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Tommy february6「♥Lonely in Gorgeous♥」ジャケ写

Tommy february6 ♥Lonely in Gorgeous♥

Y2Kブームの中での必然的な再評価、国内外で大きく再生数を伸ばす失恋ソング

文 / もりひでゆき

the brilliant greenの川瀬智子が2001年に立ち上げたソロプロジェクト、Tommy february6。川瀬の内面のブライトサイドを表現するというコンセプトのもと、メガネをトレードマークとするガーリーなファッションを身にまとい、ユーロビートやニューウェイブをはじめとする80年代洋楽ポップライクな楽曲で人気を博した。そんなTommy february6がにわかに再注目されている。2021年に過去のミュージックビデオ群がYouTubeで公開されたことをきっかけに、国内外からの反響がZ世代を中心に増加。今年に入ると、ドージャ・キャットがSNSにTommyのMVのURLを投稿したり、TWICEのナヨンやLE SSERAFIMのSAKURAがTommyにインスパイアされたであろうファッションを披露したりと、“Tommy february6 core”とも言えるムーブメントが巻き起こっている。

多くの楽曲が国内外でストリーミング再生されている中、昨年末から再生数を大幅に伸ばしているのが「♥Lonely in Gorgeous♥」だ。Tommy february6の8thシングルとして2005年11月に発表されたこの楽曲は、矢沢あい原作のアニメ「Paradise Kiss」のオープニングテーマに使用された。おしなべて明るくポップな世界観を表現してきたTommy february6だが、この楽曲ではシンデレラをモチーフにしたと思われる失恋がテーマのリリックを含め、“切なさ成分”多めの聴き心地になっているのが特徴だ。ど真ん中のTommy february6サウンドではなく、プロジェクトとしての幅を感じさせる楽曲がひと際人気を集めているのは、アニメ作品とともに海外での評価が高まった結果と言えるだろう。

Y2Kブームの中で生まれたTommy february6再評価はある意味、必然でもあった。その魅力は色あせることなく、今だからこそ強い輝きを放っている。興味がある人はぜひほかの楽曲にも触れてみてほしい。さらに川瀬智子にはもう1つ、Tommy heavenly6という別プロジェクトも存在する。ブライトサイドである“february6”に対し、“heavenly6”ではヘビーなロックサウンドで心の内に潜むダークサイドを表現している。川瀬智子の才能を今こそ存分に浴びてほしい。

Tommy february6「♥Lonely in Gorgeous♥」

Tommy february6「♥Lonely in Gorgeous♥」
2005年11月10日(木)配信開始 / ソニー・ミュージックレーベルズ
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作詞:Tommy february6
作曲・編曲:MALIBU CONVERTIBLE

Tommy february6(トミーフェブラリー)

Tommy february6

川瀬智子(the brilliant green)によるソロプロジェクト。2001年にシングル「EVERYDAY AT THE BUS STOP」でデビュー。2002年発表の1stアルバム「Tommy february」はオリコン週間アルバムランキングで2週連続1位を獲得した。2003年にはTommy february6の“ダークサイド”としてTommy heavenly6の活動もスタート。近年は2000年代初期のカルチャーやファッション“Y2K”がブームになる中、国内外のアーティストから再注目され、Z世代の中心に音楽ストリーミングサービスでの再生数を大きく伸ばしている。