タニノクロウ×オール富山 3rd Stage「ニューマドンナ」タニノクロウ インタビュー / 「オール富山」シリーズの軌跡 / 16人のメッセージ (4/4)

「オール富山」、そしてタニノクロウに注目する人たちからのメッセージ

ここでは「オール富山」シリーズ、およびタニノクロウを応援する人たちからのメッセージを紹介。さまざまな地域、ジャンルの人たちが「ニューマドンナ」の誕生に注目している(掲載は五十音順)。

戌井昭人(劇作家・俳優・小説家)

いったい誰のためになにをやっているのか
なんのためにそれをやっているのか、
きっとわれわれが理解しようとしても無駄なんだ。
理解しようとすると墓穴を掘ります。危険だ。
だからこそ、ユニーク極まりない。
答えがないことを知っているからこそ、谷野九郎くんは最高だ。

緒方晋(俳優)

劇場さん、市民の皆さんが中心になり様々な人達が参加する「タニノクロウ×オール富山」。
もうこの企画は素晴らし過ぎる! 好き過ぎる!
演劇を通して人と人が出会い繋がる
ワクワクしかない
可能性しかない
懐の深いタニノさんがさまざまな人達と一緒に創る作品
僕の中では「確実にオーバードさんに観に行く」1択です!

金子清文(俳優)

20年12月、オール富山第2弾「笑顔の砦」を東京から2泊3日で観に行きました。新幹線で2時間、駅の回転寿司、日本海の闇、夕日、レンタカーで温泉、立山連峰、サバサンド、を経ての2度の観劇……富山、シブい、サイコー! 「ニューマドンナ」も行きます!

グレース・ラング(「香港芸術祭」プログラムディレクター)

香港で上演された、タニノの「Mother」と「笑顔の砦」は、多くの人の心を打つものでした。作品のコンセプト・演出・舞台美術は、まるで強烈な絵画のように出演者や観客の深層心理に、語り掛けるのです。

塩谷陽子(JAPAN SOCIETY芸術監督)

知り合って十年余、タニノ君の作品に幾たび驚かされたことか。綴られる物語、舞台の仕掛け、役者選び──どれもが普通じゃない。そしてどれもが念入りだ。彼のファンにならずにいる方がよほど難しい。「ニューマドンナ」ではどんな風に驚かせてくれるのか。待ち遠しい♡

ダニエル・ジャンヌトー(フランス・ジュヌヴィリエ劇場 芸術監督)

タニノクロウは、いま最も注目すべき日本人アーティストの一人だ。彼のアプローチはとてもユニークで、提案がある度に驚かされている。タニノは人の予測不可能な部分や人と物・場所との関係性を洞察する力を持っており、その細部まで創り込まれた世界はしばしば奇妙でありながらも日常的でもあり、しかし途方もない深さがある。彼の作品は、私たちを想像もできない特別なところへと誘ってくれる。そして、どんな理論的な説明よりもありのままの人間の姿を描き出している。

束芋(アーティスト)

「オール富山」は今までもすごかった。そして次作はタニノ氏の新作で、という信じられない取り組みになるという。聞いただけで、まるで自分が作り手になったように緊張してしまう。
初演までの時間、積み上げられていくこの緊張が「オール富山」の醍醐味。完成が待ち遠しい!

手塚とおる(俳優)

僕は未だタニノクロウ氏の世界観から出られないでいるのかもしれない。出会いは何十年も前。タニノ氏とはイプセンやチェーホフの作品でご一緒した。演技中僕が話す言葉は異国の亡くなった偉人の言葉なのだが、足を踏み入れている場所や見えている景色は正にタニノワールドだ。僕にとっては、そこは、とても居心地の良い場所だ。

徳永京子(演劇ジャーナリスト)

タニノクロウにはずっと驚かせられている。マンションを改造して1席ずつパーティションで区切った自前の劇場を設えたり、観客1人ひとりにイヤホンを配布して舞台上の俳優と同じ指令を聴く体験をさせたり、高さ数十センチのセットの中で俳優に寝たまま演技をさせたり、新宿の空き地に穴を掘って水を貯めて会場にし、上から見るとその穴が男性器の形をしている仕掛けだったり──。その中で私が最も驚いたのは、2019年にオーバード・ホールでの「ダークマスター」で、美術セットの創作を公募した富山市民に委ねたことだった。セットも小道具も自らの手で脳内のイメージと寸分違わずに再現することにこだわったかつてのタニノからは、とても考えられない変化だったからだ。結果、それは作品の輪郭を溶かし、いきいきと広がる輪にした。こだわりが信頼に動いたきっかけに、彼が生まれ育った富山の風土、人、未来への思いが影響を及ぼしたことは間違いない。タニノクロウ×オール富山の第3弾は、待望の新作だという。それを観に、私はまたいそいそと富山に向かうだろう。

長塚圭史(KAAT神奈川芸術劇場芸術監督)

劇場や創作を愛する人々を独自の視点で切り開くタニノ氏へはいつも期待しかありません。富山市の皆さんとの舞台美術の共同製作という素晴らしく開けたプロジェクト。街と演劇との豊かな交流に痺れまくっています。思いの詰まった美術と上演をぜひ劇場で!

中井美穂(フリーアナウンサー)

タニノクロウさんのやることはいつもこちらの想像を軽々と超えてきます。
彼を育てた富山の地で富山の人たちとの合流からなにが生まれ出てくるのか。
これは、こちらも富山まみれになって体験しなければと思っています。

野村政之(信州アーツカウンシル ゼネラルコーディネーター)

妥協しない創造のプロセスを地域に開き、街と公共ホールを結び、人の新たな関係性を生む。アルプスの向こう側、タニノクロウ×オール富山の活動に、地域での創造活動に携わる者として深く共感しています。次は満を持してのMade in Toyamaの新作、とても楽しみです。

宮城聰(SPAC-静岡県舞台芸術センター芸術総監督)

今の日本で、最も遠くまで行ける、最も深くまで潜れるアーティストがタニノクロウ氏に違いありません。しかも彼は、「このメンバーでもこのくらいのものはつくれる」という創作は一切せず、「このメンバーでしかこんなものはつくれないぞ」という作品だけを生み出す人です。いやもはや作品と呼ぶより生き物と呼ぶべきか? この唯一無二の生き物との時間を、ともに楽しみましょう。

平田オリザ(劇作家・演出家)

鬼才タニノクロウさんは、実はきわめて郷土愛の強い人です。
そのタニノさんが一から創る市民参加型演劇は、「市民参加」の概念を軽やかに超えていくものになるだろうと期待しています。

山内マリコ(作家)

信じられない密度で作り込まれた舞台セットの中で、現代人の心に今もって棲み着く、どろりザラリとした因習がえぐられる。「今すごいものを観ているな」という体験ができるタニノ作品。新作、楽しみでなりません。

王嘉明(劇作家・演出家)

タニノさんは人々の生活に密接に関わるクリエイターだと思います。地域住民と一緒に舞台をつくりあげ、漁師の物語をつくるとなると一緒に生活して漁に出るなど、彼の作品は常に思いやりに満ちています。超現実的で色彩も控えめな舞台美術が、人間の立体的な側面をより際立たせるようです。彼の繊細な芸術は普遍性を持ち、現代の演劇美学の中で独自の存在感を放っています。そのため、国際的なアートフェスティバルに頻繁に招待されています。

※初出時、出演者のお名前に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

2024年1月19日更新