戸塚純貴が主演を務め、大東駿介と吉澤要人も共演するドラマ「バレエ男子!」が5月1日にMBSドラマフィル枠でスタートする。
クラシックバレエの中でも“バレエ男子”に注目した本作は、彼らの日常と成長をコミカルに描くお仕事ドラマ。誰よりもバレエが好きでナルシストなダンサー・小林八誠が、バレエと向き合う“最後の1年”が映し出される。戸塚が八誠、大東と吉澤が同僚ダンサーを演じた。さらにバレエ監修・指導として元バレリーナの草刈民代、バレエ指導で現役バレエダンサー・菊地研が参加している。
映画ナタリーでは戸塚、大東、吉澤にインタビューを実施。戸塚は「顔がうるさい」と指導された裏側を明かし、大東は役への共感を語る。またバレエ経験者の吉澤が実際の“バレエ男子”についても教えてくれた。
取材・文 / 田尻和花撮影 / ツダヒロキ
ト書きにあるバレエのくだりがめちゃくちゃ怖くて(戸塚)
──まずはオファーをもらって、脚本を読んだときの率直な感想をお願いします。
戸塚純貴 僕はバレエ未経験だったので不安もありましたが、自分の知らない新しい世界に挑戦できる喜びもありました。以前、脚本の岸本(鮎佳)さんの作品に出演させていただいたこともあって、舞台もたくさん拝見していたので、安心感が大きくありました。面白い会話劇とともに、バレエダンサーとしての苦悩や葛藤もかわいらしく書かれていて、すごくやりがいのある作品だと感じました。ただ、ト書きにあるバレエのくだりがめちゃくちゃ怖くて。
──例えばどんな?
戸塚 本当に2、3行で「バレエを踊っている」「バーレッスンをしている」とか。実際にはどれだけ踊るのか、俺はできるのか……と。
──なるほど。現場でどうなるのかという緊張はありそうですね。
大東駿介 バレエは少し敷居が高い印象だったんですが、今回はバレエダンサーたちの日常、裏側をピックアップしていまして。バレエの裏側をまったく知らなかったので、台本を通して見えてくる人間性や苦悩から、“バレエってこういう世界なんや”と新たな面が見えた気がしました。そのあたりをドラマで届けられればいいなと感じましたね。
吉澤要人 僕はもともとバレエを習っていたので、バレエをテーマにした作品に出演することが夢でした。こういう機会をいただいて幸せですし、やるからにはバレエにも作品にもしっかり向き合おうと。映画「リトル・ダンサー」や配信ドラマ「ナビレラ -それでも蝶は舞う-」といったバレエがテーマの作品もすごく好きで。
大東 俺もブロードウェイで舞台版の「リトル・ダンサー」観たよ。
戸塚 まじですか?
大東 めっちゃ面白かったよ。主人公はトリプルキャスト(※公演期間中、同じ役を3人の俳優が交代で演じること)で、俺が観た回の子は「ほかの子たちに負けたくない! がんばりたい!」っていう熱量を強く感じた。その子の人生や魂が飛んでくるような、忘れられへん芝居やなって。10年以上前に観たけど、いまだにあのステージは印象に残っていて……これ、「リトル・ダンサー」の話でしたっけ?(笑)
──いえ……違いますね(笑)。ではご自身の役をそれぞれ簡単にご説明いただけますか?
戸塚 小林八誠は超絶ナルシストなダンサーで、自意識が高く、自分を見てほしいという欲求が強いキャラクターです。バレエ男子がもっと世に知られてほしい、引き立て役だけでは嫌だと思っています。自分のやりたいことや思ったことをちゃんと行動に移す、気持ちのいい男だなと感じています。
大東 “マモさん”こと守山正信はこのメンバーの中では年長者。いろんな挫折や苦難を乗り越えてきたからこその包容力を持ち合わせている役だなと思います。自分も40歳間近になってすごく理解できる部分がありました。若い人のために余計な争いや苦難はなるべく排除してあげたいという意識が最近すごく強くなって。この現場でもわりとマモさん的な立ち回りができたかな?と思います。
吉澤 僕が演じる佐々木真白は、プロレス好きで天真爛漫な若手ダンサー。本当に純粋な気持ちでバレエをやっていて、上に上に行きたいという志がある青年です。自分の好きなことに関しては周りを気にせずベラベラしゃべってしまう、そこは自分に似ている部分でした。僕も韓ドラの話をし出すと止まらなくなってしまうので(笑)。
“キャラクテール”という存在を知りました(大東)
──では皆さんはバレエ男子にどんなイメージを持っていましたか? また今回作品に参加したことで知ったことはありますか?
戸塚 僕はバレエ男子に対する特定の印象は持っていませんでした。ただ、バレエは女性がメインで、男性が裏で支える引き立て役というイメージがあることは今回初めて知ったんです。僕としては男性バレエダンサーという存在も、そのかっこよさももともと頭にはあったので、番手や役割だけで考えるのではなく、役それぞれに魅力があるということも今作で改めて伝えたいところだなと思います。
大東 「バレエ男子の印象は?」と聞かれても答えられないぐらい、バレエは知らない世界でした。マモさんは芝居に特化したダンサー、“キャラクテール”という役割なんですが、そういう存在があるとは知らなかったので新鮮に感じました。台本の中にもありますし、バレエ監修・指導に入っていただいた草刈民代さん、バレエ指導の菊地研さんもおっしゃっていましたが、バレエは踊りの能力だけではなく、骨格など自分の生まれ持ったものでやりたい役ができるかできないかが決まると。めちゃくちゃシビアな世界だなと思いましたね。その中で自分の身体(しんたい)を追求しているんだなとびっくりしました。
──バレエ男子だった吉澤さんはいかがでしょう?
吉澤 僕は小学4年生のときに家族でミュージカル「ライオンキング」を観に行って、そこでバレエに憧れて始めました。実際にやってみると、この作品にも出てくるように男性は肩身が狭いと思うこともありました(笑)。クラスの中でも女性20人に対して男性は僕1人だったので。やっていくうちに慣れてはくるのですが、レディファーストの世界なので、男女が並んで踊るときに男性が前に出ると先生に怒られる、という感じでした。男性バレエダンサーとしての輝き方ももちろんありますが、女性をいかに引き立てるかということが役目の1つだなとレッスン中からも感じていました。
次のページ »
バレエ経験者かどうかは百発百中で当てられます(吉澤)