声優として数多くの話題作に出演し、アーティストとしてもそれぞれ東京・日本武道館での単独公演を成功させるなど、人気声優、アーティストとして業界の第一線で活躍している内田真礼と内田雄馬。実の姉弟である2人のコラボシングル「Carnival / BIG LOVE」がリリースされた。
内田姉弟はこれまで声優としての共演経験があるほか、アーティストとして同じフェスのステージに立つなど活動の接点はあったが、2人で楽曲を発表するのは初めて。音楽ナタリーではシングルの収録曲のうち、オーイシマサヨシが提供した「BIG LOVE」にフォーカスし、内田姉弟とオーイシの3人によるクロストークを企画した。取材は神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールで開催され、オーイシもゲスト出演した内田姉弟による初の対バンライブ「YUMA UCHIDA LIVE “VS YUMA 001- 内田真礼”」9月29日公演の終演直後に実施。3者のコラボが実現した経緯、お互いの印象、対バンライブを終えての感想などを語り合ってもらった。
取材・文 / 西廣智一
弟と一緒にいるときは“解放されている”
──真礼さんと雄馬さんはこれまでも声優としていろんな場面で共演していますが、その都度お二人の発言ややりとりからお互いに対する愛情がストレートに伝わってきます。この関係性はどうやって築かれたものなんでしょう?
内田雄馬 しゃべらない期間っていうのがほとんどないくらい、ずっと何かしらコミュニケーションを取ってきたんですよね。
内田真礼 うんうん。ケンカをしても特に長引くようなこともないし。
雄馬 「この期間は仲が悪くて」みたいなことは、まったくないよね。
真礼 30年以上一緒にいますけど、本当に思い当たらないです。
雄馬 あと、姉さんはいろんなことを積極的に吸収していく人で、いいと思ったものはすぐ家に持ち帰ってくるんです。実家にいた頃は、例えば姉さんが忌野清志郎さんにハマったときはそればかりずっと聴いていましたし。
オーイシマサヨシ えー! 内田真礼が忌野清志郎を? そうなんだ!
真礼 RCサクセションが大好きで(笑)。
雄馬 そういう形でいろんな影響を姉さんから受けてきたので、弟的には面白いものにポジティブに触れられていましたね。
真礼 ちょうど先日MBTI診断をしてみたら、私は主人公タイプで、雄馬と母が仲介者タイプだとわかって。「ああ、だから仲がいいんだ!」といろいろと調べて実感しました。私はやりたいことをとことん追求する我が道を進むタイプなんですけど、それを受け止めてくれる弟や家族がいるという状況のおかげですごく生きやすいんだと思います。で、そういう日常がいつの間にか当たり前になって、今も続いている。ほかの誰といるときよりも自由で解放されているから、信頼できるんだと思います。
オーイシ わかるなあ、その解放されてる感じ。今日のライブを観ていても、いつもアニソンフェスでお会いする内田真礼のテンションとちょっと違う気がしたし。楽屋でも話したんですけど、「お姉さん出てるね?」って(笑)。
真礼 あははは!
オーイシ しゃべってる内容も声のトーンも普段と違っていて、そのあたりも2人が一緒にいるからこそ出てくる化学反応なのかなと思いました。
オーイシマサヨシはアーティストとしての理想の姿
──お二人にとってオーイシさんはどんな存在ですか?
オーイシ いやいや、そんな難しい質問ないですって……メガネ以外でお願いしますね(笑)。
真礼 オーイシさんには何度も曲を書いていただいたり、フェスでコラボさせていただいたりしましたが、私にとっては理性的で自分が見えている世界がくっきりしている、アーティストとしてこうなりたいという理想の姿です。
オーイシ えーっ、そんなそぶり1つも見せないじゃないですか!(笑)
真礼 本当ですって(笑)。今日もリハーサルのときに思いましたけど、自分がこうありたいという姿がちゃんとわかっている人だなと。あと、私や雄馬のことも含め、周りの人に対する立ち振る舞いが完璧。以前、私と伊藤美来ちゃんでオーイシさんをステージ上で挟んだときがあったじゃないですか。
オーイシ あったね、アニソンフェスで。演者が隣同士で手をつながないといけない流れがあったんですけど、そのときに「お前、本当につなぐのか?」っていうお客さんの鋭い視線をすごく感じたんですよ(笑)。
雄馬 (笑)
オーイシ で、結果どうしたかというと、僕はお二人が持っていたマイクのおしりのほうを握って、直接は手を握らなかったんです。小学生が仕方なく女子と手を握っている感じ。
真礼 そうそう。そういうところも、お客さんに対してしっかりエンタメとして消化するところとか、本当に素敵だなと思います。
雄馬 すごい、分析されてる(笑)。
オーイシ めっちゃ恥ずかしい!
真礼 だから、いつもお会いしたときは「今日はどの“おおいし”だろう? 漢字(大石昌良)かな、カタカナ(オーイシマサヨシ)かな?」と気にしているんですよ。
オーイシ 次から内田真礼に会うのが怖くなりました(笑)。
雄馬 僕がオーイシさんと初めてお会いしたのは、僕が声優を始めたばかりの頃で。確か「アニメマシテ」というテレビ番組がはじめましてだったんですけど。
オーイシ あったね、懐かしいなあ。
雄馬 あのときから今に至るまで、ずっと変わらない距離感と温度感で接してくれるんですよね。だって、デビューしたての若手に気さくに声をかけてくれるなんて、すごいことじゃないですか。そのあとに「アニサマ」(「Animelo Summer Live」)の発表会でお会いしたときも、まだ出会って2、3回目なのに「おーう!」ってラフに声をかけてくれたし(笑)。
オーイシ ……クソ恥ずかしいですね(笑)。
雄馬 それってなかなかできないことだし、僕はそこにめちゃくちゃ救われるんですよ。こういう方がいろんな人と人とをどんどんつないでいく、架け橋のような存在になるんだろうなって、めちゃくちゃ尊敬しています。
オーイシ ありがとうございます!
雄馬 だって、毎回会うのがうれしいし。
真礼 うん、うれしいよね。
オーイシ えーっ、本当に? (インタビュアーのほうを見て)ですって! ここ、太字でお願いします!(笑)
──(笑)。逆にオーイシさんにとって真礼さん、雄馬さんはどんな存在ですか?
オーイシ 内田家って、特にアニメ業界においては全国を巻き込んでいるような存在だと思っていて。2人それぞれのストーリーを歩んできて、こうやっていろんな影響力を持ってこのタイミングで交わっているわけじゃないですか。それって本当にかけがえのない瞬間じゃないかという気がしていて、だからこそ僕もそれにふさわしい楽曲を作りたいなと思いました。
真礼・雄馬 うれしい!
オーイシ 現場で会うと2人の持っている雰囲気やハッピーでハートフルなオーラに、こっちまで心が洗われますし。きっと全国の姉弟がこんなふうになりたいと思っているんじゃないかな。1人ひとりもそうだし、2人セットとしても宝物ですし、ずっと見守っていたいんですよ。
次のページ »
2人の声の相性は素晴らしい