堂珍嘉邦(CHEMISTRY)・森崎ウィンと音楽の“自由”を遊び、楽しむ一夜「Precious Dream Night」 (2/2)

“サギケ”の堂珍&森崎に、柔らかな雰囲気をまとうLENが加わる

──今回の「Precious Dream Night」のチラシには、“堂珍嘉邦×森崎ウィン with LEN”と書かれており、お二人に加えて、韓国のテレビドラマで最終話の最高視聴率37.9%を記録し、日本でも放送された「シークレットガーデン」の挿入歌でおなじみの韓国出身のシンガーソングライター・LENさんが参加されます。ということでここからはLENさんにも加わっていただき、ライブへの意気込みを伺いたいと思います。

LEN よろしくお願いします。

堂珍森崎 わー、よろしくお願いします。

──LENさんは、「Precious Dream Night」で初顔合わせとなる堂珍さん、森崎さんをどのようなアーティストだと感じていましたか?

LEN 韓国語に“サギケ(사기캐)”という言葉があるんです。日本語で同じ意味の単語があるか調べてみたのですが、しっくりくるものはなくて。直訳すると“詐欺キャラクター”、つまり“バランスブレイカー”という意味で、イケメンで歌もうまくて、音楽性があってスタイルも良い、いろいろなところがうまくて逆にバランスが崩れている人物という意味です。

堂珍森崎 へえー!

LEN だからお二人にお会いしたときに、「カッコいい、サギケだね」と言いました。下手な部分が1つもなくて、人間じゃない、まるでモンスターみたいだなという印象でした。

LEN

LEN

堂珍 (おもむろに森崎のことを指す)

森崎 いやいや、なんで俺なんですか!(笑)

──LENさんが参加されることで、どのような色が加わりそうですか?

堂珍 ミュージカル通の皆さんにとっては、LENくんが入ることで、あまり見たことのない意外な組み合わせが楽しめるから、そのあたりも「Precious Dream Night」の面白さじゃないかなって思ってます。

──ソロ、デュエット、トリオでの歌唱と、幅のある楽しみ方ができるライブとなりそうですが、今まさに公演に向けて選曲中だそうですね。それぞれ、選曲に関してどのようなことをポイントにされているのか教えてください。

堂珍 まあ、詰めている段階なのであまり詳しくは話せないんですが、3人でのパートでは、有名な作品のナンバーを披露して、3人でやるワクワク感を作り出せたらと思っています。普段僕はライブごとに、その場所、この形態だったらこんな楽曲を演奏したら面白いのでは?と考えて曲を選んでいますが、「Precious Dream Night」では、自分のライブでやらないようなものもある。そこに関しては僕としてもすごくチャレンジングだなと感じているので、楽しみです。

森崎 全体曲を選ぶときは、制作のスタッフさん、プロデューサーさんの意向やイメージもありますが、やっぱり3人で歌って一番良いところを探るということが選曲のベースになると思います。僕も今、絶賛選曲中ですが、今回はコラボが見どころの1つになると考えていて。僕がCHEMISTRYさんの曲を歌うという案が上がってきていて……。最初は絶対に嫌だと思っていたんですよ。

堂珍 そうなの?(笑)

森崎 相当なプレッシャーですよ? 嫌ですよ。本人となんて。でも逆に言えば、カラオケに行って2人で歌うことはあるかもしれないけど、オフィシャルで歌わせていただけるチャンスは2度とないかもしれない。日本の一時代を築いたアーティスト、そのご本人と歌えるのは僕にとって大きな挑戦ですが、こういうときに飛び込まないと! あと、僕は韓国語をまったく話せないので、韓国語の曲を歌うのは難しいんですが、LENさんは弾き語りをされるので、洋楽の曲をLENさんのピアノ1本でやりたいなと思って、「僕とやる曲では弾き語りをしてくれませんか?」と直談判しています。LENさんのその場の演奏から生まれるグルーヴに乗っからせてもらえるなんて最高じゃないですか! こういう挑戦こそ、プレシャスなドリームナイトにふさわしいし、ちょっと怖いけどめちゃくちゃ楽しみな部分ではあります。

LEN 良いですね。僕は今までずっとピアノの弾き語りを1人でやってきたんですが、「ドリーム・キャラバン」でいろいろなアーティストさんとの出会いがあったんです。「ドリーム・キャラバン」をきっかけにはいだしょうこさんとコラボしたり、先日は野口五郎さんが僕のコンサートに来て「人生で初めて一緒に歌いたくなった歌手だね、君」って言ってくれたりして、とても光栄でした。今回、僕はまだお二人と何を歌おうか決めていないんですが、お二人が今まで歌ったことがある曲でも、僕と歌うことで全然違うアレンジや雰囲気にできるかもしれないなと思っていて。お二人に「一緒に歌って良かった」という気持ちになってもらいたいです。また、それを聴いたお客さんにも、「3人が歌うとこんなに違うんだ」という新鮮な気持ちをプレゼントできるようなショーが作れたらと思っています。

3人が思い描く、“プレシャスなドリームナイト”とは

──皆さんのハーモニーと貪欲なチャレンジ精神が、豊かな一夜を作り出してくれそうですね。活動のジャンルもバックグラウンドも異なる皆さんは、今回のステージをお客様にどのように楽しんでいただきたいですか?

LEN 生まれた国が違う3人が、音楽を通して出会って、新たな音楽を生み出すというのは、新鮮ですし、音楽もきっとすごく良いものになる。そこがポイントだと思っていますね。

森崎 確かに、音楽があれば生まれも育ちも関係なく、自然と楽しさは出てきますから。最近は配信を観る機会も多いですが、お客様にはぜひ、一夜限りのステージを“なまもの”として楽しんでほしいです。そのとき、その場所でしか生まれない瞬間を一緒に共有できれば。リハがうまくいっても、やっぱりお客さんが入って本番が始まらないと何が起きるかわからないんですよ。その瞬間が奇跡ですし、プレシャスな時間になると思います。一瞬一瞬をかみしめながら、でも“こう”(前しか見えないジェスチャー)ならずに(笑)、先輩お二人の背中を借りて、大船に乗った気持ちで飛び込んでいきたいです。

堂珍 あははは(笑)。うん、どうしようかな。僕はMCの時間にお客さんを爆笑させたいです。

森崎LEN えっ?

堂珍 それは、良い意味で肩ひじ張らない場面がたくさんあって良いと思うから。3人が心から楽しむ姿と演奏、歌をみんなで共有して、「この3人で良かった」と思ってもらえたらうれしいです。

LEN 僕はサポートが得意なので、何でも言ってください。素晴らしいアーティストのお二人に僕が一生懸命ついていかなければいけないと思っているので、何でもできるようにしておきます。

森崎 心強い! 実はLENさんはなかなかのオタクなので、MCでそういう部分が見えたら絶対に面白いと思うんですよね。

堂珍 そうだね。さっき聞いたんだけど、ホラー映画が好きで、同じ映画を何回も観るんですって。無音で観たり、いろいろと見方を変えて。

LEN けっこう面白いんですよ、そういうの。本当です。

堂珍森崎 がっはっはっは!

堂珍 そんなLENくんの個性を、ウィンくんと一緒に引き出せるようにがんばります。

左からLEN、堂珍嘉邦、森崎ウィン。

左からLEN、堂珍嘉邦、森崎ウィン。

プロフィール

堂珍嘉邦(ドウチンヨシクニ)

1978年、広島県生まれ。2001年にボーカルデュオ・CHEMISTRYとしてデビュー。1stシングル「PIECES OF A DREAM」以降ヒット曲を次々と発表し、国民的アーティストとなる。2012年にCHEMISTRY活動休止後、本格的にソロ活動をスタート。自らの音楽性を“耽美エント(耽美+アンビエント)ロック“と位置付け、ロック色の強いサウンドを構築する。2017年、CHEMISTRYの活動を再開。なお、アーティスト活動のほかにも活躍の場を広げており、2009年に映画「真夏のオリオン」で俳優デビュー。2011年に上演、2014年に映画化もされた音楽劇「醒めながら見る夢」では主演を務め、映画の主題歌も担当した。舞台作品ではミュージカル「ヴェローナの二紳士」「RENT」「アナスタシア」「ジャック・ザ・リッパー」「FLAGLIA THE MUSICAL」などに出演。2024年11月に「堂珍嘉邦 LIVE 2024 “Now What Can I see ? ~Drunk Garden~”」、12月に福岡・東京で「堂珍嘉邦 LIVE in the DARK tour 2024 -AMANOGAWA-」を開催。11月6日には待望のニューシングル「BETWEEEN SLEEP AND AWAKE」とライブアルバム「堂珍嘉邦 LIVE 2024 “Billboard LIVE” at OSAKA」をリリースする。

森崎ウィン(モリサキウィン)

1990年、ミャンマー生まれ。小学4年生のときに来日し、中学2年生でスカウトを受け、芸能活動を開始。2008年、ダンスボーカルユニット・PRIZMAX(現・解散)に加入しメインボーカルを担当。その後、2020年にアーティスト・MORISAKI WINとしてメジャーデビュー。俳優としても活動し、2018年に公開されたスティーブン・スピルバーグ監督の映画「レディ・プレイヤー1」ではメインキャストを務め、ハリウッドデビューを果たす。出演舞台に、パルコ・プロデュース「露出狂」、ミュージカル「『ウエスト・サイド・ストーリー』Season2」「ジェイミー」「ピピン」「SPY×FAMILY」「ジョン&ジェン」など。映画「蜜蜂と遠雷」では第43回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。2023年に発表した2nd Album「BAGGAGE」で初の全国ツアーを開催。2024年6月には監督作「せん」が「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア 2024」(SSFF&ASIA 2024)でジョージ・ルーカス アワードを受賞した。2025年4・5月にミュージカル「ウェイトレス」への出演が控える。

LEN(レン)

韓国・ソウル生まれ。シンガーソングライター。2012年にNHKで放送された韓国ドラマ「シークレット・ガーデン」の挿入歌をきっかけに初来日。2013年、韓国KBS主催の長期音楽コンテスト番組「私の生涯最後のオーディション」に挑戦し、視聴者参加型の投票による結果、見事優勝を果たす。アーティスト活動のほか、2012年に日本で韓国オリジナルミュージカル「パルレ」に出演。2020年には音楽劇「『モンテ・クリスト伯』~黒き将軍とカトリーヌ~」に出演した。現在は日本を拠点に活動。1970年代から1980年代にかけての日本の音楽に深い感銘を受け、さだまさしの「防人の詩」をカバーした1stミニアルバム「LOVE & CONNECTION」や、山下達郎、ユーミンの楽曲をカバーしたアルバム「Memory」「MemoryII」、そしてオリジナルアルバム「君の世界」などを発表する。優しい歌声と力強いロングトーン、ピアノとループステーションを用いた1人ハーモニーを即興で作り出すスタイルで、唯一無二のステージを作り上げている。