ナタリー Super Power Push - 氣志團
「氣志團万博2013」開催への道
綾小路翔 インタビュー
「氣志團万博2013 ~房総爆音梁山泊~」の開催を前に、首謀者である綾小路翔を直撃。2年目を迎えるその意気込みをじっくりと聞いた。
取材・文 / 宇野維正 撮影 / 井出眞諭
「絶対に1回目を超える」って気持ちしかない
──今年の9月14日と15日、「氣志團万博2013」の開催が決定したわけですが、「とにかく1回やってみよう!」という昨年と「2年連続でやろう!」という今年とでは、まったく異なる種類の決意があったと思うんです。ましてや昨年あれだけ大きな盛り上がりと成功を収めたわけで。
そうなんですよ。もうね、去年ですべてを使い果たした。自分の持ってる運と、縁と、恩と、あとは心とお金ね(笑)。本当に、この5つを全部使い果たしたんで、もうできるわけないと思ってたんですけど、やっぱり1回やってみるといろいろ見えてくるものがあるんですよ。大成功は大成功だったけど、じゃあすべてがうまくいったかっていうともちろんそんなことはなくて、反省点もたくさんあったので。でもやるからには昨年を超えなきゃ意味がなくて、そう考えると昨年のハードルが高すぎるんですよね(笑)。岡村靖幸さん、浜崎あゆみさん、ユニコーンさん、ゴールデンボンバーに、キョンキョン(小泉今日子)さんやサプライズゲストのマッチ(近藤真彦)さんまで。あれだけのメンバーを集めて、言ってみれば、ありえないことしか起きなかったんで。ありえなすぎただろうっていう。「じゃあこれ、今年もできるの?」みたいな。今年もやろうかっていう話になってきたときにも、最初は自分の中で「昨年を超えるっていう確信がないならやっちゃだめだよね」って思いがあったんですよね。なので、今年の開催を決めた段階で「絶対に1回目を超える」って気持ちしかなかったです。フェスって基本的には、出演者も地元自治体も協賛企業も、実績がないと誰もついてきてくれないですよ。でも実績だけは去年すごいことになっちゃったんで、とにかく今年も本気でがんばってみようって。
──「氣志團万博」の何が一番すごいって、普段は他のフェスには絶対出演しないような出演者を勢ぞろいさせているところですよね。
もともと昨年始めたきっかけも、今フェスもこれだけ増えて、初年度のフジロックだったり、自分たちが出演させてもらうようになった頃の邦楽フェスだったりと比べても、環境は断然よくなってきたけど、どうしてもフェス自体がルーチン化してるんじゃないかってことだったから。主催者は違っても出演バンドのメンツがほとんど同じだったり。出演者もだんだん夏の営業みたいな感じになってきて、この週末の土曜はこっちのフェスで、日曜はこっちのフェスでみたいな感じで。本番直前にバックステージに入ってきて、出番が終わったらすぐに帰るみたいな。昔はね、前日から現地に入って、裏でバーベキューやろうよとか、そういうノリもあったんですけど、最近はほんとになくなってきちゃって。だったらもう自分たちでやるしかないのかなって。
去年の成功があったから今年のラインナップが実現
──自分も以前フェスのブッキングに関わったことがあるんですけど、さっきもおっしゃっていたように、フェスの初年度って実績がないから周囲には何の説得力もないじゃないですか。そんな中で出演を快諾してくれた出演者の方って、本当にありがたい存在で。
ホントに。昨年出演していただいた方々へは、一生足を向けて寝られないですね。何もないところに、ただ「翔くんがやるなら」「氣志團がやるなら」って出てくださったわけだから。
──だからこそ、もし初年度に出てくれた出演者から「また出たい」って言ってもらえたら、それを断るなんてとてもできないじゃないですか。世の中のフェスがルーチン化していく理由には、そんな内部事情もあると思うんですね。だから今年発表されたラインナップを見て何に一番驚いたって、去年も出てるのがVAMPSとももクロと仙台貨物くらいで、あとはガラリと変わっていることで。しかもさらに強力になってるという。「どうしてこんなことが可能なの!」って(笑)。
いや、去年出ていただいた方々には、こちらとしては毎年出てほしいくらいですよ。でも、とてもじゃないけど毎年出てもらえるような方々じゃないんですね。だから本当に大変で。正直言って、もし同じメンツがそろうならそれで十分なくらいなんですけど(笑)。
──もう一回、ゼロから超ハードなブッキングをがんばらなきゃいけないという(笑)。
まあ去年がゼロだったら、今年は1からですよね。去年、1ができあがったと思うので。昨年の大成功があったから、今年のラインナップが実現したんだと思ってます。
- ニューシングル「One Night Carnival 2013」[CD+DVD] 2013年9月11日発売 / 1890円 / 影別苦須 虎津苦須(avex trax) / AVCD-48704/B
- ニューシングル「One Night Carnival 2013」
CD収録曲
- One Night Carnival 2013
- 愛 羅 武 勇(2013)
- One Night Carnival 2013(KARAOKE)
- 愛 羅 武 勇 (2013)(KARAOKE)
DVD収録内容
- One Night Carnival 2013(MUSIC VIDEO)
- One Night Carnival 2013(KISHIDANCERCIZE<振付ビデオ>)
- 氣志團万博2012バックステージ映像
- ニューアルバム「氣志團入門」/ 2013年9月11日発売 / 影別苦須 虎津苦須(avex trax)
- CD+DVD / 3990円 / AVCD-38790/B
- CD / 3150円 / AVCD-38791
CD収録曲
- One Night Carnival 2013
- 黒い太陽(2013)
- 恋人(2013)
- 日本人
- キラ キラ!(2013)
- SUPER BOY FRIEND
- BOYS BRAVO!(2013)
- 朝がくる度(2013)
- 俺達には土曜日しかない(2013)
- Baby Baby Baby
- 落陽
- 鉄のハート(2013)
- 愛 羅 武 勇(2013)
- ありがとう ばかやろう
- SUPERSTAR(CDオンリー仕様に収録)
DVD収録内容
<MUSIC VIDEO>
- One Night Carnival 2013
- さよなら世界
- おまえだったんだ
- 愛してナイト!
- MY WAY
- SUPER BOY FRIEND
<GIG PERFORMANCE>
- 黒い太陽
- 俺達には土曜日しかない
- 高校与太郎組曲-喧嘩(クォーラル)ボンバー-
- オレたち
- 鉄のハート
- 愛 羅 武 勇
<KISHIDANCERCIZE(振付ビデオ)>
- スタンディング・ニッポン
- One Night Carnival 2013
- 恋人(2013)
- 俺達には土曜日しかない(2013)
- SUPER BOY FRIEND
氣志團(きしだん)
千葉県木更津市でカリスマ的人気を得ていた綾小路翔を中心に1997年に結成。メンバーは綾小路翔(Dragon Voice)、早乙女光(Dance & Scream)、西園寺瞳(G)、星グランマニエ(G)、白鳥松竹梅(B)、白鳥雪之丞(Drums & Drunk)の6名。「ヤンクロック」をキーワードに、学ランにリーゼントというスタイルでライブを行い、2001年12月から3カ月連続で発売されたVHSビデオで“メイジャーデビュー”を果たす。その後「One Night Carnival」「スウィンギン・ニッポン」などヒット曲を連発。2004年には東京ドームでワンマンライブを行い「NHK紅白歌合戦」にも出演した。2011年には計30公演におよぶ対バンギグシリーズ「極東ロックンロール・ハイスクール」を実施するなど精力的なライブ活動を継続。結成15周年を迎えた2012年に地元・千葉で大規模な野外イベント「氣志團万博2012」を開催し大成功に収めた。2013年9月にはシングル「One Night Carnival 2013」とアルバム「氣志團入門」をリリースし、「氣志團万博2013 房総爆音梁山泊」を開催する。
2013年9月12日更新