Mrs. GREEN APPLE「5」特集|デビュー5周年、ベストアルバムで迎える“ミセス フェーズ1完結”

2016

「サママ・フェスティバル!」で迎えた転機

1

1stフルアルバム「TWELVE」をリリース。

3~4

初の全国ワンマンツアー「TWELVE TOUR ~春宵一刻とモノテトラ~」を開催。東京・マイナビBLITZ赤坂でファイナルを迎えた。

6

対バンツアー「Mrs. TWOMAN TOUR ~初夏とリンゴとロックバンド~」を東名阪CLUB QUATTROで開催。

2ndシングル「サママ・フェスティバル!」をリリース。表題曲は日本工学院のCMソングとして使用された。

10

ライブイベント「AKASAKA BLITZ HALLOWEEN 2016 ~Mrs. FANCY PARTY~」を東京・マイナビBLITZ赤坂で開催。

11

3rdシングル「In the Morning」をリリース。

3rdシングル「In the Morning」発売を記念して、東京・東急プラザ表参道原宿の空中庭園「おもはらの森」でフリーライブを開催。

11月~12

ワンマンツアー「In the Morning Tour」を開催。東京・TOKYO DOME CITY HALLでファイナルを迎えた。

「TWELVE」ジャケット
「TWELVE」

2016年に入ると、ミセスは1stフルアルバム「TWELVE」をリリースした。「Mrs. GREEN APPLEとはどういうバンドなのか?」という命題のもとに作られた本作。世の中と戦うすべての人々を肯定するような「愛情と矛先」、傷付け合う人々の醜さを知りながら「醜さも精一杯に愛そうと」とそれでも人を愛することを選ぶ「パブリック」など、決して目をそらすことなく世界と向き合い続ける楽曲が並んだ。「TWELVE」は、12歳の頃から音楽を作り続けてきた大森にとって10代の総決算のような作品であると同時に、その音楽をバンドとしてどのように表現していくかを突き詰めたアルバムであったように思える。

1stフルアルバムのリリースツアー「TWELVE TOUR ~春宵一刻とモノテトラ~」の最終公演では、バンドにとって大きな転期となった2ndシングル曲「サママ・フェスティバル!」が披露された。それまで哲学的な視点で自身の内側の感情を描くことが多かったミセスだったが、「サママ・フェスティバル!」は“一度きりしかないこの夏を楽しもう”という高揚感に満ちたポップなサマーソングとなった。きらびやかなサウンドに乗せて、夏ならではのワクワク感を「wow サンサン太陽 wow ギラギラ浴びて 遊ぼう」とキャッチーな言葉で歌うこの曲の発表を機に、ミセスはさらに多くの人々とのつながりを求め、ロックバンドというカテゴリーを超えて、よりポップで親しみやすい音楽に舵を切っていく。

「TWELVE TOUR ~春宵一刻とモノテトラ~」東京・赤坂BLITZの様子。
「サママ・フェスティバル!」ジャケット
「サママ・フェスティバル!」
「In the Morning」ジャケット
「In the Morning」

メジャーデビュー以降、ミセスはバンドサウンドにEDMを取り入れてきたが、11月にリリースされた3rdシングル曲「In the Morning」ではジャスティン・ビーバーやOne Directionといった海外のティーンポップからインスピレーションを受けたことで、よりその濃度が高まることとなった。メンバー全員が20代になってから初のシングルとなるこの作品を通して、彼らは自身の経験を踏まえながら、悩める若者の背中を押すようにポジティブなメッセージを放った。またバンドはこの頃から、海外アーティストのライブにも目を向けるようになり、観客によるステージ撮影を許可するなど、より自由度の高いライブ作りを意識的に行うようになっていく。

2017

若者の胸に突き刺さった「WanteD! WanteD!」

1

2ndフルアルバム「Mrs. GREEN APPLE」をリリース。のちに収録曲「soFt-dRink」が映画「ポエトリーエンジェル」主題歌に、「JOURNEY」がドラマ「片想い送信中」の主題歌に使用される。

3月~5

ホールツアー「MGA MEET YOU TOUR」を開催。東京・東京国際フォーラム ホールAでファイナルを迎えた。

5

4thシングル「どこかで日は昇る」をリリース。表題曲は映画「笑う招き猫」の主題歌として書き下ろされた。カップリングに情報番組「ニュース シブ5時」のテーマソング「SwitCh」などを収録。

7

沖縄・桜坂セントラルでワンマンライブ「NAHAHA FESTIVAL!」を開催。

野外ワンマンライブ「ゼンジン未到とロワジール」を大阪・大阪城音楽堂と東京・日比谷野外大音楽堂で開催。

8

5thシングル「WanteD! WanteD!」をリリース。ドラマ「僕たちがやりました」のオープニング曲として書き下ろされた表題曲や、アニメ「ナナマル サンバツ」のオープニングテーマ「On My MiND」を収録。表題曲の総再生数は約1週間で500万回突破。

10月~11

学園祭ツアー「Mrs. GAKUSAI TOUR」を開催。

10

TOKYO FM系「SCHOOL OF LOCK!」の講師に就任。

12

楽曲「WHOO WHOO WHOO」を配信リリース。

初のファンクラブツアー「RINGO JAM TOUR ~東と名と阪~」を開催。

「Mrs. GREEN APPLE」ジャケット
「Mrs. GREEN APPLE」

1stフルアルバム「TWELVE」が10代の感情を刻んだ記録のようなパーソナルな色合いの強い作品だとするなら、2ndフルアルバム「Mrs. GREEN APPLE」は若者に対して共に立ち上がろうと手を伸ばすような、楽曲の向こうにいるリスナーを意識した作品と言えるだろう。それまでも歌い続けてきた人とのつながりの大切さや愛情を、人類や生命といったマクロな視点で描いた楽曲も多く、そのメッセージはより多くの人々に向けて放たれていた。そしてそういったバンドの本質を大切にしながらも、鮮やかなシンセやバンドサウンドが融合した開放感のあるサウンドからは、「サママ・フェスティバル!」以降特に顕著だった“音楽そのものを楽しもう”というバンドのモードがうかがえる。中でも壮大なストリングスを取り入れたリードトラック「鯨の唄」はテレビ朝日系「関ジャム 完全燃SHOW」内で蔦谷好位置によって「2016年の名曲ベスト3」に挙げられ、お茶の間でも大きな話題となった。

アルバムを携えて、春にはライブハウスとホールを計19カ所回るバンド史上最長のツアー「MGA MEET YOU TOUR」が行われた。このツアーではアルバムの収録曲に加え、バンドにとって新機軸とも言える楽曲「WHOO WHOO WHOO」が初披露されたことも1つのトピックだった。言葉に重きを置いてきたミセスがサビに歌詞を入れないという手段を選んだ異色のEDMチューンは、会場を巨大なダンスフロアへと変えた。メンバーがフロアに突入してジャンプする場面もあり、そこに歌詞はなくとも“自由に音楽を楽しみたい”というメッセージが詰め込まれていたように思える。ツアー中には映画「笑う招き猫」の主題歌「どこかで日は昇る」をシングルリリース。そしてこの夏、ミセスの音楽はさらに世に広がっていくことになる。

「MGA MEET YOU TOUR」東京・東京国際フォーラム ホールA公演の様子。
「どこかで日は昇る」ジャケット
「どこかで日は昇る」
「WanteD! WanteD!」ジャケット
「WanteD! WanteD!」

バンドは8月に5thシングル「WanteD! WanteD!」をリリース。ドラマ「僕たちがやりました」のオープニング曲として書き下ろしたタイトルトラックは、トロピカルハウスの要素を取り入れた疾走感のあるナンバー。「サママ・フェスティバル!」以降、ミセスはリスナーの背中を押すようにポジティブなメッセージを届けてきたが、「WanteD! WanteD!」ではシニカルな視点で若者に向けて「逃げるのに慣れて 【愛】に気づけなくなっている」と警告とも言えるメッセージを投げかける。焦燥感を帯びながら勢いよく展開していくこの曲は多くの若者の胸に突き刺さり、リリースの約1週間後にはストリーミング総再生数500万回を突破。主要配信サイトで11冠を獲得し、バンドの名を世に知らしめることとなった。


2020年7月8日更新