音楽ナタリー Power Push - テラヤバい!映画「テラフォーマーズ」大解剖
最上もが(でんぱ組.inc)編
原作・貴家悠、作画・橘賢一によるSFコミック「テラフォーマーズ」が三池崇史監督により実写映画化され、4月29日に全国で封切られる。ナタリーでは映画のみならず音楽、お笑いとジャンルをまたぎ、映画「テラフォーマーズ」の特集を展開。音楽ナタリーでは、原作コミックのテレビCMにも出演した最上もがに作品の魅力を聞いた。
取材・文 / 古川朋久 撮影 / 塚原孝顕
哺乳類最強のクズリになりました
──最上さんと「テラフォーマーズ」との出会いは?
「週刊ヤングジャンプ」さんのグラビア撮影のときに編集部の方に「テラフォーマーズ」を薦められたのが作品を知ったきっかけですね。その方が事務所に全巻送ってくださったんですよ。それで読んでみたらすごく面白くて、次の撮影のときに「めっちゃ面白かったです! 続きが気になります」って作品の感想を語ってたんです。そうしたら「『テラフォーマーズ』ともがちゃんでグラビアのコラボをしたい」っていうお話をいただいて。担当の方に「自分が虫とかほかの生物になるなら何がいいですか?」って聞かれたので、ぼくはそのとき哺乳類最強と言われているクズリになりたいって言いました。
──作中でも最初は昆虫のDNAを体内に組み込むバグズ手術だけでしたけど、物語が進むにつれてM.O.手術(モザイク オーガン オペレーション)で生物全種類のDNAを組み込むことができるようになりましたもんね。
話が進むにつれて、対象の生き物はなんでもOKみたいになっていくじゃないですか。だから虫じゃなくてもっと強そうなクズリがいいなと思って、クズリをイメージした衣装を作っていただいてコラボグラビアをしました。そこから話が進んで「テラフォーマーズ」のテレビCMに出演することになって。
──テレビCMは、最上さんのこれまでの人生と「テラフォーマーズ」がクロスオーバーするような内容でしたね。
担当の方から登場人物のミッシェル・K・デイヴスとぼくが被るところがあると言われたんですよ。ぼく、すごくミッシェルのことが大好きで。彼女は最初の頃、自分1人で戦ってしまうようなタイプだったんですけど、だんだんと仲間ができて彼らを信頼するようになっていって。確かにでんぱ組.incに入る前のぼくと入ったあとのぼくの心の移り変わりに似ているところはあるなと思いました。「仲間を思う気持ちが私の力になる」というのはぼくも共感できるところだなと。それがCMの最後のセリフ「私はもう1人じゃない」につながります。
実在する生物の特徴をリアルに描いてるから面白い
──映画「テラフォーマーズ」はコミック第1巻の物語がベースになっていますが、第1巻で印象に残っていることは?
第1巻の登場人物だと、キックボクサーの人が好きだったんですよね。
──手術ベースはサバクトビバッタでした。映画では乗組員が全員日本人になっていて、武藤仁という元キックボクサーを山下智久さんが演じてます。
すごくいいキャラクターだなと思って、彼がどういう人生を経てここにたどり着いたかを読み進めていくうちに段々とキャラクターに気持ちが入っていって。でもぼくがすごくいいなと思うキャラクターは大体悲しいことになってしまうという……。
──原作の面白さはどういうところに感じますか?
展開がめちゃめちゃ速くて飽きないところですね。あと実は「テラフォーマーズ」のコミックと一緒に「東京喰種トーキョーグール」もいただいたんですけど、どちらかというと前者は男の子向け、後者は女の子向けかなって思って。絵柄の好みにもよるかもしれませんけど「テラフォーマーズ」はわかりやすくバトルものだし男の子が好きな要素が詰まっているというか。女の子って文字ばかりで説明が長い作品ってあまり好まないような気がするんですよね。「テラフォーマーズ」って設定がいろいろと複雑で1つの物事に対する説明が多いじゃないですか。そういうマニアックなものって男性は好きだと思うんですよ。
──最上さんはそういうマニアックなところに惹かれたと?
ぼくも「めっちゃ文字ばっかりで長いなー!」って思ったこともあったんですけど、例えば登場する生物って全部実在するものじゃないですか。そこは作られたものじゃなくてリアルを描いているから面白いと思って。虫やほかの生物についても詳しくなりましたし。「最強の昆虫って蟻なのか!」とか、今まで考えもしなかったことに思いを巡らせてる自分がいました。
──蟻が人間と同じサイズになったらめっちゃ強い、という話ですね。
そういうのを想像すると面白いなって。コミックだけじゃなくてアニメでも放映してましたし、難しい設定をわかりやすく伝えようとしてるなって思いました。
──それが今回映画になって、テラフォーマーたちがスクリーンでどう動くか気になるところだと思いますが。
予告編をチェックしたんですけど、展開が速すぎて何度も観ちゃいました(笑)。
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- 「テラフォーマーズ」2016年4月29日より全国公開
- 「テラフォーマーズ」
あらすじ
21世紀、地球の人口は爆発的に増加し、人類は火星地球化計画を実行。苔と“ある生物”を火星に送り、気温を上げることで地球化させようとした。それから500年の歳月が過ぎ、生物を駆除するため15人の隊員が火星へ派遣されることに。簡単な仕事のはずだったが、そこにいたのはヒト型に異常進化を遂げて凶暴化したテラフォーマーたち。出発前に特殊能力として昆虫のDNAを授かった隊員たちは、変異して超人的なパワーを発揮。人類と異常生物による生き残りを懸けた戦いの火蓋が切って落とされる。
スタッフ
- 監督:三池崇史
- 原作:貴家悠、橘賢一(週刊ヤングジャンプにて連載中)
- 脚本:中島かずき
- 主題歌:三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE「BREAK OF DAWN」
キャスト
- 小町小吉:伊藤英明
- 秋田奈々緒:武井咲
- 武藤仁:山下智久
- 蛭間一郎:山田孝之
- ゴッド・リー:ケイン・コスギ
- 森木明日香:菊地凛子
- 堂島啓介:加藤雅也
- 大張美奈:小池栄子
- 大迫空衣:篠田麻里子
- 手塚俊治:滝藤賢一
- 連城マリア:太田莉菜
- 榊原:福島リラ
- 本多晃:小栗旬
©貴家悠・橘賢一/集英社 ©2016 映画「テラフォーマーズ」製作委員会
でんぱ組.inc(デンパグミインク)
古川未鈴、相沢梨紗、夢眠ねむ、成瀬瑛美、最上もが、藤咲彩音からなる6人組ユニット。メンバーはそれぞれアニメ、マンガ、ゲームなどに精通したオタクとしても知られ、“萌えキュンソング”と呼ばれるアッパーな楽曲と情感豊かなライブパフォーマンスで国内のみならず海外からも注目を集めている。2008年に東京・秋葉原のライブバー「ディアステージ」をホームグラウンドに活動を開始。2013年1月には、いじめに遭った経験などメンバー自身の暗い過去を歌ったシングル「W.W.D / 冬へと走りだすお!」でオリコン週間ランキング10位を獲得。同年10月には主演映画「白魔女学園」の主題歌を収めた「W.W.D II」を発売し、12月に2ndアルバム「WORLD WIDE DEMPA」をリリースした。2014年5月には1万人を動員した初の東京・日本武道館単独ライブを成功させ、翌2015年2月には東京・国立代々木競技場第一体育館での2DAYSライブを実施した。同年2月に3rdアルバム「WWDD」を発売。夏に初のワールドツアーを開催したのち、11月には「MTV VMAJ 2015」の「ワールド・ワイド・アクト賞」の日本部門「ベスト・ジャパン・アクト」を受賞した。2016年1月より全国ツアー「GOGO DEMPA TOUR 2016 ~まだまだ夢で終わらんよっ!~」を実施中。4月27日にはニューアルバム「GOGO DEMPA」をリリースする。
- でんぱ組.inc「GOGO DEMPA」
2016年4月27日発売 / MEME TOKYO
2016年4月25日更新