音楽ナタリー Power Push - テラヤバい!映画「テラフォーマーズ」特集
くっきー(野性爆弾)編
累計発行部数1500万部を突破する人気SFコミック「テラフォーマーズ」が「妖怪大戦争」「クローズZERO」の三池崇史監督によって映画化された。4月29日(金)の全国公開に先がけて、ナタリーでは映画、音楽、お笑いとジャンルをまたいで映画「テラフォーマーズ」の特集を展開中。第3弾として原作ファンの野性爆弾くっきーに劇場版の感想を聞いた。
取材・文 / 狩野有理 インタビュー撮影 / 辺見真也
主役をあっさり殺してしまう話が好き
──くっきーさんは原作ファンなんですよね。マンガの「テラフォーマーズ」を読み始めたきっかけは?
たしか、ケンドーコバヤシさんに教えてもらったんだと思います。定期的にコバさんに「おもろいマンガありますか?」って聞くんですよ。僕は週刊誌、月刊誌はあまり読まなくて、単行本で買うタイプなんです。なので、マンガ好きの人にいろいろリサーチして、だいたい1巻だけはまず買う。で、面白かったら続けて集めていくんです。「テラフォーマーズ」は1巻にすごい衝撃を受けて、買ってます。
──どんなところが衝撃でした?
設定、渋くないですか? 火星に苔と“ある生物”を送って温暖化させるなんて、カッコいい設定ですやん! で、“ある生物”がいかつい形に進化していて……っていうストーリーが「シャレとんな!」と思いまして(笑)。あと、主軸かなと思っていた奴がけっこうポンポン死んでいくっていうね。僕好きなんですよ、主役をあっさり殺してしまう話。僕もショートムービーを撮らせてもらう機会があって、そのときもよく殺してました、主人公級を。
──「テラフォーマーズ」の舞台は火星ですが、SFモノ、宇宙モノがお好きなんですか?
好きですね。「度胸星」とか読んでました。
──くっきーさんと言えば「宇宙!」というネタが印象深いので、もともと宇宙に興味があるのかなあと思っていたんですが。
宇宙が好きというか、僕なりの理論がありまして。……こんなの語り出したら気持ち悪いな(笑)。
──聞きたいです。
「肉糞亭」という落語一門がありまして、僕が肉糞亭スポーツ師匠から引力教の教祖・魔道引力親方を名乗って「大回転引力集会」っていうのを開いているんです。引力教が宇宙と繋がってる教団なんですけど……って意味わかります?(笑)
──わからないですが、続けてください(笑)。
地球上の生命は引力があるから成り立っているというのが引力教の考え方で。無重力状態だと摩擦が起こらないから、何の力も生まれないじゃないですか。引力があって、それが回転することによって力が生まれる。人間の体も血が巡ってるでしょ?
──回転からすべてが始まる、ということですか?
そうですそうです。わかってるじゃないですか! 回転なくしては何も始まらない。そういうことをテーマにしたイベントを1回やったんですが、そっから一気にお客さん減っていきました(笑)。
──ついていけなかったんでしょうね(笑)。
「マジで何やねん!?」ってなったんだと思います。でも「キン肉マン」にブラックホールが出てきたときくらいから宇宙には惹かれていましたね。
最低3回は観たい
──「テラフォーマーズ」が実写化されると聞いて、驚きや原作ファンとしての不安はありましたか?
映画化されたらショボくなってるパターンってよくあるじゃないですか。でも全然。めちゃめちゃ面白かったです。前半は少し戸惑った部分もあったんですけど。
──戸惑いというのは?
けっこう笑わせるポイントが入ってるなって僕は思ったんです。それが、意図として入れているのか、気がついたら自然とボケになっているのかわからなくて。試写会は関係者の方ばかりだったので、あまりゲラゲラ笑える雰囲気ではなかったんですよ。だから本当は声出して笑いたかったんですけど、堪えながら観ていました。これがボケじゃなかったら申し訳ないですけど(笑)。
──具体的にどのあたりに笑いの要素を感じましたか?
それぞれのキャラクターが変異する昆虫の紹介シーンとかですね。昔の特撮モノのような古めかしい感じで。一番笑ったのは小池栄子さん演じる副艦長(=大張美奈)が、腕だけ変異後のまま普通にしゃべってるところです。顔と体は元に戻っているのに、手だけハナカマキリ。あれは絶対ボケですよね?
──ボケではないと思います(笑)。でもたしかに、そうやって見ると面白いですね。設定やストーリーがマンガとは異なる部分がありましたが、そこは受け入れられましたか?
もう全然、納得というか。逆に読んだことない人にとってはとっつきやすいと思いました。
──キャストがすごく豪華です。配役についてはどう感じました?
いや、だからテンパったんですよ! このメンツでボケ入れる?って。ふざける要素のないメンツじゃないですか。それが逆に面白かったですね。冴えないルックスで小太りの蛭間一郎役を山田孝之さんが演じているっていうのは驚きました。もっといろんなところにボケが隠されていると思うんです、気づいてないところで。それを見つけたいですね。最低3回は観たいです。
──一番心を惹かれたキャラクターはどれでしょう。
やっぱり小池さんです。ふざけてるときってふざけた顔するじゃないですか。「私ふざけてますよ」みたいな。でもそういう顔を一切しないでふざけてるので。小池さんはコントの人だなと思いました。
──ふざけてはないと思いますよ(笑)。もしくっきーさんがバグズ手術を受けるとしたら、どのキャラクターになりたいですか?
うわーどれもカッコええもんなあ……。武井咲さん(秋田奈々緒 / クモイトカイコガに変異)ですかね。ラスト、マンガにはない意外な展開も描かれていて。小池さんのカマキリも捨てがたいなあ。攻撃系と防御系の昆虫混ぜられたらいいですよね。
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- 「テラフォーマーズ」2016年4月29日より全国公開
- 「テラフォーマーズ」
あらすじ
21世紀、地球の人口は爆発的に増加し、人類は火星地球化計画を実行。苔と“ある生物”を火星に送り、気温を上げることで地球化させようとした。それから500年の歳月が過ぎ、生物を駆除するため15人の隊員が火星へ派遣されることに。簡単な仕事のはずだったが、そこにいたのはヒト型に異常進化を遂げて凶暴化したテラフォーマーたち。出発前に特殊能力として昆虫のDNAを授かった隊員たちは、変異して超人的なパワーを発揮。人類と異常生物による生き残りを懸けた戦いの火蓋が切って落とされる。
スタッフ
- 監督:三池崇史
- 原作:貴家悠、橘賢一(週刊ヤングジャンプにて連載中)
- 脚本:中島かずき
- 主題歌:三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE「BREAK OF DAWN」
キャスト
- 小町小吉:伊藤英明
- 秋田奈々緒:武井咲
- 武藤仁:山下智久
- 蛭間一郎:山田孝之
- ゴッド・リー:ケイン・コスギ
- 森木明日香:菊地凛子
- 堂島啓介:加藤雅也
- 大張美奈:小池栄子
- 大迫空衣:篠田麻里子
- 手塚俊治:滝藤賢一
- 連城マリア:太田莉菜
- 榊原:福島リラ
- 本多晃:小栗旬
©貴家悠・橘賢一/集英社 ©2016 映画「テラフォーマーズ」製作委員会
2017年3月13日更新