来るべくして来た“聖地”のステージ
──4月末には渋谷さんが“聖地”とする東京・日比谷野外大音楽堂でワンマンライブがありました。改めて振り返ってみて、どんな1日でしたか?(参照:SUPER BEAVERが聖地・日比谷野音に参上!夜の東京で「東京流星群」歌う)
渋谷 「もう一度ふんどしを締め直そう」って思うぐらい、けっこういろんな点で勉強になりました。アコースティックパートを作ったりと新しいことにもチャレンジしたんですけど……「できるだろう」とおごってた部分があったのかもしれない。そういうつもりで音楽をやってるつもりはなかったんですけど、知らないうちにそういう気持ちが出てきたのかなって。「今後死ぬまで一切の油断はやめよう」と思いました。
──観ている側としてはそういうふうには感じませんでしたけど……。
渋谷 自分たちが伝えることを疎かにしたとか、そういうことではないので。自分たちの中で「もっとこういうふうにできたらよかった」という前向きな改善点がたくさん見えたと言いますか。
柳沢 これまでのSUPER BEAVERが提示できるものは、たぶんちゃんと提示できたと思うんですよ。でも野外でのワンマンライブは初めてだったし、椅子席であったりとか、いつものライブハウスとはちょっと雰囲気が違う場所で。
──確かにそうですね。
柳沢 僕らがあくまで目指すのは“ライブハウスでやってるSUPER BEAVERのライブ”をどの会場でも純度高く出していくことなんです。でも実際に野音でライブをしてみて、ライブとプラスαでショー的な要素がほしいなって思ったし「もっと楽しんでもらうためにはもっともっとこっちが大きくならなきゃ」「これまで通りでは絶対ダメなんだよな」っていうのを認識できて。ぶーやん(渋谷)が言った通り「すごく申し訳ないライブをした……」とか、そういうわけではまったくないんですけど「ああ、このままではいかん。もっともっとやれることがきっとあるぞ」っていうのが見えた。逆に言うと、ライブ前には自分たちに対して力量以上の過度な期待をしてたような気がするんです。
──それは何か思いがあったんですか?
柳沢 インタビューの冒頭でも出ましたけど、「もっとスピード上げなきゃ」とか「観に来てくれる人たちが、今以上に胸を張ってくれるようなバンドになりたい」っていう気持ちがどんどん強くなっているからだと思います。その、応えたいっていう気持ちに対して、脳みその中で考えてた通りにはうまくいかなかったと言うか「思ったよりもいっぱいいっぱいだったんじゃないか」って。もっとどんな場であれドンっと腰を据えて挑戦できるんじゃないかって、こっから先の自分たちに期待も込めて思ってますね。
──“聖地”に立ったらまた新しい目標が見えたんですね。
渋谷 来るべくして来たような感じはしますね(笑)。
柳沢 やっぱり、階段を1段も飛ばせないバンドなんですよね、きっと。1歩1歩、ちゃんと自分たちで実感しながら踏みしめて登んないと、先に進むのは無理ですよっていう(笑)。登っていくスピードを上げていきたいからこそ、こうやって思うこともどんどん増えていくんだろうなと思います。がんばります、これから。みんなには「SUPER BEAVERのこれからが楽しみ」って、そう思っててほしいです。
新たなサウンドアプローチと、今の僕らにしか言えないこと
──新作ミニアルバム「真ん中のこと」には、ドラマに書き下ろした「ひなた」を含む全6曲が収められます。1曲目の「ファンファーレ」と2曲目の「正攻法」はどちらもエッジの効いたパンキッシュな楽曲であり、どちらの歌詞にも過去の挫折や失敗を肯定してあげる包容力があると思いました。
柳沢 この2曲は「過去に起こったあれがダメだったから、今回のこれもダメっていうことじゃないよ」っていう、ちょっと背中を押したい楽曲です。まあ、今作は全体的にその雰囲気がすごくあるなと思いますね。
渋谷 それは挫折や失敗を経て、自分たちが今の場所に立ってる事実を体現できているからだと思います。それを教えるってわけではないけど、「こういう生き方だってあるよ」って見せることができたら、きっと励みになる人はたくさんいるだろうなって。すごく人並みな生き方をしてきたバンドだから、みんなと同じような体験を経ていると思うんです。だから今の僕らにしか言えないことが今作には込められていますね。
──“ファンファーレ”は主に開幕式などで演奏される楽曲というイメージがあります。以前柳沢さんはインタビューで、SUPER BEAVERの楽曲のソングライティングに関して「過去を乗り越えたから、もう“挫折貯金”はなくなった」とおっしゃってました(参照:Shout it Out「青年の主張」特集 Shout it Out×柳沢亮太[SUPER BEAVER]座談会|2人で進む決意、少年から青年への変化)。それを経て、このタイミングで「過去に意味を見出せるのは 今を投げ出さなかったとき」と歌っている楽曲に「ファンファーレ」というタイトルを付けたのがとても興味深いです。
柳沢 ファンファーレって“始まりを告げる音楽”だったりもするけど、今回はそれこそデビューしたての「今、僕たちはSUPER BEAVERという旗をここに立てました!」っていう意味で鳴らす“ファンファーレ”ではなくて。これまでの道のりありきで「いっぱい悩んでいっぱい迷ったからこそ、もうわかるでしょ? こっからは悩まなくていいし迷わなくていいし、自分が思うままに突き進んでいいんだよ」っていう意味を込めた“ファンファーレ”なんです。タイトルは曲ができあがってから、最後の最後に決まったもんね。
渋谷 うん。タイトルはけっこう「これは違う、これは違う」って、俺が注文することが多いんです。
柳沢 今作は珍しく、制作が始まる前にぶーやんが「もっとリズムやサウンドで新しいアプローチがしたい」って言ってきて。そっから出てきたアイデアやコンセプトをメンバー全員が考えながら制作を進めていきました。それで「ファンファーレ」の冒頭はライブのド頭みたいな、爆発感のあるサウンドにしたんです。あれはぶーやんがいないときにドンッて付けちゃったんですけど(笑)。
渋谷 うん、びっくりした(笑)。「ファンファーレ」に関しては、タイトルも冒頭のサウンドもすごく趣旨とぴったりだなと思ったし、僕が言ってたことを加味して楽器陣3人がいろいろ考えてくれたっていうのがすごく伝わって来ましたね。
柳沢 今作はライブっぽいサウンドや楽しくなれるようなリズムでありつつ、背中を押せるような楽曲がそろってるんじゃないかなと思っていて。そんな作品の1曲目として、「ファンファーレ」が「こういうアルバムだよ」っていう宣言をしてくれてます。
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「君が好きで会いたい」のはそもそも当然
- SUPER BEAVER「真ん中のこと」
- 2017年9月6日発売 / [NOiD] / murffin discs
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初回限定盤 [CD+DVD]
2322円 / NOID-0021 -
通常盤 [CD]
1998円 / NOID-0022
- CD収録曲
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- ファンファーレ
- 正攻法
- ひなた
- irony
- 贈りもの
- それくらいのこと
- 初回限定盤DVD収録内容
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2017年4月30日@日比谷野外大音楽堂「都会のラクダSP~ラクダビルディング~」ダイジェスト映像
- 美しい日
- ひなた
- 生活(Acoustic Ver.)
- 青い春
- 27
- 東京流星群
- SUPER BEAVER「真ん中のこと」Release Tour 2017 ~ラクダの、中心~
-
- 2017年9月15日(金)
千葉県 千葉LOOK(※ワンマンライブ)
出演者 SUPER BEAVER - 2017年9月16日(土)
神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
出演者 SUPER BEAVER / SCANDAL - 2017年9月20日(水)
京都府 KYOTO MUSE
出演者 SUPER BEAVER / 10-FEET - 2017年9月23日(土・祝)
高知県 X-Pt.
出演者 SUPER BEAVER / SiM - 2017年9月24日(日)
愛媛県 WstudioRED
出演者 SUPER BEAVER / SiM - 2017年9月26日(火)
山口県 周南RISING HALL
出演者 SUPER BEAVER / 夜の本気ダンス - 2017年9月27日(水)
熊本県 熊本B.9 V1
出演者 SUPER BEAVER / 夜の本気ダンス - 2017年9月29日(金)
鹿児島県 CAPARVO HALL
出演者 SUPER BEAVER / HEY-SMITH - 2017年10月1日(日)
岡山県 YEBISU YA PRO
出演者 SUPER BEAVER / HEY-SMITH - 2017年10月2日(月)
兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
出演者 SUPER BEAVER / THE BACK HORN - 2017年10月6日(金)
群馬県 高崎club FLEEZ
出演者 SUPER BEAVER / coldrain - 2017年10月7日(土)
長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
出演者 SUPER BEAVER / BLUE ENCOUNT - 2017年10月9日(月・祝)
石川県 金沢EIGHT HALL
出演者 SUPER BEAVER / BLUE ENCOUNT - 2017年10月20日(金)
茨城県 mito LIGHT HOUSE
出演者 SUPER BEAVER / ROTTENGRAFFTY - 2017年10月21日(土)
栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
出演者 SUPER BEAVER / ROTTENGRAFFTY - 2017年10月22日(日)
埼玉県 HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1
出演者 SUPER BEAVER / 爆弾ジョニー - 2017年11月4日(土)
広島県 広島CLUB QUATTRO(※ワンマンライブ)
出演者 SUPER BEAVER - 2017年11月5日(日)
福岡県 DRUM LOGOS(※ワンマンライブ)
出演者 SUPER BEAVER - 2017年11月11日(土)
新潟県 新潟LOTS(※ワンマンライブ)
出演者 SUPER BEAVER - 2017年11月12日(日)
宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX(※ワンマンライブ)
出演者 SUPER BEAVER - 2017年11月14日(火)
北海道 cube garden(※ワンマンライブ)
出演者 SUPER BEAVER - 2017年11月18日(土)
香川県 高松オリーブホール(※ワンマンライブ)
出演者 SUPER BEAVER - 2017年11月19日(日)
大阪府 なんばHatch(※ワンマンライブ)
出演者 SUPER BEAVER - 2017年11月25日(土)
愛知県 DIAMOND HALL(※ワンマンライブ)
出演者 SUPER BEAVER - 2017年12月15日(金)
東京都 Zepp Tokyo(※ワンマンライブ)
出演者 SUPER BEAVER - 2017年12月16日(土)
東京都 Zepp Tokyo(※ワンマンライブ)
出演者 SUPER BEAVER
- 2017年9月15日(金)
- SUPER BEAVER(スーパービーバー)
- 2005年に渋谷龍太(Vo)、柳沢亮太(G)、上杉研太(B)、藤原“29才”広明(Dr)の4人によって東京で結成されたロックバンド。2009年6月にEPICレコードジャパンよりシングル「深呼吸」でメジャーデビューする。2011年に活動の場をメジャーからインディーズへと移し、年間100本以上のライブを敢行。2012年には自主レーベル「I×L×P× RECORDS」を立ち上げる。2013年、東京・shibuya eggmanのスタッフ・YUMAが「mini muff records」内に発足させたロックレーベル[NOiD]とタッグを組み、精力的にツアーや自主企画を開催。バンド結成10周年の節目に当たる2015年4月1日にフルアルバム「愛する」をリリースし、2016年4月にはバンド史上最大規模のワンマンライブを東京・Zepp DiverCity TOKYOにて開催。6月にフルアルバム「27」を発表し、10月にZepp DiverCity TOKYO公演の様子を収めたライブDVDと渋谷による書き下ろし小説「都会のラクダ」をパッケージした「10th Anniversary Special Set『未来の続けかた』」を発売した。2017年1月にニューシングル「美しい日 / 全部」を発表し、4月からは渋谷がニッポン放送「オールナイトニッポン0(ZERO)」のパーソナリティを担当。9月には新作ミニアルバム「真ん中のこと」をリリースする。