挫・人間|人類へ贈る苦言と賛歌

挫・人間、もしやアウェイじゃないのでは?

──前回のツアーで「チャーハンたべたい」を披露するときに、下川さんが「インターネット上ではできない感動を歌にしました」と言っていて。さらにお客さんに「俺たちはきっと昔、インターネットで会ってるんだと思う」と言ってましたよね(参照:挫・人間、“インターネット上ではできない感動”包んだ渋谷クアトロワンマン)。それこそ、今の挫・人間のライブ自体が“インターネット上ではできない感動”を味わえる場所になっているなと思いまして。

日本一壮絶なオフ会みたいな感じですよね(笑)。

──「ダンス・スタンス・レボリューション」はそんな“オフ会”で、さらなる感動を味わえる曲になるんじゃないかなと思いました。

そうなんですよね。「Dance Dance Revolution」ですよね、まさしく。オタクは本来絶対にそんなことしないのに、骨が折れるぐらい踊っちゃうっていう。怪我だけはしないでほしいんですけど、やっぱり“レボリューション”なんで、何かしら起こしていこうと。

──歌詞は、新規ファンを挫・人間のライブに巻き込んでいくストーリーになっています。

下川リヲ(Vo, G)

やっぱり、脱皮するためには過去の皮を脱ぎ捨てなければならないんですよね。それは試練であり、禊なんで。その禊は痛みを伴うんです。苦しみを与えてですね、しかしその苦痛の先にカタルシスが用意されてるっていう素敵な4分間です(笑)。最近、もしかして挫・人間って幅広い方に受け入れられてるのでは……?という気がしてきまして。

──これまで対バンライブではかなりアウェイな状況だとおっしゃっていましたが。

最近も東京カランコロンさんと対バンしたんですが、意外とあちらのお客さんも好意的な感じで盛り上がってくださったり。かと思いきや、めちゃくちゃハードなバンドと対バンしても受け入れてもらえたり。もしやアウェイじゃないのでは?と思ったらですね、なんか悔しくなってきまして(笑)。「こっちが試してやろう」みたいな気持ちになりました。

──確かに、「ダンス・スタンス・レボリューション」は快く受け入れる人と受け入れられない人で大きく分かれそうな楽曲ですね。

そうですよね。でもこの曲で一体感を作ることに成功したら、それは素晴らしいことになるでしょう。

──きっととんでもない空間になりますね。「ウォールオブデス」ってワードが入ってるぐらいですから。

ヤバいと思うんですよね。意外とうちのファンはタフなんで、そのくらいやっちゃうんですよ。生半可な気持ちじゃこっちが負けると思いまして(笑)、そこまでいくぞと。「やれるのか!」みたいな気持ちですよね。

──だんだんとハードコアバンドみたいなマインドになってきてますね。

はい、そういう感じ好きなんです。

──「踊れ!」って言ってるバンドマン然とした激しい曲ではありますけど、その中に「あぼーん」という言葉が出てくるのが挫・人間らしいですね。

あぼーんとか、普段から使ってますからね(笑)。ネットではもう古い言葉なんでしょうけど、僕らからしたら日常語なんですよ。メンバーからLINEで「ごめん、スタジオ遅刻する」とか言われたら「逝ってよし」って書いちゃうし。「ageんなボケ」とか、未だに使ってるんです(笑)。

楽器を持つ、持たないっていう垣根がなくなった

──シングルのタイトルにもなっている3曲目「品がねえ 萎え」は、SEをふんだんに使ったディスコナンバーです。最新アルバム「もょもと」がギター、ベース、ドラムの音にこだわった作品だったので、振り切った結果なのかなと思いました。

ああ、何も考えてなかった(笑)。今言われて初めて気付いたんですけど、楽器を持つ持たないがバンドのスタンスを表すってことを完全に忘れてました。バンドなのに楽器を持たないことも、自分らの中で当たり前になり始めているので。

──そうだったんですね。ちなみに前作で“バンドらしさ”を意識した結果、得たものはありますか?

ライブで僕らの曲に対して、お客さんが“バンドらしいバンド”にするようなリアクションを取るようになりまして。なかなか挫・人間で起こることのなかったモッシュが起こったり、サビになると手を上げて跳ねてくれたりとか……あれ、うれしいですね。

──下川さん、ライブですごく楽しそうですもんね。

はしゃいでるんです、僕。「そういうのロックじゃないなあ、やめたいなあ」と思いつつ、はしゃいでますね(笑)。たぶん「もょもと」を出してライブをしていく間に考え方がどんどんごった煮になっていって、楽器を持つ、持たないっていう垣根がなくなったんだと思います。自分らの曲が一番楽しく聴けるやり方だったら楽器にこだわることないなって……しまったあ、今の発言すごいバンドマンぽいですね(笑)。

──紆余曲折あって、バンドマンらしくなってきたのかもしれませんね。

完全にヤバいヤツ……どういう生き方してるんだって感じですよね(笑)。

聴衆の魂のステージをワンランク上げる

──ちなみにタイトルや歌詞にある“品がねえ 萎え”というのは、率直に聞くと何に対しての「品がねえ 萎え」なんでしょうか?

これはですね、人類ですね。

──人類?

もう、すべての品のない人たちへの苦言であり、すべての品性を保ちつつ戦うソルジャーたちへの賛歌でもあります。

──下川さんはソルジャーってことですか?

下川リヲ(Vo, G)

僕は完全にソルジャーですね。この曲、実は歌録りの30分前まで別の歌詞を用意してたんですよ。

──どのような歌詞だったんですか?

恋愛の歌詞だったと思うんですけど、今はもう覚えてないくらい僕の中でしっくり来てなくて。「さあ歌録り始めるぞ!」となってから歌詞をひっくり返したんで、スタッフもメンバーも「コイツマジか!」みたいな感じでした。こんなことは初めてだったので。

──メロディと曲は一緒だけど、歌詞だけほぼ変わっているということですか?

そうですね。歌詞は全部変わりました。

──30分でここまで濃い歌詞が出てきたということは、この曲に込めた思いは日頃から相当溜まってたものだったんでしょうね。

そうなんですよ。なんでこの気持ちを曲にしてなかったんだろうって思いましたね。Twitterとかではいちいち発信してるんですけど……Twitterに書く手間を省きたい気持ちで、曲にしてしまえばいいやと思いまして。

──「ダンス・スタンス・レボリューション」がどんどん開けていく曲だとしたら、「品がねえ 萎え」はどんどん閉じていく曲だなと思いました。肯定から入って、曲が進むにつれて対象の人々を否定していくという展開になっていて。

否定することによってですね、聴衆の魂のステージをワンランク上げようと。「君たちは品のないことをしています。でもそれは無自覚なだけ」って……そういう教えですよね。これが仏教で言うところの初転法輪。菩提樹の下で鳴ってる音楽です。スジャータの乳粥ですよね。

挫・人間「品がねえ 萎え」
2018年5月23日発売 / redrec/sputniklab.inc
挫・人間「品がねえ 萎え」初回限定盤

初回限定盤
(※タワーレコード限定) [CD+DVD]
2484円 / RCSP-0088

TOWER RECORDS

挫・人間「品がねえ 萎え」通常盤

通常盤 [CD]
1080円 / RCSP-0090

Amazon.co.jp

CD収録曲
  1. 多重星
  2. ダンス・スタンス・レボリューション
  3. 品がねえ 萎え
初回限定盤DVD収録内容

2017年11月10日 渋谷CLUB QUATTROワンマンライブ

  • テクノ番長
  • よくないんです
  • おしゃれメロス
  • ハヤオ
  • ゲームボーイズメモリー
  • 明日、俺はAxSxEになる......
  • クズとリンゴ
  • 絶望シネマで臨死

ライブ情報

挫・人間 東名阪ツアー2018~人間合格~
  • 2018年6月21日(木)大阪府 Shangri-La
  • 2018年6月22日(金)愛知県 APOLLO BASE
  • 2018年6月24日(日)東京都 LIQUIDROOM
挫・人間(ザニンゲン)
挫・人間
下川リヲ(Vo, G)、アベマコト(B, Cho)、夏目創太(G, Cho)からなるロックバンド。2008年、高校生だった下川を中心に熊本で結成され、翌2009年には「閃光ライオット」決勝大会に進出し、特別審査員・夏未エレナ賞を受賞。2010年には下川の進学に伴い、活動の拠点を東京に移し、以来、都内ライブハウスを中心に積極的なライブ活動を展開する。2013年には初の全国流通盤となる、1stフルアルバム「苺苺苺苺苺」を発表する。また2014年には坂本悠花里監督の映画「おばけ」に楽曲提供すると同時に出演を果たし、2015年には「念力が欲しい!!!!!!~念力家族のテーマ」がNHK Eテレのドラマ「念力家族」の主題歌に採用されるなど、ライブハウスシーン以外からも大きな注目を集める。同年8月に2ndフルアルバム「テレポート・ミュージック」を、2016年9月に5曲入りCD「非現実派宣言」を発表。2017年10月4日には3rdフルアルバム「もょもと」をリリースし、2018年5月にはニューシングル「品がねえ 萎え」を発売する。