映画ナタリー PowerPush - ナタリー×「龍三と七人の子分たち」

ジジいいね!水曜日のカンパネラ・コムアイが同世代に教えたい、チャーミングな“ジジイ”の魅力

親分に大事なのは、かわいげじゃないですかね?

──個性豊かな“ジジイ”たちが新たに結成した「一龍会」ですが、イチ押しのキャラクターを教えていただけますか?

龍三親分は息子の留守中、オレオレ詐欺に引っかかってしまう。

難しい……! (しばし考えて)やっぱり、龍三さんですかね。藤竜也さんの目が終始かわいくて。動物のつぶらな目をしてるんですよ。ナショナル ジオグラフィック チャンネルに出てきそうな(笑)。息子に叱られたとき、強気の龍三さんが目をパチパチさせるんですけど、それが本当にかわいそうになっちゃって……。

──藤さんのダンディなイメージとは打って変わって。藤さん演じる龍三親分はどのように見ましたか?

この歳になってこんな役やって、藤さんのこれまでのキャリアが……!(笑) でも、情けない面もある龍三さんですけど、みんなから慕われる理由がわかります。親分に大事なのは、かわいげじゃないですかね? 本人はイキがっているつもりなのに、隙があって、みんなに愛される親分。かわいいなあって思います。

目指すはモテモテなおばあちゃん

──コムアイさんは、今23歳ですよね。これから年を重ねていって、目指す“おばあちゃん像”はありますか?

コムアイ

結果的には、健康で長生きすることが大事ですけど……おばあちゃんになったとき、かわいらしくて、モテモテだといいなあと思いますね。80歳になってもセックスしていたい(笑)。愛らしさを振りまいていたいです。今はいろんなプライドが自分の中にあるんですけど、それを全部外していって、最後はメチャクチャかわいらしく。

──かわいらしさとは、具体的にどんなことでしょう。

例えば撮影のとき、周りの方々が気を遣ってくださるじゃないですか。みんなは立ってるのに、私だけ座ってたり。そういうとき、気を遣っていただくことに居心地が悪くなってしまうときがたまにあります。この仕事を始めたのも本当に最近だし……。それまでずっと普通の大学生だったので、慣れないっていうのもあるかもしれないです。

──はい。

でもわかってはいるんです。人が何かしてくれたときに「あ、大丈夫です。自分でやるので」って言うより、全部を受け入れたほうがかわいいと思うんですよ。だからおばあちゃんになったら、人にたくさん甘えたいなって。上目使いで、「ねえねえ、車いす押して?(照)」みたいな。

──確かに、電車で席を譲ろうとしても断られるとショックだったり……。

そうそう。本人は座らなくていいかなって思っていても、座っちゃったほうがよかったりするじゃないですか。お互いが安心するというか。だから、「ありがとう」って座れるおばあちゃんになりたいです。つい優しくしたくなっちゃいますよね、きっと。

──「この人みたいになりたい」という、憧れの先輩はいますか?

コムアイ

うーん、誰だろう……。小泉今日子さんが私くらいの歳の頃の発言は全部面白くて、刺激的ですね。あとは、宮沢りえさん? たぶん、私があんなふうになれるのは、おばあちゃんになってからだろうなと。品格を持って、かわいくボケられるような……ボケって、歳とってボケることじゃないですよ?(笑)

──(笑)。かわいらしいことが言えるってことですね。

はい、そうなりたいなって思います。そういえば「ヨルタモリ」終わっちゃうんですよね!?

──そうみたいです……。(※2015年9月20日で放送終了)

悲しい……。「ヨルタモリ」すごい好きで、よく観てたんですけど。宮沢さんはバーのママっていう設定で。完璧なんですよね、女性としての佇まいというか。なんて素敵な企画なんだろう! って。

「一龍会」は肉食獣

──では逆に、コムアイさんにとって魅力的な“ジジイ”とは?

難しいなあ。「一龍会」は皆さんカッコいいですよね。

──全員キャラが立ってますし。

そうなんです、キュンとしちゃう。試写会のアンケートでは、この作品は20代とか若い人の人気が特に高かったそうです。それを聞いて、すごい納得しました。

──なぜですか?

歳が離れすぎてるからかな。おじいちゃん世代の方たちに嫌な思いをしたことがないからだと思います。すぐ下の世代だと、「うっとおしいわあ」みたいなこともあるかもしれませんが(笑)。歳が離れていると、イキってるおじいちゃんたちって、かわいいとしか思えないですもん。

──世代が近いと、上司と部下の関係になることもありますもんね。

マル暴の刑事・村上(ビートたけし)

この年齢差だと、そういう利害関係もないので。他人として見るから、本当にかわいいな、愛おしいなって思っちゃいますよね。でも、周りの空気を読んで、ソツなくやろうとするスタンスのおじいちゃんはちょっとつまらないかも。だから「龍三と七人の子分たち」で北野監督自ら演じている刑事は、私にはピンと来なかったです。

──うまいこと立ち回っている役でしたね。

そういう人は、表情が伝わってこないなって。さっき、ナショナルジオグラフィックに出てきそうって話しましたけど……「一龍会」の皆さんはすごく強烈で。サバンナで暮らすライオンの家族を見ているのに近いのかなって。8人が最強すぎて、彼らに出くわしてしまった人たちはインパラぐらいにしか見えないんですよね(笑)。キャラクターが弱まっちゃう。

──確かに、そう思います。

8人の前だと、みんな草食獣になっちゃう。だから「一龍会」はライオンですね。そう言えば3年前ぐらいに、父親が「動物を見たい」って言い出して、ケニアのマサイマラ国立保護区に行かされたんですよ。家族旅行で。

──家族旅行でケニアですか!?

父が「若いうちに行っておきたい」と。「もう若くないよ!」なんて思いながら(笑)。ケニアで過ごした中で感じたことは、草食獣と肉食獣では、圧倒的に草食獣のほうが幸せそうだということです。

──それはなぜですか?

食事に立ち寄った蕎麦屋で、客に向けてドスを振りかざす龍三親分。

草食獣は追われる側なので、一見つらそうじゃないですか。でもものすごい数がいるから、肉食獣に喰われるのが自分だとは思わない。よっぽどのことがない限り、寿命か病気かで一生を全うすると思って暮らしてるんじゃないかな。草原だからビュッフェ状態ですし。でも肉食獣は常に腹が減っていて、灼熱地獄なのに毎日獲物を探さなきゃいけないっていう。

──「一龍会」は常にギラギラしていると。

やっぱり常にもがいているほうが愛らしいですし、映画的だなと。草食獣は幸せそうで、キョトンとしてました。でもみんな、ソツなく過ごそうとしたらああなりますよね。この映画を観て、そんなことも思い出しました。

──コムアイさんならではのエピソード、ありがとうございます。

Blu-ray / DVD「龍三と七人の子分たち」2015年10月9日発売 / バンダイビジュアル
スペシャルエディション特装限定版
[Blu-ray Disc+DVD] 7560円 / BCXJ-1030
[DVD2枚組] 6480円 / BCBJ-4715
通常盤 [Blu-ray Disc] 5184円 / BCXJ-1029
通常盤 [DVD] 4104円 / BCBJ-4714
特典映像

特報 / 予告編(ロングver.&ショートver.) / TVスポット / 特別映像「ジジイ映画の楽しみ方」

特装限定版特典

特典ディスク(メイキング映像、キャストインタビュー、完成披露試写会、初日舞台挨拶、ミニ特番「俺たちに明日なんかいらない ジジイが最高スペシャル!!」、海外版予告編)/ 解説書(24P)/ 特製ブックケース付きスペシャルパッケージ

共通特典

特報 / 予告編 / テレビスポット / 特別映像「ジジイ映画の楽しみ方」/ 日本語・英語字幕付き

あらすじ

70歳の高橋龍三(藤竜也)は、「鬼の龍三」と呼ばれおそれられていた元ヤクザの組長。ある日、オレオレ詐欺に引っかかったことをきっかけに、元暴走族で構成される「京浜連合」と因縁めいた関係になる。詐欺や悪徳商法を繰り返す「京浜連合」にお灸を据えるため、博打好きの兄弟分「若頭のマサ」(近藤正臣)や寸借詐欺で生活する「はばかりのモキチ」(中尾彬)、戦争に行ったこともないのに今でも軍服に身を包む「神風のヤス」(小野寺昭)、ほかにも「早撃ちのマック」「ステッキのイチゾウ」「五寸釘のヒデ」「カミソリのタカ」という異名を持つ仲間たちと「一龍会」を結成。次々に「京浜連合」の活動を妨害していくが……。

スタッフ

監督・脚本・編集:北野武
音楽:鈴木慶一

キャスト

龍三親分:藤竜也
若頭のマサ:近藤正臣
はばかりのモキチ:中尾彬
神風のヤス:小野寺昭
早撃ちのマック:品川徹
ステッキのイチゾウ:樋浦勉
五寸釘のヒデ:伊藤幸純
カミソリのタカ:吉澤健
マル暴の刑事・村上:ビートたけし

水曜日のカンパネラ(スイヨウビノカンパネラ)
コムアイ

1992年7月22日、神奈川県生まれ。水曜日のカンパネラの主演・歌唱担当。高校生時代はNGOやNPO活動に力を注ぎ、キューバで同世代100人のスナップ撮影とインタビューを敢行した。2012年、ケンモチヒデフミとDir.Fに出会い、水曜日のカンパネラへ加入。同年に初のデモ音源「オズ」「空海」をYouTubeに配信し、本格的に活動開始する。2013年よりライブ活動をスタートさせ、「クロールと逆上がり」「羅生門」と立て続けにアルバムを発表。全国各地のイベントやフェスへ精力的に参加しているほか、MVの多さも話題に。2015年、コムアイ単独で「ヤフオク!」のCMに出演を果たした。11月11日にはニューアルバム「ジパング」がリリースされる。

水曜日のカンパネラ「ジパング」
2015年11月11日発売 / つばさレコーズ
水曜日のカンパネラ「ジパング」
[CD] 2500円
TRNW-0150
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