映画ナタリー Power Push - テラヤバい!映画「テラフォーマーズ」大解剖
三池崇史編
貴家悠が原作、橘賢一が作画を手がけるSFコミック「テラフォーマーズ」。累計発行部数1400万部を誇るヒット作がこのたび映画化され、4月29日に全国で封切られる。火星を舞台にした近未来アクションの実写化を託されたのは、日本のみならず世界から熱い視線を集める監督・三池崇史。さらに伊藤英明、武井咲、山下智久、山田孝之、小栗旬らキャストが加わって1つのチームとなり、一大プロジェクトに真正面から挑んだ。
ナタリーでは、映画、音楽、お笑いとジャンルをまたいで特集を展開する。第1弾として、本作の編集作業真っ最中の三池にインタビューを実施。その確かな手応えを語ってもらった。
取材 / 岡大 文 / 金須晶子 撮影 / 佐藤友昭
キャラクター紹介
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小町小吉(伊藤英明)
正義感が強く、お人好しで明るい青年。妹のようにかわいがっている奈々緒をかばって殺人の罪を着る。火星行きを志願した奈々緒を心配し、自分も渋々参加することに。
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秋田奈々緒(武井咲)
両親を事故で亡くし、義父から虐待を受けていた。自分を守ってくれた小吉を心から信頼しており、彼が死刑になるのを避けるため火星行きを即決。
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武藤仁(山下智久)
強い闘争心を抱く元キックボクサー。幼なじみを病気で亡くし生きる喜びを見失っていたが、火星で仲間とともに戦う中で友情を芽生えさせていく。
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蛭間一郎(山田孝之)
病気の母親と幼い弟妹たちを抱えた長男で、天才ハッカー。大学で進めていた研究が完成間近のところで、教授に罠にはめられた過去が。極貧の家庭を支えるため、火星行きを決意する。
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本多晃(小栗旬)
無慈悲な天才科学者。日本政府の資金のもと火星地球化計画を立ち上げ、金を必要とする貧乏な15人を言葉巧みに勧誘した。映画では奇抜なファッションセンスを持つキャラクターに。
テラ用語解説
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21世紀、人口激増にともなって人類が選択した火星への移住計画。火星の気温を上げるため、苔と“ある生物”を大量に放ち、人が住める環境を整えることが目的だった。
- 人類がもっとも忌み嫌う黒い昆虫。地表を黒く染め上げて太陽光を吸収し、火星の温暖化を促す。驚異的な生命力を誇り、火星でも生き延びるが……。
- 火星地球化計画のために送り込まれた“ある生物”の食料。“ある生物”の死体にまた苔が生え、その連鎖により火星を温める。
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2599年、火星地球化計画を遂行するため15人の日本人を乗せて火星に発った宇宙船。2079年に計画失敗に終わったバグズ1号の反省を踏まえ、隊員たちにある秘策が仕込まれた。
三池崇史インタビュー
時代劇的な魅力
──原作のマンガ「テラフォーマーズ」は非常にファンが多い作品です。どんな映画になるのか、みんな固唾をのんでいる状態だと思うんですが、三池監督が考える原作の面白さはなんでしょうか?
原作のことを知ったのは、小栗旬や山田孝之世代の俳優たちが、連載が始まった当初から面白いって話題にしていたからなんです。やっぱり役者は、「この役をやりたい」とか「この男カッコいい」とか、そういう魅力あるものに対する嗅覚がすごいんですよね。キャラクターが皆アウトローでいながら筋が通っていて、善悪とか勝ち負けじゃなく、負けっぷりのよさがカッコいい。言ってみれば時代劇的な魅力のある作品だと思うんですよ。「七人の侍」みたいな。非日常的な空間に放り込まれたときに剥き出しになる本性、そういうものが描かれているところに原作の魅力があるんじゃないかと思います。
──原作は15巻まで刊行されていて、現在も連載が続いています。映画では1巻だけにフォーカスしていますね。
僕の経験でも、映画化される作品っていうのは今人気があるか、長く連載されたもの。でも10巻、20巻とある中からいいとこ取りしていくと、ファンの方たちからしたら薄まったと感じる面もある。今回はほぼ1巻だけに絞って濃く描いているので、読んでいる実尺と映画の尺があまり変わらない。そういう意味で珍しいパターンなんじゃないですか。
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- 「テラフォーマーズ」2016年4月29日より全国公開
- 「テラフォーマーズ」
あらすじ
21世紀、地球の人口は爆発的に増加し、人類は火星地球化計画を実行。苔と“ある生物”を火星に送り、気温を上げることで地球化させようとした。それから500年の歳月が過ぎ、生物を駆除するため15人の隊員が火星へ派遣されることに。簡単な仕事のはずだったが、そこにいたのはヒト型に異常進化を遂げて凶暴化したテラフォーマーたち。出発前に特殊能力として昆虫のDNAを授かった隊員たちは、変異して超人的なパワーを発揮。人類と異常生物による生き残りを懸けた戦いの火蓋が切って落とされる。
スタッフ
- 監督:三池崇史
- 原作:貴家悠、橘賢一(週刊ヤングジャンプにて連載中)
- 脚本:中島かずき
- 主題歌:三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE「BREAK OF DAWN」
キャスト
- 小町小吉:伊藤英明
- 秋田奈々緒:武井咲
- 武藤仁:山下智久
- 蛭間一郎:山田孝之
- ゴッド・リー:ケイン・コスギ
- 森木明日香:菊地凛子
- 堂島啓介:加藤雅也
- 大張美奈:小池栄子
- 大迫空衣:篠田麻里子
- 手塚俊治:滝藤賢一
- 連城マリア:太田莉菜
- 榊原:福島リラ
- 本多晃:小栗旬
©貴家悠・橘賢一/集英社 ©2016 映画「テラフォーマーズ」製作委員会
三池崇史(ミイケタカシ)
1960年8月24日、大阪府八尾市出身。今村昌平、恩地日出夫らに師事し、1991年にオリジナルビデオ「突風!ミニパト隊」で監督デビュー。1995年の「新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争」で劇場公開映画の初監督を務め、以来ジャンルを問わず多種多様な作品を次々に手がける。ヴェネツィア国際映画祭、カンヌ国際映画祭、ローマ国際映画祭のコンペティション部門に監督作が出品されるなど、日本国内のみならず海外でも高い評価を獲得。主な作品に「殺し屋1」「愛と誠」「悪の教典」「神さまの言うとおり」「極道大戦争」など。木村拓哉が主演する「無限の住人」が2017年に公開されるほか、生田斗真主演「土竜の唄 潜入捜査官 REIJI」続編の制作も決定している。
2016年4月25日更新