木村達成が太宰治にシンパシー「新ハムレット」俳優にも容赦なし?五戸真理枝の“問題作”
2023年6月5日 17:55
28 ステージナタリー編集部
PARCO劇場開場50周年記念シリーズ「新ハムレット~太宰治、シェイクスピアを乗っとる!?~」が明日6月6日に東京・PARCO劇場で開幕する。これに先駆け本日5日、初日前会見と公開ゲネプロが行われた。
「新ハムレット」は、太宰治がシェイクスピアの「ハムレット」を書き直した、戯曲形式の長編小説。今回は、PARCO劇場初登場となる五戸真理枝がこの小説を上演台本にアップデートし、五戸の演出で立ち上げる。ハムレット役で主演を務める木村達成は「車の中で本作のセリフを練習していると、同乗しているマネージャーによく『え、何?』と聞かれます。それは、セリフと木村達成がいつもぼやいていることが似ているからだと思うんです。僕自身、舞台上でセリフを発しているとき、自分が木村達成なのか、ハムレットなのか、太宰治なのか、わからなくなることがあります」と話す。
木村は太宰の心情に思いを巡らせ、「愛情を言葉で表現せず、影で支えるみたいなことって日本人らしい気質だと思うのですが、たぶん太宰はそれに違和感を持っていたからこそ、言葉で伝える愛情に惹かれ、『ハムレット』という作品に感銘を受けたのだろう」と考えを述べ、木村自身も「言葉がなくなりゃ、同時にこの世の中から愛情もなくなるんだ」という劇中のセリフにとても共感できると明かした。
ハムレットを慕うオフヰリヤ役の島崎遥香は「今日まで先輩方にたくさんアドバイスをいただき、特に松下(由樹)さんにはお時間を割いて稽古に付き合っていただきました。それらを無駄にしないよう、千秋楽まで精一杯走り抜けたいと思います」と気合い十分。自身がオフヰリヤと似ている部分があるかと問われると、「思ったことを何でも言ってしまうところ」とおちゃめに回答した。
会見では、ハムレットの学友ホレーショー役の加藤諒が「僕は今回(池田)成志さんにアドバイスをたくさんいただいて。成志さんのことが大好きになりすぎちゃって、もう……思い出しただけで泣きそう!」と感極まって言葉を詰まらせる場面も。島崎に「まだ本番が始まってもいないのに!」とツッコまれながら、加藤は「みんなで積み上げてきたものをちゃんと出せるように……がんばります!」と自身を鼓舞するように言い切った。また、好きなセリフを問われると、「ハムレットが『あー、ホレーショーに会いたーい』と言うシーン。舞台袖でいつも『ギュン!』となっています」と満面の笑みで回答。これを聞いた木村は「そのセリフ、言いづらくなるんだけど!」と照れたように言い返した。
ハムレットの母でデンマーク王妃ガーツルード役の松下由樹は「シェイクスピア作品を遠くに感じている方でも、太宰治が書き直したこの作品はグッと身近に感じるはずです」とアピール。そして「『あなたはハムレットそっくりね』というセリフがよく出てきます。拗ねたり泣いたり怒ったり、ああ言えばこう言うことを指しているのですが、本作が一般的な『ハムレット』のイメージと違うこと、復讐劇ではないことがよく表れているセリフだと思いました。普段から言ってみたくなるセリフです」とにこやかに語った。
侍従長ポローニヤス役の池田成志は「一言で言うと、とても問題作。大人しい芝居かと思いきやぶっ飛んでいたり、詩劇のように朗々と言葉が羅列されたり、人情劇のようだったり。観ている方が『あまりにもしゃべるなあ』と呆れて眠ってしまわないようにがんばります」、侍従長ポローニヤスの息子レヤチーズ役の文学座・駒井健介は「回りくどいセリフがたくさんあり、本当に苦労しました。僕の目標としては気張らず固くなりすぎず、がんばれたらと思っております」とそれぞれ意気込みを述べた。
現王にしてハムレットのおじにあたるクローヂヤス役の平田満は「衣裳をご覧の通り、童話や昔話のような仕立てもありつつ、劇中には非常に現代的なやり取りもある。お客様にどこがどういうふうに伝わるかあまりわかっておりませんが、何か1つでも思い当たることを見つけていただけるような芝居をしたいと思います」と真摯に言葉を紡ぐ。
五戸は「今回の上演台本は137ページのうち、133ページは太宰の言葉で構成しました。俳優のしゃべりづらさは考慮せずに作ってしまいました(笑)。太宰の一文一文には『読者を楽しませたい』という愛情深さがとても強く感じられます。“この作品”はお客様を真剣に愛していると私は感じていますが、確かに変なところもある(笑)。そんないびつな愛を受け取っていただけたら」と呼びかける。また、印象的なセリフとしてハムレットの最後のセリフを挙げ、「この戯曲の上演が決まってから『この一言で幕を切れるのか?』という難問とずっと闘ってきました。何度も試行錯誤を重ね、今の表現にたどり着いたので、『カッコよく幕切れできたら良いな』と祈るような気持ちです」と期待を込めた。
上演時間は約2時間55分。東京公演は6月25日まで。その後、7月6日に福岡の久留米シティプラザ ザ・グランドホール、9日に大阪・森ノ宮ピロティホールで上演される。
PARCO劇場開場50周年記念シリーズ「新ハムレット~太宰治、シェイクスピアを乗っとる!?~」
2023年6月6日(火)~25日(日)
東京都 PARCO劇場
2023年7月6日(木)
福岡県 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
2023年7月9日(日)
大阪府 森ノ宮ピロティホール
作:太宰治(新潮文庫「新ハムレット」より)
上演台本・演出:五戸真理枝
キャスト
ハムレット:木村達成
オフヰリヤ:島崎遥香
ホレーショー:加藤諒
レヤチーズ:駒井健介
ポローニヤス:池田成志
ガーツルード:松下由樹
クローヂヤス:平田満
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ぺるとら🐅 @perunyan8660330
泣いてる諒くんを見て爆笑するぱるる😂そして慰めるように肩に触れていて優しいな☺️✨
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