音楽ナタリー PowerPush - 片平里菜
インタビュー&参加者コメントから初アルバム「amazing sky」の魅力に迫る
2013年8月7日にシングル「夏の夜」でメジャーデビューした片平里菜が、デビュー1周年を目前にした8月6日に1stアルバム「amazing sky」をリリースする。ヒットシングルやライブの定番曲がたっぷり詰まった本作は、“片平里菜 第1章”の集大成と呼べる内容。さまざまなアーティストがプレイヤー、アレンジャーとして参加し、片平の初アルバムを華麗に演出している。
このアルバムの魅力を紐解くべく、ナタリーでは片平への単独インタビュー、本人直筆によるアルバムセルフライナーノーツ、そしてアルバム参加アーティスト8名からのお祝いコメントで構成された特集を企画。この特集を通じてアルバム「amazing sky」に込められた思い、そして「シンガーソングライター片平里菜」の個性を感じてほしい。
取材・文 / 西廣智一 インタビュー撮影 / 小坂茂雄
片平里菜 インタビュー
弾き語りツアーは人として成長できる気がする
──まずは5月から7月にかけて実施した弾き語りツアーについて聞かせてください(参照:片平里菜、1年ぶり弾き語りツアーで全国22会場を巡回)。1年前と比べて片平さんが置かれている状況はずいぶん反響も変わったと思うんですけど、実際にやってみてどうでしたか?
1年前の4月に弾き語りツアーをしたときはCDさえ出てなかった状態で、会場によって満員のときもあれば10人くらいしかいないときもあって。でも今回は普段行かないような土地に行ってもお客さんがかなり集まってくれたし、皆さん私のライブをすごく楽しみにしていてくれたんです。私の曲をしっかり覚えて歌ってくれるのはどの場所でも同じで、「あ、こんなところにまで行き届いてるんだ」っていう実感はすごくありましたね。
──公演によっては対バンやほかの弾き語り競演者がいて、日々違った環境の中でやっていたわけですが、そのぶん刺激もすごく多かったんじゃないでしょうか?
多かったですよ、やっぱり。年明けのワンマンツアー(参照:片平里菜、緊張の初ワンマンツアー「楽しみにしてました」 / サプライズ発表も!片平里菜、初ワンマンツアーが福島で幕)はがっちり作り込んでステージを見せる感じでしたけど、今回の弾き語りツアーは自分の歌とギターしかないので、いかに自分の素の部分を出せるかっていうことに注力しました。土地によって文化にも若干の違いがあったけど、どの土地でも地元の人たちがあったかくて。いろんな人と対バンをして刺激ももらったし……弾き語りツアーをやってると、人として成長できるような気がします。
──ツアーの合間にアルバムの制作を続けていたんですよね。
そうなんです。アルバムの制作以外にも毎週ラジオが始まったのもあったんで(参照:片平里菜、4月から毎週80分のラジオ生放送に挑戦)、ツアーだけに集中したいけど集中できないみたいなこともありました。割り切ってやってましたけど、ちょっと大変でもあって。
──ラジオ以外にもテレビのレギュラー番組も始まりましたし(参照:片平里菜、地元福島を盛り上げる新曲&レギュラー番組決定)。ライブ以外のお仕事が増えたということは、この1年で周りが片平さんのことをすごく求めるようになってきたということですもんね。
そうですね、うれしいです。そこは1年前とはまるっきり変わりましたね。
「始まりに」の歌詞にグッときてしまい涙
──そして東京・自由学園明日館でのツアーファイナルはマイクなし、アンプなしという特別な環境での弾き語りライブでした(参照:片平里菜、笑顔と涙の完全生声ライブ完遂)。
なかなか経験できないライブだと思いましたね。特別な点がたくさんあって、まずあの自由学園の講堂自体が国の重要文化財に指定された特別な場所だったし、お客さんに「制服か白シャツ」というドレスコードを設定したし、私自身もマイクとアンプなしっていう完全生歌、生音ライブだったし。普通ツアーファイナルってこなれた感じを出すと思いきや、初めてのことばかりやって、逆にすべてのことが新鮮でしたね(笑)。
──ツアー中である意味一番緊張感のあったライブかもしれませんが、片平さんはライブ中、すごく優しい表情で歌ってたんですよね。250人の観客1人ひとりに向けて、語りかけるように歌ってるみたいでした。片平さんのライブは今まで何度も観てきましたが、ああいう表情で歌う姿はもしかしたら初めて見たかもしれないなと思いまして。それはあの特別な環境が生み出したものなのか、それともずっと持っていたものがあの瞬間にフッと出てきたのかが気になってるんです。
どっちもあるのかなあ。1年前に比べたらお客さんもたくさん来てくださって、逆にお客さんのほうから私のことを求めてくれる。愛情をいっぱいもらった結果なんだと思います。皆さん私のことを子供を見守るような眼差しで見てくれてるような気がするんですよ。たまに言われますけどね、同世代の子に「母親目線で見ちゃった」って(笑)。でもすごい親近感があるみたいで、うれしいですね。
──そういう意味じゃ、片平さんのライブってすごくアットホームですよね。
そうですね。私自身、カッコいいと思われたいわけでも、カワイイと思われたいわけでもない。でもライブではお客さんとの距離をできるだけ縮めたいし、仲良くなって帰りたいし、また次に会う約束をしたいし。そういうライブが理想なんです。
──あのライブで特に印象に残ってるのが、「始まりに」のときに感極まって涙したことで。ああいう姿も初めて見た気がします。
出さないですけどね、普段(笑)。まあでも……いろいろ悩んでる時期でもありましたから。
──悩みというのは?
自分の理想とする場所、志す場所っていうのがすごく大きくて高いところにあって、そこに全然追いつかない。まだまだ自分に自信もなくて悔しいなと日々思っていて。ちょうどそのときに、「始まりに」の歌詞にグッときてしまったんです。弾き語りツアーの終わりあたりからそういう気持ちだったんですけど、あの日はファイナルってことでちょっと抑えきれなかったっていうのはあるかもしれない。
──でもあの涙は、ただ悔しいだけじゃなかったですよね。見てる側からはそう感じましたが。
うん、ちょっと晴れやかな涙でしたね(笑)。みんなも一緒に歌ってくれて、助けられたし。ちょっと前だったら、ステージに立ったらいろんなことに警戒してたのに、このツアーを通じて自分の感情をストレートに出すことができるようになった。そこは大きな成長なのかなって思います。
次のページ » 1曲目とラストは私の原点となる曲がいいのかな
- 1stアルバム「amazing sky」 / 2014年8月6日発売 / ポニーキャニオン
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3780円 / PCCA-4064
- 通常盤 [CD] 3240円 / PCCA-4065
CD収録曲
- 夏の夜 [編曲:島田昌典]
- tiny room [編曲:arbeit boy]
- HIGH FIVE [編曲:山田貴洋(ASIAN KUNG-FU GENERATION)]
- 女の子は泣かない [編曲:島田昌典]
- あなた [編曲:久保田光太郎]
- teenage lovers [編曲:コトリンゴ(KIRINJI)]
- CROSS ROAD [編曲:山田貴洋(ASIAN KUNG-FU GENERATION)]
- Hey boy! [編曲:arbeit boy]
- Oh JANE [編曲:亀田誠治]
- 心は [編曲:安野勇太(HAWAIIAN6)]
- Come Back Home [編曲:arbeit boy]
- amazing sky [編曲:OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND]
- 始まりに [編曲:山田貴洋(ASIAN KUNG-FU GENERATION)]
全曲 作詞・作曲:片平里菜
初回限定盤DVD収録内容
- 「夏の夜」Music Video
- 「Come Back Home」Music Video
- 「女の子は泣かない」Music Video
- 「Oh JANE」Music Video
- Document Of First One-man Live@2014.01.31 SHIBUYA WWW
- First One-man Live@2014.01.31 SHIBUYA WWW
夏の夜 / 女の子は泣かない / 始まりに / Come Back Home
- 片平里菜 1st ALBUM「amazing sky」リリース記念 フリーライブ
- 2014年8月9日(土)
神奈川県 ラゾーナ川崎プラザ ルーファ広場 グランドステージ - 2014年8月10日(日)
愛知県 アスナル金山 - 2014年8月10日(日)
兵庫県 阪急西宮ガーデンズ スカイガーデン 木の葉のステージ - 2014年8月17日(日)
福島県 街なか広場 - 2014年8月22日(金)
北海道 STV Sプラザ - 2014年8月24日(日)
福岡県 キャナルシティ博多 B1Fサンプラザステージ
- diffusy presents 片平里菜 2ndワンマンツアー2014 "amazing sky"
- 2014年11月16日(日)
愛知県 ell.FITS ALL - 2014年11月18日(火)
宮城県 enn 2nd - 2014年11月23日(日)
大阪府 umeda AKASO - 2014年11月24日(月・祝)
東京都 LIQUIDROOM ebisu - 2014年12月6日(土)
福岡県 Queblick - 2014年12月13日(土)
福島県 Live Space C-moon
片平里菜(カタヒラリナ)
1992年5月12日生まれ、福島出身のシンガーソングライター。2011年9月、「閃光ライオット2011」で1万組の中から審査員特別賞を受賞する。翌2012年にはソニーWALKMAN「Play You. Label」第1弾アーティストに抜擢され、山田貴洋(ASIAN KUNG-FU GENERATION)プロデュースのもと楽曲制作。7月にはメジャーデビュー前にもかかわらず「NANO-MUGEN FES.2012」に出演し、話題を集めた。2013年1月にアジカン山田プロデュースによる楽曲「始まりに」を配信リリース。同年5月にはギブソン社傘下のギターブランド・エピフォンが片平を日本人女性初のエピフォンアーティストとして公認したことも発表され、大きな反響を呼んだ。そして8月7日、ポニーキャニオンからシングル「夏の夜」でメジャーデビュー。翌2014年1月15日には2ndシングル「女の子は泣かない」を発表し、同月末からは初のワンマンツアー「片平里菜 1stワンマンツアー2014 “女の子は泣け、笑え、叫べ”」を東京、大阪、福島で行った。同年4月30日に3rdシングル「Oh JANE / あなた」をリリース。5月から7月にかけて自身2度目の弾き語りツアー「片平里菜 あの場所で偶然 弾き語りツアー2014」を全国22会場で敢行した。そして8月6日、1stアルバム「amazing sky」をリリースする。