代の楽曲を披露していく。涼やかなギターの音色が響く「FLY」、ダイナミックなバンドサウンドで客席を熱狂させた「マダカレークッテナイデショー」、亀井亨(Dr)と金戸による力強い3拍子のリズムが繊細なメロディを支えた「here」。本編最後に披露されたのは「光について」。ステージ上は暗転し、いくつかの小さな明かりが灯る中で田中は客席に語りかけるように歌う。最後の1フレーズ「僕らはまだここにあるさ」で、真っ白な光が一気にステージを満たす。楽曲の世界観を強力にアピールする演出で、本編を感動的に締めくくった。
アンコールで再びステージに登場したメンバーは、ビールを片手に若干リラックスした表情。そんな和やかなムードのまま、西川と高野が向かい合ってタムを叩く「鳩」、さらにメジャーデビュー前の名曲「TIME IS ON YOUR BACK」を披露。「その未来」で再び場内をスリリングな雰囲気に導いた後は、「会いにいく」の穏やかなサウンドをゆったりと響かせる。1回目のアンコールが終わっても観客の手拍子は鳴りやまず、ダブルアンコールへ。3たびステージに現れた田中は「感無量で何もしゃべることがありません。これからもよろしくお願いします」と笑顔であいさつ。「エレウテリア」をしっとりと演奏し、いよいよこの日最後のナンバー「Everyman, everywhere」へ。静かなイントロから始まった曲が壮大な世界へ広がりを見せ、会場を独特の一体感へ誘う。演奏が終わるとメンバーはゆっくりと頭を下げ、満ち足りた表情でステージを降りていった。
2012年9月26日 東京都 NHKホール
「GRAPEVINE 15th ANNIVERSARY LIVE」セットリスト
01. MISOGI
02. YOROI
03. スレドニ・ヴァシュター
04. Glare
05. This Town
06. 真昼の子供たち
07. Darlin' from hell
08. smalltown, superhero
09. 豚の皿
10. アナザーワールド
11. (All the young)Yellow
12. スロウ
13. 涙と身体
14. 覚醒
15. FLY
16. BREAKTHROUGH
17. マダカレークッテナイデショー
18. CORE
19. here
20. 光について
<アンコール>
21. 鳩
22. TIME IS ON YOUR BACK
23. その未来
24. 会いにいく
25. エレウテリア
26. Everyman, everywhere
※記事初出時、公演日に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
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当たり前のことですが、15周年ライブから5年も経ったんですね。マッハです。https://t.co/IJwIp9r95L