でんぱ組.incと私立恵比寿中学は「近所だけど学区外」

──でんぱ組.incと私立恵比寿中学はほぼ同じ時期に誕生し、そこから15年、それぞれのやり方でアイドルシーンに確かな足跡を残してきました。メンバー個々の交流はあるようですけど、グループとしてはつかず離れずな関係ですよね。

藤咲彩音（でんぱ組.inc）　プライベートだとここ（真山りかを指して）がお友達で。

真山りか（私立恵比寿中学）　間に古正寺恵巳（MAPA）といういつメンがいますけど（笑）。

藤咲　あと私はやっさん（安本彩花）と「『ギア-GEAR-』East Version」で共演して（参照：エビ中安本彩花、舞台「ギア-GEAR-」でノンバーバルパフォーマンスに挑戦）、それ以来仲がいいです。

鹿目凛（でんぱ組.inc）　私と真山さんは「アイドル歌会」で一緒だったり。

真山　そんな感じでちょこちょこと交流はあるんですけど、グループとしてはたまにライブで一緒になるくらいですね。

──お互いのグループのことをどう思ってるんですか？

星名美怜（私立恵比寿中学）　お互いよく生き延びたなあって。

一同　アハハハハハ！

星名　長く続けていくうちに体制も変わったり……歴史のあるグループになりましたよね。

高咲陽菜（でんぱ組.inc）　私、まだでんぱ組.incのファンだったときに、「ミュージックステーション」のハロウィン特集にでんぱ組.incとえびちゅうさんが出ていたのを観たんですよ。録画したものを何度も観ながら、でんぱとえびちゅうさんは何か似たものを感じると思っていました。でも私が加入してからはあまり接点がなかったので、ツーマンができてうれしいです。

真山　似たもの同士かあ。私たちは、自分たちの強みを突き詰めていくことによってアイドル界で生き残ってこれた2組だと思います。ただ、えびちゅうは音楽的にはいろんなジャンルをつまみ食いしていて……昔“サブドル”を名乗っていた時期があったんですよ。でんぱ組.incさんというもっとサブカルを極めている人たちがいるのに、うちらサブドルなんて名乗っていいのかなと思ってました（笑）。でんぱ組.incさんは「萌キュンソングを世界にお届け」という明確なコンセプトがあって、電波ソングを極めているから曲が鋭い。えびちゅうはジャンルレス具合がとんがっていた感じで、形は違えどしっかりとした武器で戦ってきたという共通点はあると思うし、親近感がありますね。

藤咲　私がでんぱ組.incを初めて観たのは2011年の「@JAM」で、えびちゅうさんも出ていたんですよ。でんぱ組.incもヘンテコだし、えびちゅうさんもちょっと似たような感じがあって……。

真山　2011年だったら……白塗りとかしてた時代だよね？

藤咲　そうそう！

星名　なんだっけ。あー、キャッツだ！ なんであれをやらされたのか全然わかんない。

真山　白塗りのジャンルをやり尽くして、ほかになかったんだよ。キョンシーもやっちゃってたし。あの時代が一番ヘンテコだった（笑）。

星名　あのときはまだ自我がなかったから。

藤咲　まだバブちゃんの印象だった（笑）。でも今のえびちゅうさんは「強い女の子たち」という印象だし、その物語が見えるのがいいですよね。でんぱ組.incも物語を紡いできているから、お互いのストーリーが進んで今がある。

──風見さんは2021年にリアル中学生としてえびちゅうに“転入”（加入）するまで健康にすくすく育ってきた印象ですけど、そんな風見さんからはでんぱ組.incはどういうふうに見えているんですか？

風見和香（私立恵比寿中学）　でんぱ組.incさんはメンバーが変わっていく中でもずっと1人ひとりの個性がすごくて、特技を生かしている印象です。私たちもメンバーそれぞれの個性があっていいと言われることがあるから、そのへんは似ているのかなって。

高咲　私は近所だけど別の学校の人たちという印象があって。近所で一緒に育ってきたけど通ってる学校は違うみたいな。

真山　あー、その表現めっちゃわかる！ 学区外だ（笑）。

鹿目　セーラー服かブレザーか、みたいな。

高咲　お祭り会場でちょっと会う。

星名　あー、それかもしれない。

全アイドルの母

鹿目　個人の話をしてもいいですか？ 私、でんぱ組.inc加入前に別のグループで活動していたんですけど、メンバーみんなえびちゅうさんが大好きで、私は生誕祭で「売れたいエモーション！」をソロでカバーさせてもらっていたんですよ。

真山　えー、そうなんだ！ ベボガ！だよね。

鹿目　そうですそうです。ありがとう……。「いつかえびちゅうさんくらい売れるぞ！」という気持ちでがんばってきたので、今こうしてでんぱ組.incのメンバーになって、えびちゅうさんと競演できることになって「売れたな」と実感しています（笑）。人生の回収ができました。

──ライバルでもありながら、ファンとしての一面もあると。ちなみに、それぞれのグループから“推しメン”を挙げるとしたら？

真山　気まずくなりません？ ここにいないメンバーが挙がったりしたら。

鹿目　私は箱推し……。

真山　アンパイ取りましたね（笑）。

高咲　ツーマンをやることによって、でんぱとえびちゅうさんの中でいいカップリングが生まれるかもしれないので、それをファンのみんなに見つけてもらいたい。

藤咲　うまいこと言うね、うちの最年少（笑）。

星名　でも私、みりんちゃん（古川未鈴）のレジェンド感がすごいと思う。

一同　アハハハハハハ!!

真山　わかる。推しとかじゃないんだよね。

星名　何なんだろう。1人だけ次元が違う……。

真山　私とキャリアは同じなんだけど、落ち着きが違うんですよ。

高咲　いい意味でキャピキャピしてない？

星名　全アイドルの母、って感じがするんですよ。

真山　うん。そうじゃなかったらジャケット写真こういうふうに撮らないもん（両手を広げて）。

星名　まやさんがずっとフレッシュな感じ保ってるのも不思議。

真山　恥ずかしくなってくるね。ずっと中学生だから（笑）。りさちーさん（相沢梨紗）もレジェント感があるんですよ。前回のツーマンでご一緒させていただいたときも「お姉さん」って印象だった。

──前回は2019年5月にZepp DiverCity（TOKYO）で開催された「私立恵比寿中学とでんぱ組中学合同合唱コンクール」ですね。5年ぶり2回目のツーマンになります。

星名　5年前かあ。その頃と比べたら2組ともけっこう変わりましたよね。

藤咲　どっちも6人編成の時代かあ。その頃になかったものが今は出てる。りさちゃんがこんなにお母さんしてたかなあ？とか。

高咲　うん。楽屋で「今はいいんだよ。こういうときにしか泣けないから」ってメンバーのことを後ろから抱き締めているところを見て、私は「ママー！」って泣きました（笑）。