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FANSY ホワイトリリー
繊細に揺れる感情を“君”と“私”両方の視点で、バンドのストロングポイントを打ち出した失恋ソング
文 / 森朋之
人を好きになることの痛みや切なさが伝わる歌詞、繊細な感情を際立たせるエモーショナルなバンドサウンド。3ピースバンド・FANSYの新曲「ホワイトリリー」には、彼らの音楽的な魅力がダイレクトに描き込まれている。
ドラマティックな楽曲を特徴としていたバンド・メルヘンベリーの菊地拓郎(Vo, G)と高瀬優(Dr)に八木ヒロアキ(G, Cho)が加わり、2018年1月に結成されたFANSY。同年7月発売の1st EP「今夜は月が綺麗ですね」を皮切りに、彼らは次々と作品を発表し、2022年には1stフルアルバム「夜の心の広場」をリリースするなど着実にキャリアを重ねてきた。疾走感あふれるギターサウンドと「日々理想と現実は違う だからこそ明日を夢見てる」というフレーズが共存する「エモワ」、純粋に愛を求める姿を描いたロックチューン「宇宙公園」、お笑いコンビ・エレガント人生の山井祥子がミュージックビデオに出演した「カモフラージュ No.6」などで知名度を上げてきたFANSYにとって、「ホワイトリリー」は自らのストロングポイントを強く打ち出した楽曲になっている。
最初に聞こえてくるのは「君が去っても」というライン。そこに鋭利なギターフレーズとしなやかなバンドサウンドが加わり、冒頭で提示された切ない感情がさらに増幅されていく。ストーリー性を感じさせる旋律、プレイヤーとしての個性が存分に発揮されたアレンジも魅力的だ。
「ホワイトリリー」の主人公は、“君”への思いを募らせながら、微かな希望を捨てられずにいる。繊細に揺れる感情を映し出す歌詞は、まさにバンドのフロントマンである菊地拓郎の真骨頂と言えるだろう。また、歌詞に“語り”を入れることで(これもFANSYが得意とする手法だ)、相手側の気持ちも表現。“君”と“私”の両方の視点を取り入れた結果、歌に深みを持たせることに成功している。
MVのディレクションを担当したのは、My Hair is BadやWurtSの作品を手がけているRaita Kuramoto。「悲しみに暮れる主人公の顔と彼の匂い」「紡がれてきた日常と時間を描いた風景」をショートドラマ風に描いた映像に仕上がっている。
FANSY「ホワイトリリー」ミュージックビデオ
FANSY(ファンシー)
元メルヘンベリーの菊地拓郎と高瀬優が中心となり2018年1月に結成された、東京の邦楽ロックバンド。2021年発表の楽曲「宇宙公園」と「カモフラージュ No.6」はTikTok上で200万回再生を突破し、「カモフラージュ No.6」のミュージックビデオには吉本興業所属のエレガント人生の山井祥子が出演した。2024年11月にシングル「ホワイトリリー」を配信リリース。
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