電気祭りから始まった「WIRE12」、フロア大熱狂の中閉幕

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8月25日、神奈川・横浜アリーナで毎年恒例のテクノイベント「WIRE」が開催された。国内はもとより、世界最大級のレイブパーティとして知られる同イベントに、本年も国内外のトップアーティストが集結。約1万2000人の観客を大いに沸かせた。

「WIRE12」メインフロア全景(撮影:成瀬正規)

「WIRE12」メインフロア全景(撮影:成瀬正規)

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会場は1Fにメインフロア、2Fにセカンドフロアという2フロアで構成され、開場と同時の18:00にメインフロアに姿を現したのはDJ TASAKA。テクノ~ハウスをクロスオーバーさせたミックスが冴え渡り、プレイ中にどんどんフロアに流れ込んでくる観客のテンションに火を点けていた。

そして「こんにちはー。電気グルーヴでーす」の挨拶でメインフロアに電気グルーヴが登場。19:10という早い時間ながら、既にフロアには観客の熱気が充満していた。ステージは石野卓球とサポートメンバーのagraphこと牛尾憲輔が後方に陣取り、その前をピエール瀧が徘徊するフォーメーション。1曲目「ハロー! ミスターモンキーマジックオーケストラ」からトップギアで演奏をスタートさせた。また瀧は「SHAMEFUL」の途中ステージから姿を消すと、同楽曲のPVでおなじみの箱型ロボットの着ぐるみをまとって再登場。動きにくそうな出で立ちでステージ上を往来しながら観客を煽りまくっていた。その後も「Shangri-La」「虹」「キラーポマト」など人気曲をほぼボーカルレスのアレンジで披露。時間が経つに連れて観客のノリは激しくなり、フロア後方の座席は終始揺れていた。

電気グルーヴのライブが終わると、20:00スタートのY.Sunaharaのライブを目当てに多くの人がセカンドフロアに移動。セカンドフロアは入場規制がかかるほどの盛況を見せた。ライブはステージの下手にY.Sunahara、上手に長年ライブをともにしているDaishi Hisakawaが並び、それぞれがパソコンを操作する形で進行。彼らはラップトップから出力されるシーケンスを手元のコントローラで制御したり、ノイズやグリッチサウンドをダブミックスするなどして音像空間を生成、観客を飲み込むような立体感のあるサウンドを披露していた。

続いて21:00からはメインフロアにDJとして再び石野卓球が登場。卓球はステージ下手側のDJブースに陣取り、ぎゅうぎゅうとなったフロアを煽る。卓球が繰り広げた70分のセットはALTER EGO「ROCKER」、ロバート・フット「The Greatest Dancer」などキラートラックの応酬となった。その後もメインフロアでは、強靭なビートを響かせたFORMAT:B、セカンドフロアでは「WIRE」ファンにはおなじみのフランク・ムラー、この日一番の重低音で観客をロックしたA.Mochiなど、それぞれが個性的なパフォーマンスを披露していく。

「電気祭り」の様相を見せた前半戦を終えてもなお、23:00頃まで入場者が止まらない今年の「WIRE」。そして日付が変わった頃、メインフロアで圧巻のプレイを見せたのが日本のテクノゴッド、KEN ISHIIだ。彼はUNDERGROUND RESISTANCEの楽曲などを散りばめたハードなミックスを展開し、フロアの観客を揺らし続けた。さらにメインフロアはゲイリー・ベック、DUSTY KID、ロバート・フッドなどのライブアクトとDJが続くディープな時間に突入していく。中でもロバート・フットはハードミニマルを主体のセットにNEW ORDERの「Blue Monday」をミックスするなど、それぞれ個性を全面に押し出すプレイを披露。耳の肥えたテクノファンたちを存分に楽しませていた。そして「WIRE12」を締めくくったのは、1999年以来の参加となるデトロイトクラシック、デリック・メイ。多くの観衆が期待したであろう彼の名曲「Strings Of Life」がプレイされることはなかったが、デリックは予定時間を大幅に超えた6:00まで躍動感あふれるロングセットを披露し、このイベントを大成功に導いた。

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